同じ職場の人のこと、知っていますか? 心の距離を縮める「雑相の会」
こんにちは。三菱電機変革プロジェクトnote編集部です。
みなさんは普段、職場の人と雑談していますか?
隣の課の人とは? 別のフロアの人とは・・?
三菱電機系統変電システム製作所赤穂工場では、部署を跨いでの雑相(雑談×相談)を通じた組織風土改革に取り組んでいます。
今回はその中でも始めの一歩となる「同僚の人となりを知る」ための「雑相の会」について、運営メンバーにお話を聞きました。
――雑相の会とはどのようなものですか?
小林:毎週木曜日の就業時間内に1.5~2時間、工場内のいろいろな部署から7人が集まり、飲み物を片手に交流する会です。同じ工場で働く人たちの「人となりを知り、心の距離を縮める」ことが目標なので、業務の話はNGとして趣味などオフタイムの話を中心に雑談・交流する場としています。
――企画のきっかけはどのようなものでしたか?
小林:工場内のコミュニケーションに違和感を持ったのがきっかけです。赤穂工場は総勢300人ほどの、三菱電機内では小さな工場ですが、部署によっては社員間のコミュニケーションが希薄なところもありました。
私は実家が町工場を営んでおり、小さな頃から工場に入り浸っていて、製造現場の人たちと経営者(父)両方の考えや悩みに触れていました。三菱電機に入社して赤穂工場に配属された際も、規模は違えど雰囲気やそれぞれが抱える課題は共通していると感じていて、根源はコミュニケーションの不足にあると考えていました。結局みんな「もっと自分たちのことを見てほしい、知ってほしい」んですよね。
最初は自分の手が届く範囲で試行錯誤していましたが限界があり・・。そのタイミングで全社的な変革プロジェクトが始まったので、「仲間がいればうまくやれる」と工場内全体の活動にトライしたのが始まりです。
岡本:赤穂工場内の活動を開始する前にアンケートを取った結果、やはりコミュニケーションに対する課題意識が最も大きく、「まずはここからどうにかしよう」と企画を進め、「お互いの人となりを知るところから始めよう」となりました。
――提案に対する反応はいかがでしたか?
岡本:ある程度企画した段階で工場長に相談したところ、全面的に賛成してもらえました。仕事の話はNGとする点についても、伝える前から逆に「仕事の話はしないよね?」と聞かれたり(笑) また、ちょうど工場内でもコミュニケーション不足による課題が顕在化し始めていたこともあり、課長さんたちも賛成してくれましたね。
小林:一部の人から「業務の話をしないなら意味ないわ」「よその担当者と雑談して何があんねん」という声もありましたが、「まぁ一度やってみましょう」「一回参加してみてください」と草の根的に勧誘していきました。
――会を開催する上で工夫した点はありますか?
小林:ただ集まって雑談しましょう、だけでは人が集まらないと思ったので費用管理部門に相談したら、ペットボトルを一人一本、会社から提供してもらえることになりました。小さなことですが、「行けばドリンクがもらえる」と参加する人もいて、意外と効果は大きかったです(笑)
岡本:開催する時間については工夫しました。会社の交流イベントは就業時間外に開催することが多いと思います。ただ、製造現場の人たちはシフトの関係などで不都合なことも多いので、就業時間中の開催としました。
徳永:また、管理職に参加してもらうか否かについては議論がありました。その場に管理職がいると喋りづらいと感じる人もいるので・・。でも、製造現場の人たちからすれば課長や工場長はとても距離が遠く名前も知らないという人がいるなど、変革チームとしては管理職と担当者の間の距離感にも課題意識を持っていたので、「雑談に上司も部下もないだろう」と全員ごちゃ混ぜでの開催としました。最初は少しぎこちなかったけど、回を重ねるごとに雰囲気も柔らかくなっていきましたね。
小林:会場としてリニューアルされたばかりの食堂(の一角)を使ったのも大きかったですね。それまで工場内には雑談に適した場所がありませんでした。会議室じゃどうしても「会議」の雰囲気で硬くなってしまいますし・・。雑談できる明るいスペースが欲しい!と思っていたところでタイミング良く食堂を改修する話が出まして、私たち変革チームにもヒアリングがあり、この雑相の会をイメージした改修案を提案して反映していただきました。
小林:会の進行に関する工夫としては、「話のネタに困る」という人のために「話題カード」を用意して話し出すきっかけにしてもらっています。「好きな映画の話」や「最近の『やっちまった』エピソード」など、みなさん引くたびにいろんな声があがって盛り上がりますね(笑) これらも含めて、「まずは一度やってみて、うまくいかなかったら考える」という方針で施策を進めています。毎回「今日どうでした?」とアンケートを取って、集まった声を次の回に反映しているので、どんどんリアクションも良くなってきています。
――これまで1年以上開催してきて、周囲の反応はいかがですか?
岡本:多くの参加者が「純粋に楽しめた」「他部署の課長や部長と話せる機会なんて普通無いから驚いた」「こんな人が自分の前後の工程で仕事していると知れて良かった」と前向きに捉えてくれています。また、初めて訪れる部署/オフィスにも会で話して知ってる人がいることが多いので安心して入っていけるという声もあります。
津村:もっと話したいと要望が出たので、希望者を募って「夜の部」を開催したところ、約60人が集まって大盛り上がりでした。終了後には「こんなことができるなんて思ってなかった」「企画してくれてありがとう!」と私たち運営メンバーのところに感謝の握手待ち列ができるほどでした(笑)
徳永:「昼の部」も「夜の部」もある種の「飲みニケーション」で、「飲みニケーションは古い」という意見もありますが、人となりを知る手法としては手っ取り早く効果的だなと実感しました。一方で「一回雑談しただけで何が変わるの?」という意見があるのも事実です。まだやっと一人一回参加できた程度なので、回数を重ねて工場内のコミュニケーション改善、さらには風土改善につなげられればと思っています。
――今後「もっとこうしたい」というものはありますか?
津村:やっと一人一回参加できた程度なので、これをもっと回したいと思っています。そして「夜の部」も第2回、3回、4回と開催していって、工場内みんなが顔見知りという環境を作りたいです。
岡本:工場内の人が、特に製造現場で働く人たちがいきいきと働ける環境・雰囲気を作りたいと思っています。まだまだ途上なので、いろんな施策をトライして風土改善につなげたいと思っています。
小林:実は「雑相の会」は次のステップを始めるための基礎づくりとなる企画なので、これをきっかけに業務でも工場内の風通し向上を進めたいと思っています。既に始めている企画があるので、まずはそれらの定着ですね。最終的には多くの人が朝起きた時に「会社に行きたい!」と思える職場をつくりたいと考えています。
編集部:それでは今回はここまでにして、次回その「別企画」のお話をお願いします!