見出し画像

Joi Ito's Podcast。紹介された「おたより」に関連した情報をまとめてみました。

Joi Ito's Podcast の「3周年記念おたより企画」は先週に引き続いての2回目。
今回の「おたより」からのテーマは、
・ニューロダイバーシティ
・日本をweb3の中心にする!という熱い思いが込められた「web3ホワイトペパー」
・日本DAO協会
などです。

テーマに関係のある本や情報を集めてみました。


その前に、先週採用された私の「おたより」で引用した伊藤穣一氏の『還元に抗うマニフェスト - 機械と共に歩む複雑な未来を設計する』を紹介します。

少し長いですが、論文の最後の部分を引用します。
今の世界を考えてみるために。

結論:繁栄の文化

flourishing(繁栄する)という言葉はElizabeth Anscombeが1958年に書いたエッセーが発表されてから特に重要な意味を持つようになったが8、繁栄を特徴とする感性と文化を作り上げ、"成功"について多様な指標を受け入れるには、権力とリソースを蓄積することよりも、経験の多様性と豊かさが重要だ。これこそが人類が必要としているパラダイムシフトだ。これは極めて適応性の高い社会を創り出すために使える、技術や文化のパターンを豊富に与えてくれる。この多様性はまた、システムの要素がお互いに養いあいつつ、単一通貨による単一文化のつくり出す搾取や収奪のエートスをなくせるようにしてくれる。この新しい文化は音楽、ファッション、スピリチュアル性などの芸術形態として広がる可能性が高い。

日本人としてぼくは、環境についてどうすればいいかと日本で最近尋ねてみた中学生たちが、幸福や、自然の中での人間の役割について質問を返したことに勇気づけられる。また同じように、MITメディアラボや、尊者テンジン・プリヤダルシと共同で教えている「意識の原理」という講義の生徒たちが、成功や意味を測るのに各種の指標(通貨)を使い、この複雑な世界での自分の場所を探す複雑で難しい課題に正面から取り組んでいるのを見て、やはり勇気づけられる。

ぼくはまた、IEEEのような組織が人工知能開発の設計ガイドラインを、経済的影響ではなく人間の福祉中心に構築しはじめていることにも勇気づけられている。Conservation InternationalのPeter Seligmann、Christopher Filardi、Margarita Moraが行っている自然保護活動は、原住民が繁栄できるように支援するものなので創造的でエキサイティングだ。もうひとつ、勇気づけられる例を挙げると、伊勢神宮の神官たち過去1300年にわたり、自然の再生と循環性を祝って20年毎に植樹して神殿を建て替え続けてきた儀式がある。

1960年代と70年代にはヒッピー運動が"ホールアース(全地球)"運動を全うしようとした。しかし、その後、世界は今日の消費文化へと逆戻りしてしまった。ぼくは新しい覚醒が起こり、新しい感性が文化的な変革を通じて人々の行動に非線形の変化を引き起こすと期待しているし、またそうなると信じている。システムのあらゆる層で、もっと回復力のある世界を創り出そうと活動し続けることは可能だし、またそうすべきだけれど、文化の層こそが、いまぼくたちが歩んでいる自滅の道をやめるという根本的な是正につながり得る層として、潜在力が最も高い層だとぼくは信じている。これを実現するのは、歴史的にもみられたように、新しい感性を反映し、増幅する若者たちの音楽や芸術になると思う。その感性とは、貪欲さに背を向け、「十分すぎるのは多すぎる」ことを認識した世界において、自然を思い通りに操るのではなく、自然と調和しつつ繁栄する感性だ。

『還元に抗うマニフェスト』より


1.普通をずらして生きる――ニューロダイバーシティ入門

ニューロダイバーシティという言葉を聞いたことはありますか?

人と話すのは苦手でも、絵やダンスで思いを鮮明に伝えられる人がいます。

ちょっとした音や光で激しく動揺してしまうけど、心が休まる環境さえ与えられれば、高度な計算やプログラミングにずば抜けた能力を発揮する人がいます。

ーー発達障害や自閉症と診断される「非定型」な人は、「標準的」な能力を持つ人とは違うとして「区別」されてきました。しかし、これからは両者が「混ざる」ことでこそ社会が変化します。

脳神経の多様性、すなわちニューロダイバーシティのありかたを教育に実践する二人が語る多様性社会の最新デザイン。

これからの教育から地域社会、組織を前進させるための、「普通」をずらしていくドキュメントです。

【著者紹介】
[著]伊藤 穰一(いとう・じょういち)
1966年生まれ。ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として、主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。2011年から2019年までは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長に奉職。非営利団体クリエイティブコモンズの最高経営責任者のほか、ニューヨーク・タイムズ、ソニー、ナイト財団、マッカーサー財団、ICANN、Mozilla財団の取締役を歴任した。2023年より千葉工業大学学長。

[著]松本 理寿輝(まつもと・りずき)
1980年生まれ。2003年一橋大学卒業、博報堂入社。不動産ベンチャーを経て、かねてからの構想の実現のため、2010年ナチュラルスマイルジャパン株式会社を設立。認可保育所「まちの保育園」、認定こども園「まちのこども園」を都内6箇所にて運営。保育の場をまちづくりの拠点として位置づけ、豊かな社会づくりをめざしている。レッジョ・エミリア・アプローチ国際ネットワークの日本窓口団体「JIREA」の代表もつとめている

2.自民党web3ホワイトペーパー


3.日本DAO協会

4.今週のJoi Ito's Podcast


ニューロダイバーシティの広がり

ここからはシナダがお届けしてまいります!

3年前と比べ大きく前進した分野がニューロダイバーシティではないかなと思います。そもそもこの単語、3年前はほぼ使われてませんでしたよね。今ではテクノロジーの分野でも脳の多様性は必要!なんて記事を見るようになりました。 自閉症や知的障害などの多様性は国内ではまだまだないに等しい状態ではありますが、でも「こういう考え方が当たり前だよね」と思うような空気感が少しずつでも醸成されてきてるのかなと思います。

ニューロダイバーシティ味溢れる娘を持つ母として、ここを次の3年でもっと身近なものにできるといいなと切に思います。

先週の動画はこちら。


「おたより」のコーナーが新しくなる?
これからも楽しみです!