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アトツギラボ【vol.3】

早くも3回目となったアトツギラボ。今回は約半分が初参加ということで、学生も2名参加してくれました。アトツギがアトツギを紹介する、アトツギって何か面白いかもって思った学生が知り合いの学生に声を掛ける、そんな状況が生まれつつあります。王道なテーマだったからこそ、今回もアツい時間となりました!


税理士アトツギからの起業

今回の会場に選んだのは、新町五条にあるコワーキングスペースやシェアキッチンを備えるGROVING BASEです。「みんなでつくるビジネスの秘密基地」というテーマで、小さなチームや個人が集まって、新しい価値を創造する拠点とされています。まさにアトツギラボのイメージとピッタリ。しかもここを運営されているのが、税理士家系に生まれ、自身も税理士を目指された篠田拓也さん。(実は大学が同じという共通点もありました。)一旦、税理士事務所に入るも、自分に合っていないという違和感を覚え、脱税理士。そこから独立・起業し、現在は株式会社アイトーンとして、シェアオフィスやコーヒー屋をされています。そんなアトツギに縁のある会場なんですが、今回のゲストである高須萌さんが定期的に利用されているというご縁も重なり開催に至りました。

GROVING BASE(京都市下京区)

今回のゲスト

世の中には、色々なアトツギがいますが、出島のように家業とは別(の法人)でアトツギが家業のリソースを活用しながら新たな挑戦を行う形、通称「出島型アトツギ」として活躍されている株式会社はじめ商会代表取締役社長の高須萌さんをゲストにお迎えしました。過去にアトツギ甲子園にエントリーされていたのを発見し、アトツギオタクからコンタクトを取って初めてオンラインでお話しさせて頂いたのが今年の2月のこと。これまでの経歴から出島型で挑戦されていることを聞いた時から、いつかゲストにしようと妄想し、実現した形になります。

タイムズスクエアをバックにした高須さん

高須さんが面白いなと思ったのは、まずご経歴。小さい頃はプロ棋士を目指され、学生時代に単身で東京で弟子入り生活をされていました。しかし、囲碁の世界は厳しく、若くしてプロの道は諦め、京都に戻って宇治の山中にある家具工房で働かれます。ここで職人としての腕を磨きながら、茶畑で京番茶の栽培にも携わるようになりました。その後、母方の家業である株式会社山本仁商店(ファブレスアパレルメーカー)に戻られます。
元々母方の実家は江戸中期から続く商家で、「一代一創業」という家訓があり、江戸時代はリサイクルショップ、明治・大正は太物(絹以外生地)行商、昭和は白生地問屋、平成は繊維雑貨メーカーと業務形態を変えながら、事業が承継されてきました。
高須さん自身、家業に戻ったものの、業界の構造や時代に合わない会社の在り方に疑問を抱くようになり、家業とは別のやり方で挑戦する道を模索されます。それが株式会社はじめ商会の創業につながります。

ここでは、海外向け卸売事業(雑貨・食品卸売を北米に展開)、コンサルティング事業(補助金申請サポート、店舗開発・改善)、不動産賃貸業(築古戸建て空き家再生)等、これまでの経験を活かし幅広く事業を展開されています。

ちなみに、高須さんは50歳で引退し、投資家になることを目指されています。( 現在38歳なので、残り12年頑張るそうです。)そして、夢は「世界最高の銭湯を創り、その番台に座ること」だそうです!なんともユニークなキャラの高須さん。

ラボタイム①〜理想の姿

ラボタイムでは、恒例の全員自己紹介をした後に、高須さんから大きく3つの話題提供をいただきました。最初の問いは「理想の姿は?」です。10年後、20年後どうなっていたいか?家業を通じて、社会や地域にどのような影響を与えたいか?家族や従業員にとってどのような環境を提供したいか?こんな切り口で3人組になって、対話をしました。

