ハワイ移住生活記7 死体発見
リクエストをいただきました。どうしようかと迷ったんですけど、わたくし自身もちょっと書きたかったりして。書いちゃいます。
わたくしは、2000年にハワイへ上陸しました。ハワイ情報WEBサイトをつくり、その会社の副社長としてやってきたのです。経営者のビザでしたが、実際にわたくしができるのは経営ではなく編集です。なので、副社長という肩書きですが、編集の仕事ばかりをしていました。
のちに複数の社員をかかえる会社になるんですが、当時はわたくし1人です。で、住んでる部屋はそのまま職場になっておりました。
最初はワイキキバニヤンに部屋を借りていましたが、わたくしが契約していた個人オーナーから、年末のお休みに使うから返してほしいと言われ、1年もしないうちに出ることになりました。
さて、次の部屋はどうするか。1人暮らしなので広い部屋は不要です。が、休みのたびに前妻と2人の子どもたちが遊びにくるので、少し広い部屋が欲しいかも。
翌年の2001年。わたくしは、モイリイリエリア(アラワイ運河を隔ててワイキキの北)にあるコンドミニアムに住むことになりました。当時、経理をお願いしていた会社の事務所が入っていたコンドミニアムです。事務所が入っていましたが、基本的には住居です。1フロアに、2ベッドルームと3ベッドルームの部屋が一つづつしかない高級?なコンドミニアムで、エレベーターのドアが前と後の2方向にあります。それぞれが2ベッドルームと3ベッドルームの部屋に直結している、なんだか贅沢な感じのコンドミニアムです。
バブル時代、日本の企業が社宅として建てたコンドミニアムで、わたくしは2ベッドルームの部屋を借りました。現在のハワイの相場からしたら信じられませんが、2ベッドルームで駐車場付き、バブルバスに洗濯機&バスルームも完備で家賃が月$1300.00でした。いやあ、良かったなあ。
わたくしは小さい頃から恐がりでした。そして、家族がいない間の2ベッドルームはでかすぎます。その広い空間がなんだか怖くて、あちこち電気をつけて、明るくして暮らしておりました。暮らすというか、仕事をしておりました。寝る時も真っ暗にはしません。隣の部屋の電気をつけたまま眠っておりました。
1年ぐらい過ごしたある日、仕事をしていたら視線を感じました。1人なのに、です。恐がりなので、体が鳥肌だらけになりました。それから、時々怖いことが起こるようになりました。モノが動いたり、壁から顔が出てきたり(怖いから顔を背けて見てませんけど)
雨が降った後、晴れるとなんだか妙な匂いがしたりしました。恐がりなので、悪いことばかり想像してしまいます。上の階で人が死んでるんじゃないか?
果たして、それは本当にその通りでした。
住み始めてちょうど2年くらい経ったある日、取材から帰ってくると、天井から茶色いものが垂れているのを見つけました。なんだか茶色いペンキのような? 天井にその液体が溜まっているようで、どばっと天井を染めています。茶色の液体はめっちゃ臭い。
なぜか直に触ってはいけない気がして、机の上にあった雑誌の表紙を破ってその液体を拭ってみました。そして、鼻の近くまで持ってきてクンクンと臭ってみます。吐きそうになるほど臭い。っていうか、こんな匂いを嗅いだことはないというくらい臭いです。いったい何の匂いなのか!?
1階へ降り、管理スタッフに状況を告げます。と、なんと、上の階に人は住んでいないと言われました。え?いない?
管理スタッフはアルバイトの若い男の子でした。じゃ、上へ見に行こう!と言ってくれました。わたくしは別に行く必要はなかったのですが、何故か彼と一緒に上の階へ上がろうとしました。
上の階に人は住んでいない、と言われたのに、エレベーターが開いた瞬間、そこには靴や荷物が並んでいました。生活感いっぱい。おかしい。
ドアをまわすと開きました。鍵がかかっていないのです。が、ドアは開きません。内側に何かが立てかけてあって、ドアが開かないようになっています。ドアは何度も開けようとされたようで、数カ所にキズがついています。でも、誰も開けることができなかったのでしょう。ちゅうか、管理会社はなぜ開けようとしなかったのでしょう? 開けれなかったからといって、なぜそのままにしていたのでしょう?
若い管理スタッフはボスに告げてくる、と言って降りていきました。
と、なぜかわたくしは思いつきました。ドアの後ろにつっかえ棒が立て掛けてあるに違いない。ドアの隙間から手を突っ込んでそのつっかえ棒を外したら、中へ入ることができるに違いない。
管理スタッフのボスが上がってくるのを待って、その通り、つっかえ棒を外し、部屋の中へ入りました。そして、思わず震え上がってしまいました。部屋の中心に置かれたソファの上に、男の死体が横たわっていたのです。
管理スタッフのボスは、降りるエレベーターの中で笑っていました。
「オレはベトナム戦争へ行ってた。そこで死体をいっぱい見たさ」
そんなことどうでもいいし(涙)
しばらくしてパトカーがやってきました。わたくしは、ポリスに事情聴取されるに違いない、とドキドキしながら、自分の部屋で待っていました。天井からの茶色い液体は、まだ垂れています。この茶色い液体は、あの死体の体液なのです。直に手で触らなくてよかった。。。
体液の臭さに苦しみながら部屋で待っていましたが、1時間以上たってもポリスはわたくしのところには、やってきませんでした。そして、ポリスは帰っていきました。
え?
。。。。。。。つづく