2000スキ記念式典! 分冊でお届け(4)
【あわせて読みたい:これは付録付き一話完結連作短編集『大人の領分』の完結記念&こんにちは世界アカウント2000スキ記念エッセイの続きです。大人な人々の大人たる所以、沈黙の中で世間は回っています ほか】
(1)開会 (2)薫・ユキ
(3)茅瀬・蓮 (5)澪里・詢
(6)晴人・梨恵
3番ブース 敦・佳奈
≫≫≫佳奈が聴いている音声(敦について話す詢と薫)≫≫≫
詢:あー。俺、割と尽くしたいほうなんだよね。だけど時々、疲れちゃうっていうか、料理にも、薫にも、自分だけが好きみたいで、馬鹿馬鹿しくなってきたりもする。だから敦とやってるとき、敦も俺の体、使ってるだけなんだろうと思うと、すごく、気持ちが軽くなる。あいつ、ああ見えて俺より身長あるし、座り仕事のくせに体力もあるんだ。力尽きて人形みたいになるまで、やり尽くされたいって、心のどこかに願望があるのかな…俺は、薫にはほんのたまに、しちゃったりもする…ぐったりして、寝入っちゃった薫の隣で俺、すごく満たされてるべきなのに、なんだか、虚しいときがあって…本当は、自分がしてほしいんだと思う。それもね、薫にしてほしいとか、誰にしてほしいとかじゃ、ないんだ、ただ、やり場がなくて…たまに、そういうこと頼むと敦は、いいよ、ってきっちり、搾り取ってくれる。俺が自分の…気持ち、うまく言えないけど、好きで、好きで、好きすぎて疲れてきたら、いつも…敦は必ずそこにいて…敦が、じゃあちょっとガス抜きしてあげるよって、楽しそうに俺の体使ってくれてるとね、そっか俺は薫も料理もやっぱり、大好きで、もっと大事にしてあげて、またもう少し、頑張ろうって気持ちになる。うまく、言えない…たぶんほんと、気持ちが疲れてて、敦とのことはリフレッシュになってるんだろうな。
薫:私、あんまり、男の人知らないから…わかんないけどたぶん、敦って相当、上手なんじゃないかな。私…それなりに、そういう欲求もあって、敦とこんなことになるまでは、カップルとかみるとね、ちょっと、羨ましい時もあったの。詢ちゃんはとっても優しいんだけど、そういうときは…激しくて私、時々、ひとりぼっちな気持ちになる…。敦のこと知って、敦に知ってもらってからは、他の人見ても、何にも思わなくなった。あれって、性欲だったんだなって思った…。敦がね、薫さんは恋愛がしたいんじゃないもんね、セックスが、したいんでしょうって、言ったとき…私、だめだもう、見透かされてるって、思った。敦は…私のこと、可愛いとか好きだとかは言ってきて、私は初め、敦って私のこと、恋愛対象として見てるのかなって、思って、困った。けど、なんだか…違ったみたい。全然、恋愛っぽくなくて、なんていうか、…ちょっと休憩にコーヒー淹れるような、そんな感じで、ほっとする。変なの。こんなのおかしいって思う。心のどこかが、壊れちゃってるのかもしれないって思うときもある。でも、敦がいて、私はそれできっと、ちゃんと、立って歩けてきたの。敦がいるから私、体の部分で自分勝手になったり自暴自棄になったりせずに、心から、まっすぐ、詢ちゃんを愛せてきた。私…恋愛って、詢ちゃんとしかしたことないし、詢ちゃんとしかしたくないし、詢ちゃんとしか、しないと思う。敦は…そういう私の大切な大切な気持ちを、私の嫌な部分が踏み荒らさないように、守ってくれる人なの。
≫≫≫敦が聴いている音声(佳奈について話すユキ)≫≫≫
ユキ:佳奈ってたぶん、数はこなしてるけど結構、受け身だったんだろうなって思うんだよね。佳奈からって、ほとんどないだろうな。そんでみんな俺みたいに、佳奈の気持ちを動かそうとして、マタタビに狂う猫みたいになっちまうんじゃねえかな。わかるわー。痛いほどわかるわー。佳奈は「公式記録では」一人、いまの旦那だけ、の一点張りなの。けど、経験は、ごまかせねえもんなぁ。男、切れたことないだろうし、たぶん素人にしては相当の数こなしてるよ。百とは行かなくても、ウン十単位だと思う。俺は、嫉妬するとか嫌だとか、逆に嬉しいとかいう奴もまあいるけど、そういうんじゃなくて…なんていうか…俺だってまあまあ色々あったからね、佳奈には俺といる時は、なんていうの、やっぱ色々あると色々、イラッとするとき、あるでしょ、そういう過去のイライラをさ、あー笑って済ましていんだなって、実感してほしいんだよね。大それてっかも知んねーけどさ。…俺はあんまり、恋人向きでも友達向きでもねえの。それはわかってて、まあ恋愛ってほどでもねえけど友達っていうにもイマイチ知らねー、でも体だけは双子みたいに近い気がする、くらいで、ふわふわしてんのがいいんだよね。佳奈は俺のそういうとこ、気に入ってくれてんじゃねえかな。…俺…? そりゃ、あんな賢い子があんな可愛くあんあん言ってくれたら御の字ですよ。ごっつぁんです!ですよ。俺、佳奈と会ってつくづく思ったの。上手上手って言われて育ってきたけど、こっちの才能あって本当、よかったなぁって。だって、佳奈みたいな子を、あんなに楽しませてあげれるんだから。
みんなは、ここに:
今日は明日、昨日になります。 パンではなく薔薇をたべます。 血ではなく、蜜をささげます。