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『セフレ』なんて僕には無縁の言葉だと思ってた

「久しぶり、今何してるの?」
某曲と一緒で、本当に夜中に突然LINEが来るんだなと思った。

あんなにももう連絡とることは無いなと思ったはずなのに、やっぱり時間を空けて返信していた。そこに恋心はもう無いが、これを無視するほど僕の心は強くなかった。


別れてから3年、彼女は学生から社会人になっていた。
当時デートで行っていた焼き肉屋に行った。もうお酒も飲める歳になったのだと、自慢げに話しながらタブレットでハイボールを注文していた。


会う前の日にも3時間ほど電話で話したのだが、食事中も会話が途切れることはなかった。たくさんの事を話してくれた。

当時はこうだった。とか、バイトの同期の○○が結婚したとか、最近発掘したアーティストのライブがすごかったとか、家族と喧嘩してやばかったとか、

今まで付き合った人の中で、あなたとの縁は切りたくないと思ってる。とか。


僕の方はやっぱり恋愛はどうも苦手分野の様で、どちらかというとしたい人だけすればいいと思う「趣味」に感覚が近かった。だから彼女と別れてからも誰とも付き合ってはいない。

彼女は対照的な考えで生活の中に恋愛は組み込まれていて、「食事」に近いのだと言っていた。だから別れてからも彼氏は居続けていたらしい。
なんなら、今も彼氏がいるんだと。


「家近いんだよね、引っ越してから行ったことない。行っていい?」
言うと思った。僕はガムを噛みながら、別に良いけど。と言う。



「しよ」って言ったのは、僕だった。

終わった後は飲み物を飲ませてあげると良いんだよね、こうやってくっついたまま話すのもいいけど、タバコを吸ってるのを見るのも良いんでしょ。全部教えてくれたもんね。


「また来月か再来月、予定会う日に会いたい」
次の日の朝、届いていたLINEを見つめる。
LINEを見つめ、そのまま閉じ、音楽を再生して出勤中の電車の車窓を眺める。いつLINEを返そうか悩む。急がなくても別にいいや、と考えている自分に少し驚く。好きでもないのに可愛いだのなんだの連呼していた昨夜の自分の心の強さに驚く。

結局ここまでの文章を読み返しても自分がどこか被害者のように書いてる節ばかりだし、結局、こんなもんなのか僕は。

気付けば「次はご飯は私が奢るから財布出さないでね!」と追いLINEが入っている。どうせ夕方まで返さんのに。ああそうだ、今聴いてる音楽は良いね、教えてくれてありがとう。








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