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モンブラン失言当事者【毎週ショートショートnote】

「『モンブランが大好きなんですよ』って……」
 連れて行ってもらったレストランで、先日出来たばかりの彼氏は涙目だ。
「女の子が言ってきたら、そりゃケーキの事だって思うじゃん!!」
「それは、申し訳無い」
 当事私は働き続けながらも、暇なぞは一切無いのに小説を構想し続けていて、それ以前に十歳頃から私の人生の傍らには常に執筆があったものだから、
 モンブランと言えば私にとっては、筆記用具以外に有り得なかったんだが、
「デザートに評判のモンブラン出してくれるイタリアン、クリスマスシーズンにちょっとお高めだけど、奮発して予約しちゃうじゃん!!」
「それは、有難う。料理は美味しかった。本当に」
「それならそれで僕中之島の万年筆専門店知ってるから、プレゼントに用意したのに!!」
「マジか。ぜひ今度、と言うより明日にでも連れて行ってくれ」
 って事は今夜は彼の家に泊まると分かった途端に上機嫌でペリエ飲み始めた。


(400文字)

 わりと実録。

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