アトツギさんから出てきた理想の姿をいくつかご紹介します。

従業員が誇れる会社を作り上げること/モノづくりを通して、関わる全ての人が豊かになること/人生で大変なとき、大切な人が亡くなったとき、寄り添える会社として存続し続けること/従業員と家族の幸せを第一に考え、事業に専念して、社業を発展、継続させること/市場を独占できる企業にすること

アトツギダイアログより

ラボタイム②〜現状分析

続いて、「現状をどう捉えているか?」という問いで、「現在の家業の強みは何か?」「現在直面している課題や問題点は何か?」「競合他社と比べて、自社の立ち位置はどこか?」という切り口で対話。

ちなみに、高須さんはアメリカ販路開拓の可能性を機会と捉え、2024年3月にNew Yorkで「Crane&Turtle」をオープンされました。

ラボタイム③〜戦略・目標

最後に、理想の姿と現状分析を踏まえた、目標や戦略について、「家業や伝統をどのように守りたいか?」「新しい市場やビジネスモデルに挑戦するためのアイデアは?」「次世代に伝えたい文化や価値観は?」という問いで対話。

アトツギさんから出てきた目標をいくつかご紹介します。

商売の姿形を変えてでも、事業を続けていく/次世代と社員のためにより良い会社に育てる/二代先まで安定して続く会社/自分も他人も楽しめる環境づくり/よい形で次にバトンタッチすること/次世代へのバトンを思考からしっかりと繋ぐこと/自分が死ぬまで残り続ける店

アトツギダイアログより

高須さんは、目標は「過去300年続いてきたモノを300年後でも存続し続ける仕組みを作ること」だと話されました。

今回のラボタイムでは、これまでよりもグループワークの回数や時間を長めに取ったことでより深い対話ができたという手応えを感じました。対話と言語化にこだわった濃い時間となりましたが、参加したアトツギさんからの振り返りを共有したいと思います。

・理想の姿という問いでは、主語を会社から自分に変えることの難しさに気付いた。
・客観的でありながら視座が同じのアトツギの方からの意見は、とても的を得ている感覚があり、自分の思考の偏りを感じ視点を変えて見る大切さを痛感した。
・①言語化をするということ、②言語化したことを人と共有すること、それに加えてこの2点で話を聴く側・する側どちらにとっても気付きがあった。
・「理想の姿」「自社の機会・強み」「目標・目的」という、当たり前のことなのに考えることを忘れてしまっていたと気付かされた。
・ミッションとビジョンについて、法人・個人の目線で見つめ直す必要があると気付きがあった。

初めましての人も毎回参加の人も久しぶりに顔を出した人もごちゃ混ぜになって交流会。「時間が足りない」という声を聞くのが毎回嬉しい感想です。

内と外から見たアトツギラボ

今回アトツギラボに興味を持ってくださった面白い肩書きのお2人から、アトツギラボに参加してどういう可能性を感じたのか、どう見えたのかをお聞きしましたので、ご紹介させていただきます。

左)anago236さん、右)カラムーチョ伊地知さん

【生きる力を引き出すライター カラムーチョ伊地知さん】

私は直接の後継者ではありませんが、ライターとして"アトツギ"(後継者)に関するイベントに参加しました。後継者問題は頻繁に耳にする話題ですが、実際に参加してみると、後継者の方々は前向きでエネルギッシュでした。またお話を聞きたいです。

【SNSで100万回再生を連発するおじさん anago236】

「背負うものがある」「立場を相談しづらい」など、わりとヘビーでドライな話題が多いのかと勝手に想像していました。 けれど、ぜんぜん。むしろ情熱的な会話ばかり。 もちろん、皆さん、お悩みも多いとは思うのですが、むしろ善き企みや豊かな想像に溢れていました。 未来は歴史より長いんだな、そう感じました。

アトツギラボポーズ!

アトツギラボ vol.3 開催概要
【日 時】2024年6月17日(月)18:30〜
【場 所】GROVING BASE
【ゲスト】株式会社はじめ商会 代表取締役社長 高須萌 氏
【撮 影】村山俊輔


アトツギの未来は地域の未来。
人生にアトツギという選択肢を。

to be continued…

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