無理無理童話88蛸【毎週ショートショートnote裏お題】
思えば悪友との会話は無駄に多岐に渡っていた。
「忠臣蔵って何で『蔵』が付くか知ってる?」
「四十七士だからだろ?」
「だから、それで何で『蔵』が付くのかって」
「江戸期の商人のステイタスだよな。いろは順に四十八蔵、揃え切れたらコンプリートだ」
「48前後の数、が小気味良く感じるわけだね。我が国民には」
「貴様の国民に聞こえるぞ。我が国の国民、な。助詞大事」
私はノートを広げたり本を読んだりしながらの、話半分だったが。
「結構前から気に入ってる話を紹介したいんだけど」
「貴様の気に入るような話は相当に不安だが、何だ」
「現在も関西に残っている、某K城が、敵軍に襲われた時に海から蛸の大群が上陸して、助けてくれたって話」
「それが本当の話なら『助けてくれる』と判断できた目撃者達がすげぇな」
「記録も残ってる本当の話だよ。で、大群って言っても蛸は全部で11匹だったって」
「ほう。その心は」
「足の数88(エイティエイト)で米寿」
「無理無理」
(410文字)
単に「蛸地蔵」の逸話を紹介したかっただけ。
そして最後のセリフを「無理無理」で終えたかっただけ。
私も他人から聞かされて度肝を抜かされたけれども、
実際に現地と文献に出会えるまで10年以上かかったから。
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