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みんぱく映画会『瞽女 GOZE』

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 国立民族学博物館は、
 月に一回くらいの頻度で、
 特別展関連作品の、
 映画会をやってくれる。
 (無料だけど要予約)

 「吟遊詩人の世界」展関連となると、
 二作品観に行ったよ私は。  

(文字数:約2000文字)


  『瞽女 GOZE』
  2019年 瀧澤正治監督


と言うより広瀬浩二郎さんのファン

  博物館勤務の教授だ。

  10代前半から盲目になり、
  点字受験で初めて、
  京都大学に入学した人だ。

  経歴はそのくらいで良いとして、
  主に視覚障害者を対象にした、
  「さわれる展示」を目指している。
  そこを私はリスペクトだ。

  「友の会」に入会し、
  博物館に通っていくうちに、
  私という存在を認識されたい!

  「ファンです。応援してます」
  と名乗り出て近付きたいわけではない!
  私自身の言動に興味を持たれ、
  面白がられたい!

  「吟遊詩人の世界」展の、
  「瞽女」ブースは、
  広瀬さん担当であったわけだ。

  そりゃそりゃそりゃ私は、
  映画会も行く。


開会挨拶

  そしたら広瀬さんのっけから、
  自作の詩を朗読。

  なかなかに侮れない。
  「タンタン」という一語を、
  淡々、眈々、耽々、坦々と、
  四種類の漢字を使い分け、
  瞽女たちの歩く様としても表している。

  眈々、と、耽々、の、
  目と耳の違いについても言及する。
  晴眼者だとそこまで気にならない。

  「映画を観ていただく前に、
   私の立場から言うのはなんですけど、

   この映画のまとめ方は、
   ちょっと古臭い感じがして、
   個人的には好みではありません」

  みたいな事を仰って、
  おほう、そいつぁ確かに、
  企画者兼司会として爆弾発言だぜ(汗)。

  「可能な方は、
   なぜ私がそう感じるかにまで、
   思いを馳せながら観てもらうと、
   ありがたいです」

  分かった。心して観る。


♪嬉しいこんだね 嬉しいこんだね

  うん。
  良い映画だったよ。

  映画の後は休憩の後、
  時代考証を担当した斎藤弘美さんと、
  瞽女唄指導を担当した萱森直子さんの、
  対談が行われて、

  瞽女、という制度に、
  そのものとして生きた人は、
  絶えてしまったのだけれど、

  萱森さんは、
  映画の主人公である最後の瞽女、
  小林ハルさんから、

  瞽女唄を引き継いで歌っている、
  との事で、
  対談中にも2、3曲披露して下さる。

  作中で特に印象的だった楽曲は、
  映画のために特別に、
  萱森さんが作曲したとのこと。

  確かに一ヶ月が経った今でも、
  思い出そうとすれば引き出せるな。

  「古臭く感じられるかもしれませんが、
   今の時代にこそ是非観てもらって、
   受け取ってもらいたいメッセージが、
   込められた作品だと……」

  あ。対談のお二方、
  広瀬さんの爆弾発言が、
  そりゃあ快くは感じなかったな?
  (だって映画関係者だものね。)


純粋たる鑑賞者の立場から

  正直に申し上げると、
  この映画を誰かに勧めたいか、
  自分でもまた繰り返し観たいか、
  と思い返したところ、

  どうしても耐え難いシーンが一つと、
  どうしても許し難い文言が一文、
  存在していたんだ。

  広瀬さんの発言も多分、
  そうしたところだな。

  苦難に耐えて明るく健気、
  じゃ、ねぇんだよ。

  「目が見えない」という言い方は、
  晴眼者から見たものであって、
  当事者たちに言わせれば、
  「視覚を知らない」んだから。

  目が見える便利さも知らなければ、
  本来出来るはずの事が出来ない、
  という意識すらも無い。

  じゃあ触りましょうし聴きましょう。
  三味線を弾いて歌いましょう、
  くらいのものだ。

  むしろ「暗いと歩けないなんて不便ね」
  とか思って笑ってたりする。
  そりゃ晴眼者からは健気にも見える。

  障害者は不幸ではないと言われるが、
  当事者としては不幸だとも良く聞くが、
  「不幸ですね」「かわいそうですね」と、
  他所から言われて気分が良いはずもない。

  「せっかく同情されてるのに何なの?」と、
  健常者からは理解し難いところなんだが、
  そこは私も(一応の視覚的には)
  健常者の一人として、

  自分たちの感覚の方を問い直す、
  興味深い機会に出逢えたと思おう。


おまけのアドベントカレンダー

 もちもちかふわふわかとろとろの、
 あまあまを食う。

 ただしもちもちに限っては、
 あまあまでなくても構わない。
 もちもちはもちもちである時点で、
 しあわせだからだ。分かるか。


以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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偏光
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