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フォーシュルヴァン爺さんの言葉

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 ヴィクトル・ユゴー作
 『レ・ミゼラブル』のマニアです。

(文字数:約1500文字)


  マニアですので人生の要所要所で、
  ふっと『レ・ミゼラブル』内の文言が、
  頭に浮かぶ折々があります。

  読んだ事が無い方のために、

  (ああ私も19歳で初めて、
   映画版を観てどハマりしたので、
   読んでない事は恥でもなければ、
   読んだからって偉くもないですよ。)

  内容を超ざっくり説明しますと、

  保釈期間中に逃げ出した囚人が、
  身分を偽りながら暮らすうちに、
  金持ちになってなんと、
  市長にまで上り詰めるんだけども、

  正体を自ら、
  明かさなきゃいけなくなる事件が起きて、
  警察から追われる身に戻りながら、
  市長時代に託された女児を育てる。

  といったもので、

  まず保釈期間中に逃げ出すきっかけになった、
  ビヤンヴニュ(ようこそ)司教という方の言葉が、
  私の脳裏には結構頻繁に浮かぶんですけど、

  この方イメージされているほど、
  キリスト教徒でもお優しい方でもなくて、

  金持ち振りを押し出しまくっている、
  同僚司教の家に招かれた時には、

  「いやぁ、さぞかし嫌なものでしょうなぁ。
   こういった贅沢品に囲まれて暮らすのは。
   絶えず耳元で、
   囁かれ続けているみたいなものですからねぇ。
   『貧しい者がいるぞ。飢えてる者がいるぞ』
   って(笑顔)」

  とか言っちゃう。
  もう(・m・*)司教様ってば。

  だから職場界隈ではめっちゃ嫌われてる。
  出世コースから外れちゃうので弟子も来ない。

  他にも寄付金をケチる金持ちを指差して、
  「ご覧。あの人は、
   天国を一スーだけ買っているよ」
  とか言ったり、

  現代の炎上騒ぎみたいな、
  噂話が町中を駆け巡っている中で、
  「みんな、自分の恥部だけは隠して、
   正義のフリをするのに必死だね(笑顔)」
  とか言ってみたり、

  まぁ枚挙にいとまが無いんですが、
  くすくす(>m<*)もう大好き。


  今回取り上げたいのは、
  フォーシュルヴァン爺さん。

  ミュージカル版にはワンシーンだけ。
  映画版では全く出ていないバージョンもある、
  端役扱いだけども、
  この爺さんが結構重要な存在で、

  市長時代に命を救われた恩を、
  逃亡中の彼を匿う事で返すの。

  なんだけど、
  ひと驚きして、
  上手く匿え切れて、
  やれやれと落ち着いたところで、
  恨みを隠さず言い放つ。

  「貴方は顔を合わせた時に、
   私の事が分かりませんでしたな。
   こちらは貴方を忘れた日なんか、
   一日だって無いというのに。

   人の命を救っておいて、
   その救った相手の事は、
   さっぱり忘れてしまうなんて、
   貴方は実に恩知らずですよ!」

  この言葉は章の区切りの末尾文に、
  バシンと入れ込まれているので、
  筆者ユゴーも意図したものと思うが、
  読者である私にもかなり響いた。

  そうか。
  自分の善行に、
  気付きもせず忘れてしまう事は、
  潔いどころかむしろ、
  「恩知らず」な事なのか。

  それはフォーシュルヴァン爺さんからは、
  涙目になって訴え掛けるほど、
  悔しくてならない事なんだ。

  もしかしたら私を含めた、
  noteに居住している皆さんの、
  お一人お一人が、

  気付きもしていないうちに、
  それを望むか望まないかに関わらず、
  誰かを救ってしまっているかもしれませんよ。

  ……と思いましたのでここでの、


以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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偏光
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