【創作大賞感想】たらはかに『#体は心の容器です』
感想記事全体の思惑:セブンソード的な試み
毎週日曜日に連載している長編小説の、
9月分を書き終えたちょうどそのタイミングで、
タイムラインに流れ込んできたから。
そして軽妙なタイトルに気を惹かれ、
あらすじを読み始めたら、
一行目から容赦の無い設定に度肝を抜かれたから。
初読時:約2時間
再読時:2時間半
話が大まかに掴めていないと読み込みづらい。
以前からフォローしていた方であり、
日頃から発想力に底知れなさを感じている方なので、
私の文章も他の6名より敬語多めになっています。
(文字数:約2000文字)
なるべくネタバレせずに話の内容
余命一年の女性と心を交換された汐里は、
ネットで心交換師のモーリーを見つけ、
「死期が近くても構わない」人との、
心交換を依頼する。
ARの事務所でアルバイトしながら、
美沙や透菜といった依頼者に関わるうちに、
自分は「誰かと入れ替わってまで」生きたいのか、
考え始める。
一方でモーリーは、
「自分の身にしか無い能力」が、
使われた事について調査を続け、
十年越しの真相に辿り着く。
重箱の隅をつつくのが大好き
ところどころで詰めがちょっとずつ甘い。
かにだけに。
かにであれば美味しそうですが。
誤字脱字に、
文章を試行錯誤した結果の語句重複が、
ちょっと多めです。
偶然改行位置が良くなって、
流し読みしやすくなっているために、
見直し時に拾いにくいように思われます。
また「心が入れ替わる」話において、
ハンドルネームに芸名も含めた、
個人名の誤記は致命的です。
「松上」が誰か分かりませんし、
松上の中の人も不明です。
(もしかして創作大賞に投稿された、
他の作品と連動していたら申し訳ありませんが、
なるべく単一作品で読める方が良いと思います。)
渋谷が渡してくれた汐里の私物が、
そのまま「澤田香」の物になるとは思えません。
そもそも同じ病室を割り当てられる気がしません。
また病院の看護士が、
「汐里さん」と呼びかける事も有り得ません。
たとえ患者本人がそう呼んで欲しいと望んだとしても。
せっかく「澤田香」というフルネームが示されているので、
澤田香の体に対しては、
全編通して澤田香を使えばいいと思うのですが。
トータルでは楽しい
事務所がARという設定なので、
それはもう自由に遊んでいらっしゃる。
事務所内の雰囲気を味わうためだけにでも、
読み進めて良いかと思われる。
「輪廻が交わる接点の刹那」は、
実は2回しか出ていないのに抜群に印象に残り、
モーリーのキャラクターも固定される。
現実や実在の物質が関与しない、
内面世界を表現する比喩が巧みです。
「ピーチスムージー」なんか絶対に、
私にはその状況下で思い浮かばない。
あとセリフ同士の掛け合いは、
独特のユーモアにリズム感があって面白い。
ところどころに差し込まれるSNS文も、
煽り具合にムカつかせ度合が実にリアル。
冷静に考えてしまうと、
相当に過酷な内容なのですが、
深くは悩み込ませずに読み通させる、
絶妙なさじ加減です。
あんまりだよたらはかにさん……
かなりの大きな謎が、
しっかりと残されたままなので、
読後感はあまりよろしくないです。
渋谷には何の目的が。
(うっすら推察はできますが。)
あと結局犯人は何者ですか。
悪賢さといい人心操作力といい、
捨て置くには只者ではない。
主人公たちが実際のところ、
小学生+αの人生経験に感覚である以上、
謎は謎のままで残してもいいかもしれませんが、
筆者は答えを知っているはずだと、
思わせてもらいたいです。
もしかして、え、もしかして、
筆者にも謎のままだったりします?
筆者様の悪ふざけ部分が噴き出してたりします?
それだったらあんまりですよたらはさん!
フィクションとはいえ人が結構死んじゃってるからね!
わりと(;∀;)泣くよ
しかし思い付いてしまった以上は、
内容はともかく形に変えてしまいたいというのも、
小説家の宿業だよな。
一つの懸念事項
しかし発想力がとんでもないたらはさんの事だ。
もしかして私などには想像もつかないような、
文章術を駆使されているのかもしれない。
改行位置が良くなっている事が、
偶然ではないとしたら?
実は暗号が仕込まれていて、
真相が隠されているとしたら?
だとすると感想を書くのは、
解読できてからの方が良いんだが、
創作大賞感想〆切7月31日までの、
時間的余裕が無いものでこの辺で。
以上です。
ここまでを呼んで下さり有難うございます。