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誰か源兵衛のために泣いてくれ
はじめましての人も、
前から知ってる方も、
ごきげんよう。
偏光です。
今年の秋ピリカグランプリに、
応募しているのですが、
審査員の皆様あるいは、
読者賞に投票したい方にとって、
この記事は余計な情報に、
なってしまうかもしれません。
読まれなくても大丈夫です。
読まれた方はあくまでも、
この記事は
![](https://assets.st-note.com/img/1728045099-Un02cgR6zdQHE8ClPpFVsSkq.png)
だと思って下さい。
(文字数:約1500文字)
まずは応募作品↓
ジャンルは不問、
とは言え何のジャンルにしようか、
と考えた時に、
「なんのはなしですか」タグを、
つけたい衝動に物凄く駆られたものの、
実際一度入力し選びかけたけれども、
どうにか思いとどまったんだ。
恋愛もの、
と銘打とうにも、
この恋愛は始まってすらいない。
もしかすると勘違い男が、
勝手な妄想を膨らませたようにも、
読まれかねないが、
表面上はそう読まれても構わないんだが、
源兵衛にしてみたらこの恋は、
敢えて始めずにいたんだよな、
と思ったら、
せめてタイトルでその旨を示しておこう。
誰か源兵衛のために泣いてくれ、
と思いながら投稿ボタンをクリックしたんだ。
まぁ小説(フィクション)なので、
源兵衛は実在しないんだが。
とは言え私はここ2、3年、
高野山に通い続け、
舞台にした神谷も訪れて、
かつて餅屋があった事も、
餅が他所から入って来て以来、
高野山ではヒット商品だった事も、
神谷と書いて、
「こうや」と読ませる文献の存在に、
「(地名の由来は)紙谷」とする記述も、
この目で確認してきたんだ。
現地の人に話を聞いても、
「いやぁそんなわけない。
紙を作ってきたのはふもとですよ。
有名だし資料館もありますよ」
と軽く流されてしまったが。
そしたら頭の中に、
なぜか石臼に向かって
(一般的には木臼だよな?)、
杵を振るう男性の姿が浮かんできて、
おばあちゃんが彼に向かって、
「源兵衛」と呼ぶじゃないか。
ならばコイツは源兵衛に違いない。
と書き始めて、
コイツの一日に密着取材した感覚で、
書き進めている以上、
フィクションで実在しないとは言え、
自ら作り上げただけの存在とは、
どうにも思い切れないんだよ。
最終的にはおいおいって、
自分で書いててマジかーって、
相当悲しくもなってんだよ。
まぁ先日購入した、
田辺青蛙さんの『紀州怪談』に出てくる、
「紙漉きの姉妹」のエピソードを、
取り入れてしまった以上、
こうした結末に至るしかないんだが。
その中ではまだ牧歌的な方だと思うが。
新宮市の話だから、
同じ和歌山県とは言っても、
高野山とは相当離れているし、
紙だけが人手に渡って、
エピソードは伝わってない事は、
まぁ有り得るなと思って。
![](https://assets.st-note.com/img/1728046725-nPLr4UOp6jesvtV0aboY7Zyk.png)
出来事だけを見ればこれは、
「何も起きなかった話」であり、
「何にもならなかった話」だ。
源兵衛の名は歴史に残らず、
福屋も今現在の神谷には無い。
しかしながら、
一見無駄にも思える細部こそが、
表舞台に彩りや味わいを、
添えているものだ。
大した話なんかあるわけがない、
と思われてきたような場所から、
誰も気に留めなかったような物語を、
わざわざ拾い上げる事が、
私は心底大好きなんだなと思い出した。
以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。
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