「勇気を出せ!行けよ!」初めて僕が、怪我した人を助けられた話
いつ以来の投稿だろうか。
人生がやっと上昇気流に乗ったので、暫く離れてしまっていた。新職場に恋愛に、と大苦戦を強いられているがなんとか楽しくやれている。そんな僕が、遭遇したあの30分の話を聞いて貰いたい。
1週間前、自宅で会社とのZoom面談があり、それを15時頃に終えた。
その日は休みで天気も良く買い物にでも出掛けようと思い、身支度をすぐに済ませて家を出た。
自転車にまたがると、お気に入りの黒のリュックをかごに乗せて漕ぎだした。
僕の家は川沿いなので、堤防の脇の道を自転車ですいすいと進んでいく。
車通りもそれほど多くないので、順調な出だしだった。
1本目の十字路を過ぎた時、遠くの道路脇に二つの人影が見えた。
違和感があったが、近づけばわかるだろうと急ぎもせず漕ぐのを続けた。
二つの人影は近づくと明白になっていくのだが、一人は男性の老人。もう一人は配送の仕事中の女性だとわかった。
そして、老人の顔から血が出ていることもわかった。
ただ事じゃない。すぐにわかった。
そして思った。スルーしよう。
今までの僕は、こういう事から避けて生きてきた。
自分が偽善を働いていることに嫌気がさすし、助けた人から迷惑だと思われるかもしれない。周りから視線も集めるし、僕が加害者だと思われても嫌だ。面倒だ。厄介ごとに足を突っ込みたくない。
でも
今まで幾度となくスルーしてきたこういう事態。頭では面倒だなんだと思っているのに、その日は1日モヤモヤする。心が、自分を許さない。本当はわかっている。
人を助けたいし、救いたい。
「今まで何度も後悔しただろう。勇気を出せ!行けよ!」
何かに、言われた気がした。
気付けば、自転車のブレーキをかけていた。
「大丈夫ですか?」
僕の声掛けに対して女性から、「この人転んじゃったみたいなんです。血が出てるのに帰るって歩き出しちゃうから」
「わかりました。僕が家まで送り届けますよ」
なんでだろう。1歩勇気を出したらそこからはポンポン言葉が出てくるんだな。こんな事言えたんだな、僕は。
その後、一緒に歩き出したのだが、やはり老人はふらふらとしていて結局すぐにもう一度転んでしまった。鼻血がかなりの量噴出していてコンクリートに流れるくらいになった。意識はあったがあまりの出血量に救急車を手配することになった。
老人はすぐに搬送された。後日ご家族から、手術をしたが安静にしている、助けてくれてありがとうとお電話を頂いた。
救急車が来るまで何人もの通行人に見られたし、下校途中の学生が「あの人自転車でぶつかったんじゃない?」と言っているのも聞こえたし、出掛ける予定は無くなったし、履いていた白のスニーカーは真っ赤に染まったし、家に帰っても足がまだ震えていた。
でも、本当に良い1日になったなと思った。
勇気を出すのは最初の1歩だけ。
今日もまた、過去の愚かな自分にハイキックをかましてやった。