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heとか、sheとか。 七緒栞菜

 「彼」とか「彼女」というワードは、「恋人」みたいなニュアンスを微かに纏うような気がして、いつも少しの使いづらさを覚える。なぜ、英単語の「he」とか「she」みたいに使えないのか。なぜ、ただの「彼」とか「彼女」に、「ダーリン」とか「ハニー」っぽい意味合いが少々加えられてしまうのだろうか。(私の思い込みでしょうか。)

 三人称の男性や女性であれば、誰に対してでも「彼」「彼女」を使っていいはずである。でも例えば、中学時代のある男性の友人についての話をしている最中に「彼、すごく面白くてさ。」とか言ってみたりすると、「え、なんかあったの?(にやり)」みたいな状況が発生することがある(ような気がする)。なんなのだろう、この違和感は。

 私はパートナーに対しても、「he」という意味合いで「彼」という単語を使いたいのだが、それが恋愛対象としての「彼」みたいなニュアンスで相手に届いてしまうかもしれないことに、ものすごく細やかながらも確かに存在する違和感を無視することができず、いつも結局「パートナー」と呼んでしまう。決して彼が恋愛対象ではないわけではないのだが、ただ「he」と呼びたいだけなのに.…という思いがよぎって、結局「彼」と呼べない。あの子はもっと単純な「he」なのに.…と思う。

 もっとすがすがしい気持ちで、誰にでも「彼」「彼女」と呼びたい。
いつの時代の友人だって、地球の裏側にいる会ったことのない人だって、横にいる恋人だって、ちょっと向こうにいる家族だって、みんな「彼」だし、みんな「彼女」だ。


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