「手前」
警戒船の仕事をアルバイト的にやっています。いや、コロナで日本語学校がずっと休みのため、もはや本業かも。ほとんど毎日、船に乗っています。
警戒船というのは、水上工事の現場のそばで船を流して、一般の航行船舶が近寄らないように警戒・誘導する船のことです。
江東区の夢の島マリーナあたりの現場での話です。夢マリには2カ所出入口があって、警戒船に近い方を「手前口」、遠い方を「奥の出入り口」とか「奥口」と勝手に呼んでいます。これはまあいい。
ところが、遠くから接近船があったとき、たとえば「ヨットがこっち来ます。まだ、手前口の手前です」などと相方の警戒船などに無線で連絡するんですが、この場合、「手前」とは、手前口の向こう側なんです。
出入り口については、自分に近い方を手前というのに、接近船の位置のことなると、自分がその船に乗っているつもりになって、「まだ、手前口にはたどりついていない」という意味で、「手前」を使うんですね。ほとんどの人がそうです。
そして、聞いた方も、正しく意味をとらえているようです。
なぜでしょう。たぶん、接近船が動いているからなんだろうと思うんですが、まだ、きちんと考えていません。まとまったら、また紹介しますが、とりあえず私は、上記の例だと、「ヨットがこっち来ます。まだ、手前口の向こうです」と統一した視点で言うようにしています。