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子宮がん肉腫の母を持つ娘の記録 -part 7 (セカンドオピニオンの効果)

セカンドオピニオンは何のためにするのか

セカンドオピニオンは、何のためにするのだろうか。私は元々コンサルタントなので、偉い人とか初めての人にがんがん質問するのは平気です。自分患者だったらできなかったかもしれないですが、セカンドオピニオンをするにあたってしたことや、考えたこと、効果について残しておきたい。私はセカンドオピニオンは、自分の仮説検証が主たる目的でしたが、実は母親への優しい声掛けといった実利ではないところも価値を感じています。

セカンドオピニオンを実施したところ

  • 県のがんセンター(がん肉腫とわかったあと、抗がん剤治療の前までの期間)

  • 虎の門病院の消化器の専門医、転移肝がんに強い進藤先生(肝転移が分かってすぐ)

  • 虎ノ門病院の腫瘍内科医の陶山先生

  • がん研有明の婦人科の尾身先生

  • 国立がんセンター(これから)

なぜセカンドオピニオンをしたのか

いくつか要因はあったと思うけど、主治医が言っていることはほんと?とか、この選択肢しかないの?とかあったが、おしなべて納得仕切れていなかったからだと思う。県のがんセンターだけは、目的がぼんやりしていたが、それ以外は明確な目的があった。

どんな目的でセカンドオピニオンをしたのか?

私が娘として、選択肢を探すことに徹していたので、その選択肢を強化するないしは、主治医が希望する選択肢を取ってくれるようにコメントをもらうようにしていた。これが目的かな・・・

セカンドオピニオンへのプロセスー実際は?

ただ実際は、告知されたときに想像を超えていてすぐには動けなかった・・・
虎ノ門の進藤先生は、肝臓に影がと言われたときにすぐAmazonで肝臓がんの本を片っ端から買った。その中に、先生の本があった。以前を紹介した本でもありますが、転移性肝がんは手術の意味があれば切れるもの、手術の難易度が高い臓器であることがわかった。つまり医者の腕次第だ。またその本の中に、手術の適用非適用は腫瘍の数がもちろんファクターとして大きいがそれだけではないと書いてあった。
参考:あきらめてはいけない 肝臓の「がん」の話 ~肝臓がん・転移性肝がんの運命を変える肝臓外科医の方法論~ 

ここまで準備していたが、実際肝臓に10個以上転移があるといわれて、しかも2ヶ月で。。。というのに言葉が出なくて。そして体癌ガイドラインのセオリー通りTCになった。さすがにそれでいいのか?と思ったけど、この状況だと何も言えない。
一刻も早く抗がん剤をとなり、3日後の金曜日に開始となった。その抗がん剤の日に質問する時間をととれるだろうと母が言ってくれたので、翌日に電話して事前に伝える。

金曜に、主治医に肝臓転移については誰と会議をし、どのような理由から手術適用外となったのかを聞いた。そしたら外科部長とはなし、数が多すぎるからだと言われた。いやまて、数だけで適用外でいいのか?納得できないポイント1,
あと、こちらの本(世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療)には腫瘍内科医が日本に少ないということも書いてあった。そもそもがん肉腫なんだとするとここらで流石に腫瘍内科の意見を一緒に聞こうとなったのは。遺伝子パネルのこともある。治療の選択肢も他者の意見を聞きたかったので。希少癌なら遺伝子パネル検査というのがあり、確率は高くないものの、使える薬が見つかるかもしれないと。なので、この話も主治医に聞いてみたが、まだ早いと却下。なんでやねんと納得できないポイント2.
これらの観点でセカンドオピニオンをした。

セカンドオピニオン先選び

これが難しい。肝臓転移の外科手術の可能性は進藤先生に聞けば良いとシンプルだった。セカンドオピニオン先の宛先がわかっている時は、先生名まで書いた方が良い
腫瘍内科は、希少癌センターに電話で事前に相談していた。そしたら子宮体癌の取り扱い件数を教えてくれて、国立がんセンターとがん研有明が同数と教えてくれたのでどちらかにしようかと。
ここで今振り返ると選択を間違えたが、がんセンターは電話がつながらず断念。がん研有明は、地域連携室という組織がセカンドオピニオンの管理をしているので、彼ら経由で腫瘍科を希望したが、有明の判断で婦人科の先生が受けることになった。迷ったが、せっかくの機会だしいくかと。
こういう背景があったので、虎ノ門病院の腫瘍内科のセカンドオピニオンを後から足しました。なぜなら、虎ノ門は本人が希望すればその科の先生が受けてくれたから。あとがん治療については、虎ノ門病院の治療方針が共感できたのもある。

セカンドオピニオンの実施方法

最近は、オンラインの選択肢も提供する病院が増えましたが、今回の虎ノ門のセカンドオピニオンでは、対面andオンラインで対応いただきました。これは本当にありがたかったです。母の体の負担が少ないオンラインで本人が話をききつつ、私はリアルにその医師を観察し、やりとりする。これが地方に両親がいる子どもからするとベストかもと思った。もちろん、オンライン側には妹のヘルプがあったわけですが。。

