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アトツギラボ【スピンオフ#2】

スピンオフ企画はアトツギさんからの提案を元に内容を考えています。今回は、京都で飲食店を数店舗経営している2代目アトツギさんから、「自店舗以外で自分の可能性を広げることがしたい」と相談があったことがきっかけで、それを「出張料理人企画」と題して、実施しました!台風直撃の影響が心配でしたが、なんとか開催できたスピンオフ♯2の様子をお届けします!初参加の方も多く、熱量ある場になりました!

GROVING BASE(京都市下京区)

飲食店アトツギ

地下鉄四条駅から徒歩3分の好立地。京都の街中に、新しい道の駅スタイルの空間「ELOVE」というお店があります。京都でうしのほねグループとして飲食店を数店舗展開している株式会社セカンダイズが、新しいコンセプトのお店としてコロナ禍にオープンされました。ここを任されているのが、2代目の嶋本大二郎さんです。

株式会社セカンダイズ 嶋本大二郎さん

ダイニングレストラン、デリカテッセン、お野菜の販売、ECサイトという4つのチャンネルを通して、生産者と消費者を繋ぐ活動をされています。アトツギラボでは交流会のデリバリーでお世話になっており、個人的にもよく利用しています。
冒頭で記載したようなやり取りがあり、今回の企画が実現していますが、嶋本さんは大学卒業後すぐに家業に入り、イタリアンレストランで修行を積まれます。その後、うしのほねグループ各店での勤務を経て、ELOVEの運営へ。

ELOVEでは、自ら価値を「選ぶ」楽しさ、その消費が自然に引き起こすポジティブな社会的意義の促進を目指し、規格外野菜を積極的に活用して商品化し、「食の魅力」を多角的に消費者へ届けられています。地産地消の推進、フードロス解消といった時代の潮流を抑えつつ、サスティナブルな世の中を目指すに当たって、自らの意思で「選ぶ」ことが重要であると考えられています。

たまたま

料理を作ってもらっている間のラボタイムをどうしようかと悩んでいたところ、偶然の出会いがありました。スピンオフ前日に、京都市及び京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)主催で、「SOCIAL INNOVATION Meets up KYOTO」~アトツギの未来が京都の未来をつくる~というイベントがあったので、参加したところ、イベントの登壇者にたまたま同級生がいました。

SILKのSNSから引用

学生時代は同じクラスになったこともなく部活も違ったので、ほとんど話したことはなく、お互い名前は知っているという程度の認識。そんな同級生のアトツギストーリーがオタク的には興奮する内容だったので、即座にスピンオフで登壇してくれないかと打診。「明日の夜にこんなイベント企画していて、今日話した内容と同じでいいから話してくれへん?」「えっ?明日は打合せが入っているけど、行けなくはないかな…」アトツギオタクの推しに負け、渋々OKをしてくれました。「アトツギオタク」を自称してから、アトツギの吸引力が増したような気がしていますが、まさに「たまたま力」が発揮された場面でした。

いつものようにオープンニングをして、全員で自己紹介。京都の企業に就職予定の大学生やMISS NADESHIKO 2023グランプリの方も参加してくださいました!

親のレール

さて、その同級生というのが、株式会社嵯峨ガスセンター代表取締役の中村太亮さんです。大阪ガスサービスショップとして、1961年に設立。京都市内だけで9社、関西で見ると約200か所(社)の出動拠点があるという、転職とM&Aが非常に激しい業界構造で、大手企業に食われないための戦いが繰り広げられているようです。そんな会社の創業者の長男(父)の長男として生まれた中村さん。

株式会社嵯峨ガスセンター 代表取締役 中村太亮さん

幼少期から「お前は跡継ぎだ。」と言われて育ち、9歳の時には「お前は同志社に入れ。」と言われ、従うか家を出るかの究極の2択を迫られたそうです。親に従うほかありませんでしたが、反発心から性格がこじれ、斜に構えた青春時代だったと振り返られていました。「跡を継ぐ」という親のレールに引かれた状態で、大学卒業後は、「30歳で家業に戻る」と宣言し、滋賀の住宅メーカーに就職。就職後もこじれた性格と学歴により、浮いた存在となってしまい、孤独な社会人がスタート。それでも成績を残し、責任者を任せられるようになります。

運命?宿命?

