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タイタニック

[ネタバレ含みます]

公開 : 1997年12月19日
監督 : ジェームズ・キャメロン
ジャンル : ドラマ・ロマンス

3時間超という驚きの長さにも関わらず全然ダラけずに最後まで見られた。色褪せない映像美とストーリー展開は圧巻。
人気があるものは天邪鬼で避けていた節があったが、やはり評価されるものこそちゃんと知っておいた方がいい。

誰もが知ってる船首で抱き合うシーンはこの映画のど真ん中にあったのに驚いた。もっとラストの盛り上がるところかと思っていた。
恋に落ちた二人が自分たちだけの世界に浸ってるシーンかと勝手に想像していたが、ローズの閉鎖的な世界を壊し、まるで海面と大空の間を飛行しているような自分たちだけを感じさせることで、世界はこんなにも広くて自由なのだとジャックが身を持って伝えている健気で優しい場面だった。
このシーンの前、タイタニック乗船直後にジャックは一人船首へ行き「世界は自分のものだ」とこの先の輝かしい未来を讃えている。あの名シーンは反復された構図だったのだ。この場面があることでより一層2人でのシーンが引き立ち、感情移入もしやすい。はー、なるほど、構成がうますぎる…。

そして、この作品の魅力は主人公2人の恋は勿論だが、凄まじいスケールの事故を史実に基づいて再現したところにあるのだと思う。
身分違いのドラマチックな恋の背景には避けられない死と恐怖が渦巻いている。
船体が傾き人も物のように落ちていく、海面はクッションではなくコンクリートだと思った方がいいだろう。生きて海に入っても何千本ものナイフで刺されるような極寒の海水に容赦無く命は奪われていき、海面に漂っていた人たちは1時間と保たなかったそうだ。
命の危機が迫った時、人は最期何を選択するのか…抱き合って沈んだ老夫婦、楽器と共に尽きた音楽家、自らを選んだキャル、一瞬の出会いで生涯を誓ったローズとジャックは運命を共にすることを選ぶ。それぞれの最期の迎え方は実在した人物を参考にしているらしい。


「最後まで諦めずに、俺のために生きて」「女性だって馬に乗れる」「沢山子供を育て」「年老いて、最後は暖かいベットの中で死ぬ」
数日間で交わした沢山の約束をローズは一生をかけて果たしていく。
碧洋のハートを海に落としたのはジャックに会いにいく鍵、タイタニックの沈む海の上の温かいベットの中で最後を迎えたのだろう。海の中には二人を隔てたフィアンセも母もいない。

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