「白って200色あんねん」が現実に起こった日
最近たまたま、まとまった金が入ったので、5年ぶりくらいにがっつり服でも買おうかと思い、ネットで購入した。
黒ズボンのダボダボ系の服がほしいなぁと思っていた所に、ちょうどダボダボカーゴパンツが売っていたので買った。
見た感じ良さそうで、ブラックと白と迷彩柄があって、珍しくブラックだけ売れ残っていたので、なんでだろうなと思いつつも自分のサイズを購入した。
モデルの着ている感じも問題なさそうだったし、自分の好きな格好に似ていたし、濃い黒のズボンは何にでも合わせやすいので、一本欲しいと思っていた所、ちょうどよくセールで良かった。
まぁ結果的に届いたカーゴパンツを見てみると、ブラックとホームページに書いてあったものは、完全にダークブラウンだった。
絶対に黒じゃないのかというと、それは人によるかもしれない。じゃあ、洋服の青山で黒スーツください。って言ったら、絶対にこの色味のスーツを紹介されることはないだろうし、ちょっと髪の毛黒に戻したいんですよねーと美容室の人に相談して、この色味に戻されたら、いや、これ焦げ茶じゃね?と言われると思う。
世の中には色盲の人もいれば、同じ画像を見ても灰色のスニーカーなのか、ピンクのスニーカーなのか見え方が人によって分かれる的な画像も昔話題になった。それが黒でも起こり得るのかわからないが、とりあえず間違った商品が届いたわけじゃないか聞いてみようと思った。
ほんでカスハラにならないよう最大限気をつけながらも、御社のセール品返品不可のポリシーは理解して受け入れております。ただ、これは御社では何色という判断ですか?私は喪服とか、審判のユニフォームとか、カラスとか多くの日本人の髪の毛だとか、そういう色が黒と認識していたので、これをブラックと呼称するなら、前述した色味とこのカーゴパンツは同じ色の種類ということでしょうか。
的な質問をした。
すると翌日、写真を送るよう言われ送ると、「これはブラックでそのカーゴパンツの色味は正しい商品です。喪服とかそういう黒だけが、ブラックというわけではありません」という回答が得られた。
あーなるほど。
アパレルの世界では、黒もたくさんあると。ブラックというのは、一般的なブラックだけでなく、「あんな、黒って200色あんねん。」ということが現実で起こった。
私の中では黒は一つだけだった。だが、世の中には黒はいっぱいあるということらしい。そして「このようなご意見は、今のところ他のお客様からは頂いておりませんが、今後改善できるよう努めてまいります。」的な一文が添えられていた。
誰がモンスタークレーマーやねん。絶対いらんやん。この一文。
どうせならここにカーゴパンツの画像を載せたいくらいだが、私が見間違えて買ってしまったように、写真だと黒に見えなくもないくらいで、実物だと結構焦げ茶という感じなのでなんとも言えない。
ともかく、久しぶりに服を買うとそういうことになるし、企業からもお前みたいな細客どっか別の場所で買ってもらったほうがこっちとしても都合いいわ。みたいな扱いを受けることになる。
日本人は文句を言うのは得意だが、実際に行動しないと言われる。日本人だけかわからないが、大体の人はそうじゃないかと思う。
会社で働き始めて、なんとなくこういうことあるなぁと思った。だいたいトラブルというのは、責任の所在が曖昧な仕事がそのまま進んでしまった結果だったり、特に誰も気にしておらず、ルーティンワークみたいになっていたところに急に思いもしない意見が飛んでくることがある。
誰も意見が来ないから、その仕事がパーフェクトなのかというと、そうでもないということである。絶対に重箱の隅をつつくように検討すれば、どんな仕事であっても改善点はいくらでも出てくる。
だが、それをやると時間と人件費と体力が持たないからやらないだけであって、やったほうが改善されることはわかる。
自分の仕事でも、そういう感じのことがすごく多くある。こんなことやんなくても、なんかソフト一個買えばうまくいくのに、そしたらあの人がやってる仕事必要なくなるな。とか、この仕事に時間使うなら、最初からあれやればいいのに。みたいなこととか、そういうのがよくある。
そもそも改善とはいっても、誰のための改善なのか。ということもある。日本では顧客目線を失っているサービスが増えてきた印象もある。なので、某コンビニの没落が著しい。
そういうB to Cの商売をやっている会社というのは、如実に悪い噂が回りやすいし、一度お客さんが離れたら、戻ってもらうのに時間がかかるし、ずっといてくれるお客さんというのも、質が悪くなったりする。
アパレル業界をバカにしているわけじゃないが、私はそこまで社会に必要だとは思っていない。なんというか、正確に言えば現代においてここまでアパレル業界の会社が乱立しなくて良いと思っている。
ラーメン屋だったら、いろんなラーメンがあって試すのに面白さや手軽さはあるかもしれないが、服は工場が同じなのにブランドのタグの名前で値段のゼロの数が1つ変わるということもあるし、過剰在庫がうまれることを前提に商売が成り立っている感じもある。
自分で買っている服の適正価格がわかりにくいというのもあるし、今回のように黒って200色あんねん。と言われてしまうと、どうすることもできない。
自分は仕事に上も下もないと考える一方で、自分がいるような会社であったり、実際にこの世から消えても誰も何も困らないよな。と思える会社が山程あるのも事実だと思う。
働かず、金を稼がず家で寝てるだけの人間はゴミ人間扱いされるのだが、果たしてそんなに社会的貢献度が高くない会社で汗水垂らして働くことは、社会になにか貢献しているんだろうか。
税金納めてるんだから。という議論が必ず出てくるが、税金を納めるべき理由というのは、公共サービスの維持だと考えると、家にいて寝てる人というのは、おそらく仕事をしている人より道路を利用しないし、働きすぎて病気や怪我をするリスクも減るだろうし、親と住んでいたら、親の体調が悪くなったときにすぐにサポートできることを考えると、思ってるほど悪く無いと思ってしまう。
社会人というのは、そういう評判も気にしなければならない。会社なんか評判で飯を食っているようなもんで、悪い噂を嫌う傾向がある。
結婚している方が社会的に信用度が高いとか、大企業や公務員だと、人間としての評価が高いような印象を受ける。マッチングアプリをやっていると、本当にそういうことが如実に現れる。
いつから人間はそんなことを気にするんだろうと思いながら、私が気にせず生きてきただけなのかわからないが、なにか面白いことが起こる予感は私の人生において少ない。
いいね集めゲームみたいなことを社会で生きていくうえでずっとやっていくんだろうか。自分の評判を下げないように予防線を張って生きていくんだろうか。
ファッションに興味のない自分にとって、カーゴパンツの色なんか正直どうでもよくて、自分が普段生きている生活圏のヒト・モノ・カネで繋がる人たちがどんなことを考えて日々生きて働いているのか気になったりしている。
あのカーゴパンツをどっかの会議かタイミングで「よし、ブラックと表記して売ろう」と決断したやつが必ずいるはずで、さらにいえば、「いや、これ焦げ茶だけどなあ」って思ったけど言わずに見逃したやつも必ずいるはずである。
なんでそんなことになってしまうんだろうか。あのカーゴパンツを作ってる場所だけじゃなく、日本各地でそんなことは頻発しているのだと思う。
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