宣言どおり30歳で家業の会社に入社。人も積極的に雇って順調な経営状況であることを就活中に父親から聞いていたそうですが、いざ入ってみると真逆の実態が中村さんを待っていました。アナログ文化で、ブラック体質。新規事業で大赤字。会社は危機的な状況。そこに、コロナ直撃。難易度Sランクの状況での再スタートでした。

当時は会長が父、社長が叔父という体制。社長である叔父さんの存在が中村さんにとってはやりづらかったようです。「長くなるので省略するが、要するにやりづらかった。先代とは考え方ややり方が違うので、個人的にモヤモヤが溜まっていた。これも中小企業のアトツギあるあるだと思う。」
そんな中、2021年6月のある日の社内会議で、社長が突然倒れ、緊急搬送。いつ退院できるかも分からない状況で、翌日から中村さんが社長代行。右も左も分からないまま、引き継ぎも全くないまま、がむしゃらに走る日々が続きました。

忙しい日々が落ち着いた頃、あの日のことを回想し、父親に話をされたそうです。「自分が社長になったらと考えていた矢先に、叔父があのタイミングで会社で倒れ、自分が社長になった。運命としか思えへんタイミングやった。」お父さんからは、「それは運命や」と言われたとか。
強引すぎる社長交代。神様のいたずらなのか。当日の中村さんは困惑していたそうですが、ここで初めてアトツギとしての運命(宿命)を受け入れることができたようです。それまでは反発しながらも親の引いたレールに乗ってきた人生。しかし、自分がアトツギとして生きると決めた瞬間、腹落ちした。「宿命に生まれ、運命に挑み、使命に燃える」という言葉がありますが、それを思い出せずにはいられませんでした。

使命

アトツギの使命として、社内改革を進めます。本店を異動し、テナント貸しの開始、ブラック体質の廃止や大赤字事業の撤退など、多岐にわたります。前職での経験を活かしたデジタル化の推進や心理的安全性を担保するための働きやすさの強化には特に力を入れたとか。MVVを策定し、「地域にぬくもりを届け、変わり続ける会社へ。」というビジョンを掲げます。社長就任後、約3年間で、残業を30%カットし、休んでも良い社風が浸透しつつあるようです。

ダイアログ

中村さんからの話題提供を受けて、アトツギの皆さんとは、以下の問いで対話をしました。

  • アトツギとしての運命をどう捉えていますか?(ポジティブ?ネガティブ?それ以外?)また、継ぐ気はありましたか?

  • アトツギとして、社長になるまでに又はなってから、やりたいこと・変えたいこと・チャレンジしたいことは?

最後に、アトツギの皆さんの声を一部ご紹介します。

・元々継ぐ気はなかったが、家業は仕事の選択肢が一つ増えたという事で、ポジティブに捉えている。
・ネガティブにポジティブ化するイメージ
・アトツギとして生まれた使命があるというポジティブな捉え方と自由が奪われているというネガティブな捉え方がある。
・学生時代は考えてなかったが、自分で采配できる機会ができる立場として運がいいと捉えるべき。
・当初継ぐ気はなかったし、ある種自分の人生が縛られているネガティブな印象を持っていた。一方で、ある意味恵まれた立場にいるとも感じでおり、その立場をどう生かすか自分次第である点にプレッシャーを感じている。

アトツギとしての運命をどう捉えていますか?

・京都の古き良き文化を時代の変化と共に変えて守りたい。
・周りから聞いたこと、社員の意見、自分の考えを取り込んだ変化を起こしていきたい、起こせる組織で、自分でありたい。
・売上をあげるための画策ネタを貯め続ける。
・社長になるまでもなってからも理念を浸透させることに注力したい。
・会社のビジョンを社員と共有し、社員と共に繁栄する会社にしたい。

社長になるまでに又はなってから、やりたいこと・変えたいこと・チャレンジしたいことは?

出張料理人

お待ちかねの交流会。どんな料理を準備してくれたのでしょうか?

今回は、普段ELOVEで提供しないようなエスニック系の料理が中心でした。どれも美味。写真にはありませんが、個人的にはトムヤムクンが好み。

参加者の皆さんからも次回に向けた期待の声が漏れ聞こえてきました。
カレー、寿司、魚系、ラーメン、京都ならではの料理、本格的な料理、甘味…。

アトツギラボに「出張料理人」という強力な食のコンテンツが誕生したことは喜ばしいことです。皆さんの胃袋も抑えつつ、引き続き、熱量ある場を作り続けていきたいと思います。出張料理人企画は2ヶ月に1度のペース(偶数月開催)で、参加者の皆さんのリクエストに応じながらメニューを考えてもらいますので、乞うご期待ください!


アトツギラボ スピンオフ#2 開催概要
【日 時】2024年8月26日(水)18:30〜
【場 所】GROVING BASE
【ゲスト】株式会社セカンダイズ 嶋本大二郎 氏
     株式会社嵯峨ガスセンター 代表取締役 中村太亮 氏
【撮 影】村山俊輔


アトツギの未来は地域の未来。
人生にアトツギという選択肢を。

to be continued…

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