「なんなら」

 先週の土曜日(2022年6月25日)の午前、J-waveで「ラジド」という番組を聞いていたら、能條愛未という女優さんがゲストで登場しました。乃木坂46の人だったそうです。全然知りませんでした。
 彼女が自分のライフスタイルを語る中で、「女のコ女のコしてないと思われていて、なんなら、がさつなイメージもあるみたいなんですが、実は…」というような発言がありました。今ならラジコで確かめられるんですが、面倒だし、まあ、どこかから文句が来るほどは間違ってはいないと思いますのでこのまま続けます。

 へえぇ、こういう「なんなら」の使い方があるのか。これは「むしろ」の意味だなあ。よっしゃ、日本語破壊ネタにいただき、と思ったものです。

 その日は仕事で船上にいました。とても風の強い日で、他の船舶はあまりいませんでした。お昼頃でしたか、相方の男30歳に何気なく尋ねました。
 「風、午後もこのままなんだっけ?」

 相方はスマホをちゃちゃといじって、こう答えました。
 「そうっすねぇ、変わりませんねぇ。なんなら強くなるみたいっすよ」

 そこでわたしは続けて尋ねました、
 「今使ったなんならって、どういう意味?」
 「ヘッ?」
 「むしろ?」
 「はぃ…そうっす、かね」
 「いや、実はさっきのラジオの番組で、元乃木坂のなんたらって女優が…(以下略)」

 まあ、しめたと思ったわけです。ネタが次々と向こうから飛び込んで来るんですから。

 帰宅してから、18歳の娘に聞きました。
 「うーん、最初の条件より上回ったりしたことを言うときに使うんじやない」
 「例文つくってみてよ」
 「ええ、なんならわたしがやります、とか」
 「前件は?」
 「ゼンケン?」
 「その前の部分」
 「ええ、ええ、……」
 「足がないなら自転車貸そうか? なんならわたしが行ってあげようか、とか」
 「そうそう、そんなの」娘は同意しました。

 「今朝ラジオで元乃木坂のだれやらが、むしろの意味で使ってたよ」と持ち出したところ、
 「むしろの意味ってかニュアンスあるじゃん」と娘。
 「あるけど、置き換え可能ではないんじゃない」と、元乃木坂さんと相方の使い方を聞かせました。

 「意味はわかるよ。でも、アタシは使わんなあ」と、平気で「びみょい」を使う娘は、なんなら偉そうに言いました。


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