セカンドオピニオンの準備

セカンドオピニオンの準備については、質問事項の事前にgoogle docに整理したくらいだけど、そのあと何を聞いたかの要旨をまとめて、家族に内容共有。目的によっても聞くこと違うし、展開によっても聞く内容が変わってくるが、目的と話の流れ、項目は整理しておいた。

進藤先生編

・目的 手術の可能を聞きたい
・得たもの
子宮体がんやがん肉腫で肝転移をした人に手術をすることは、医学的に意味があるのかはわからない。胃などでは意味があることがわかっているのだが。
ただ、切れと言われればできると。ただし、化学療法で腫瘍が増えないとか減るというのが条件。
条件は厳しいが技術的には手術できる医者がいるということを知れたのは収穫。
あとこの先生はきったはったの世界の人だが、母には、体力もありそうだし、元気そうだからまずは抗がん剤頑張ってそれから考えましょうと。前向きな感じの言葉がけを最後に母にしてくれた。その言葉がけに救われた。ありがとうございました。そして、やはりオーラがあった気がする。

陶山先生編

・目的 TCの是非。分子標的薬の選択タイミング、遺伝子パネルについてなぜ早いと主治医はいったのか

・得たもの
この先生は婦人科はそこまで強くないからと私の質問によっては、婦人科系に強い腫瘍内科の先生に確認しながら話してくれた。セカンドオピニオンとはいえ、その姿勢に感服。あ、得たものとしては、治療オプションは今の第一選択は間違ってない。今のが効かない場合、レンバチニブ、キイトルーダが次に来て、だめなら厳しいかもしれないが肉腫の抗がん剤というのもある。遺伝子パネルはやってもいいとおもうといったアドバイスに加えて、主治医がなかなかはっきり言わないことを言ってくれた。それはこのがん肉腫が母の命に致命的な影響を与えかねないと。これは本当にありがたかった。終わった後母と電話したときに、初めて自分の病気って結構大変な病気なんだと知ったと。。。これは、母が残りの時間を意識することをきっと少しずつ意識するのに役立つと思う。私も厳しい話を話しやすくなった。この先生も最後に母を励ましてくれた。ありがとうございました。
あ、分子標的薬の副作用が読めないことと、また起こった際に深刻で長く続くものがあることを教えてくださったのもよかった。虎ノ門のがんの本にも、分子標的薬は地震みたいなものという表現があってそれも参考になりました。
追記 こちらの腫瘍内科さんは、血液がん系が強いみたいです。セカンドオピニオンの数も多いみたいです。

地域連携室のありがたい存在

またこちらの地域連携室のSさんには大変お世話になりました。こーゆー縁の下の力持ちの存在は大事。彼にいろいろ質問させてもらったのもありがたい。

尾身先生編

・目的 病理検査の確認。キイトルーダとレンバチニブの投与を迷う点についてきく、遺伝子パネルの是非も。場所違うけど、エンハーツを投与されるチャンスはどうしたらできるか?について聞いた
※ エンハーツは、子宮体癌がん肉腫に効果がありそうと2023年に国立がんセンターがリリースをだしている。
子宮がん肉腫でトラスツズマブ デルクステカンによる抗HER2療法の有効性を確認 PDXモデルでの効果予測とも一致し希少がんの治療開発への道を開く|国立がん研究センター (ncc.go.jp)

・得たもの
キイトルーダ、レンバチニブはがん肉腫には承認されていないから、有明でも病院内の承認が必要。これは病院の判断によるから、地元がやらないといえば、やってくれる病院を地元の近くで探した方がよい。有明は遠すぎるので。。
なぜ、遺伝子パネルを早いと思ったのかについての説明を明解にしてくれた。つまり、このパネルは、治療法がない患者の治療法を探すのが医師の視点からの目的だと。なるほど、とその目的に納得できるかは別問題だが、そのようにクリアに言ってくださったのはありがたかった。一方で、受ける受けられないの明確な基準がないことを言ってくれたので、自分は母が希少癌だからこそ情報を早く集めて欲しいといって、話を聞きたいと言ってみたらどうかとアドバイスくれました。この先生との面談は私だけだったので、つい泣いてしまったが、私も励ましてくれた。ありがたい。。エンハーツについては、手元の治験にはないので国立に行ってほしいと。HER2たんぱくの検査は乳がんにはポピュラーだから、難しくない検査ですよということは教えてくださいました。

セカンドオピニオンの効果

おかんと私のセカンドオピニオン体験を振り返ると、もちろんこちらが希望しても主治医が前向きじゃないとか悩む理由もわかったり、後押しのコメントもらえたりといった実利もあった。が、実は厳しい事実をうまく伝えてくれたり、前向きな言葉をかけてくれたことの方が個人的には救われた。つまり、主治医に決定的にそのスキルが欠けているからかもしれませんが。。。

今回病院や先生のお名前を出すのを少し迷いましたが、セカンドオピニオンってなかなか調べにくいし、それぞれ体験が違うけど、将来の誰かの参考になればと思いわりかし細かめに記載しました。また、あくまでこちらの記載は私なりの理解であり、医師の正式な見解とは異なる可能性がある(なるべく気をつけてますが、家族なのでポジティブバイアスはかかってるとおもう)ことはご容赦ください。

続く

参考リンク:


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