見出し画像

【万華鏡】恋

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 ……無い!

(文字数:約1300文字)


  来やがった来ちまったどうしたものかな。
  おそらく私の人生に、
  最も存在しなかった要素。

  恋。

  語句自体の存在意義が分からな過ぎて、
  辞書を引く気も起きねぇやってくらい、
  脳髄の奥から拒絶反応だぜ。参ったな。

  ならばここは一つその拒絶反応に、
  向き合ってみようじゃないか。

  え? 配偶者いるんだし、
  それなりの恋愛は経たんじゃないのって?

  おお。愛と情欲の泥沼に、
  引きずり込み合った自覚ならあるが、
  恋、
  が醸し出す爽やか朗らか甘酸っぱさとは、
  完全無縁だったんだぜ。

  なんで完全無縁に感じているかと言えば、
  「呪いを浴びた頭がおかしい化け物」として、
  両親込みの実家一族から、
  育てられてきたからだよな。

  恋という感情は、
  少なくとも「自分が人間だ」
  と思えている者にしか抱けないんだ。
  愛にはまだ狂気が介在できる。

  もちろん人によっては、
  愛こそが崇高であり、
  恋こそが混乱の元であるように、
  感じる方もいると思うんだが、

  それはあくまでもこれまでに、
  恋を経験できた人の感覚なんだよ。

  自らを化け物と思い込んでいたら、
  化け物に興味関心好意を抱いてくれる、
  狂気を有する人を見つけ出す以外に、
  どうしようもないと思い込む。

  はい。
  ここで重要なキーワード出て来ました。
  そうです。「思い込み」です。

  親の教育による思い込みであり、
  親の価値観自体が思い込みです。

  私の側の思惑はともかく、
  出会った当時30代中盤だった配偶者の目に、
  当時20代中盤だった私は、
  それなりに可愛かったはずだ。
  きっと。多分。おそらく。

  その辺りどうでしたかと確認したところ、
  配偶者はしばらく考え込んで、

  本気で長考
  (・ω・)(・∀・)

  「恋はベクトルで、
   愛はスカラーだよね」

  と言ってきたので耳がビビった。

  (・ω・)(・∀・;)はい?

  ベクトルは知ってるけど、
  スカラーは私初めて聞く何それ。

  「愛が重いとは言うけど、
   恋が重いとは言わないでしょう」
  「ああ。恋多き、とは言うが、
   愛多き、は聞かないな」

  「ベクトルは方向と強さで、
   スカラーは質量」
  「なるほど。それは、
   恋がしんどい人もいれば、
   愛がしんどい人もいるわけだな。
   面白い」

  「変わった意見出してみたいと思って、
   思い浮かべただけだから、
   定義とかはきちんと調べ直して書いてね」
  「はーい。分かりましたー……」

  「じゃない。私が確認したかったのは、
   出会った当時私に恋してましたかって」
  「してたよ」

  もちろん  まあっ♪
  (・ω・) (・∀・*)


(注)私は「万華鏡」企画において、
   お題に対しての真っ向勝負を心がけております。
   ボケやノロケと解される事は、
   致し方ありませんが、
   不本意、と申し上げる事をお許し下さい。

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

いいなと思ったら応援しよう!

偏光
何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!