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アトツギラボ【vol.4】
京都の夏の風物詩、祇園祭も終盤の7月末。今回は、大正時代からの京町家をリノベーションした素敵な会場をお借りしました。半数が初参加(大学生が3人も!)という嬉しい回となりました。毎回場所を変え、新たな出会いや気付きが生まれるアトツギラボの熱い内容をお届けします!
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喫茶ことぶき
SNSで見た瞬間からアトツギラボの会場にするイメージが湧いていた場所でした。今年の5月にオープンしたばかりの「喫茶ことぶき」は、大正時代からの京町家塚本邸をリノベーションし、お庭が美しい畳のお部屋が迎えてくれます。「素敵な方々のやさしいこだわりと愛情がつまったものを味わう。また、そこに居合わせた人同士と時間を共有し、新たなご縁が生まれる。」そんなやさしい思いを持って始められたのが女将の岡田亜理寿さんです。
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「素敵な方の憩いの場で、集会所のような喫茶店にしたい」と話されていたのが、アトツギラボのイメージともピッタリでした。健康食の合言葉「まごわやさしい」を基本に、京都のこだわりの食材を厳選したご飯を準備いただきました。オープンキッチンになっているので、準備段階からワクワクするひと時でした。ちなみに、女将は元看護師というキャリア。なぜ喫茶ことぶきに始めようと思ったのか気になった方は是非ともお店の常連さんになってください。
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参加者全員が喫茶ことぶき初来店ということもあり、亜理寿さんの紹介から、全員自己紹介。このチェックインの時間は毎度欠かせません。
アトツギは挑戦者
vol.4では「共創」をテーマにしたかったのとチャレンジ精神満載の方をお呼びしたく、今回ゲストでお願いしたのが、西陣織リニスタグループ2代目のサカイタカヒロさんです。サカイさんは、1988年京都生まれ。 2011年に大学卒業後、大阪のGSユアサグループ販売会社にて営業を6年経験し、 会社員をしながら家業の生地を使いクラファンや販路開拓を始められました。そして、2017年に独立し、2020年からは家業の帯事業にも携わっておられ、現在は、帯事業・BtoB事業・BtoC事業チーム作りなどに取り組まれています。
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サカイさんとは、一般社団法人ベンチャー型事業承継が運営しているアトツギファースト(未来志向のアトツギが集まり、社長になるまでの学びを得る「予備校」のようなコミュニティ)内で出会いました。このコミュニティの初期メンバーで、当時は大阪梅田を中心にアトツギが月1回、業務終了後に集まるオフラインミートを実施されていました。ここには、事業の壁打ちやピッチの練習、アイディア出し等を真剣に行う環境があって、ここで過ごした時間がアトツギ同士のコラボの種に繋がっているそうです。実際に、西陣織×鞄、西陣織×靴、西陣織×キャビアお皿セットなど、西陣織の技術とルーツを溶かしたアイテムとのコラボを実現されています。
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共創の意味
サカイさんからは共創(コラボ)の意味を3つ語っていただきました。
自分(家業)の今の位置を知ることができる!
自分がどうしたいのか、自分とは?を知るきっかけになる!
真剣勝負!切磋琢磨できる!
具体的には、
「御社でこんなことできませんか?」と言われると、家業で本当にできるのか可能性を探るきっかけになる。
相手主導なのか、自分主導なのか、ここで自分が本当はどうしたいのか?を自問自答するきっかけが生まれる。
お金が絡む話、第三者が関与する話になると人となりが見えてくる。遊びじゃない真剣勝負。だからこそ真剣に事業と向き合えるチャンス!
その上で、大事なのは、コミュニケーション、自分と家業の棚卸し、実行力だと語られました。やるかやらんか、つまりは本気度!
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ラボタイム①
サカイさんからの話題提供を踏まえて、「あなたは何に取り組みたいですか?何にチャレンジしたいですか?」という問いで対話。新規事業や既存事業の改善に関する話題で終始盛り上がっていました。
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ちなみに、サカイさんはこれまでクラウドファンディングに6回も挑戦されています。この挑戦のモチベーションが気になり質問したところ、裏側にあるのは、業界に対する危機感でした。「斜陽産業だからこそ、新しい市場に挑戦し、新しい領域を開拓して、可能性を見出さないと安心できない。」と話されたのが印象的でした。
自社の強み
サカイさんの家業は父親である初代が1988年に創業。成人式の振袖用帯をメイン事業としながら、近年は広幅生地を用いて様々なアイテムに転換され、利益を職人に還元し、今後の産業継続への課題解決に向き合っておられます。
◆ 広幅最大150cmの生地という、業界でも数社しか持っていない広幅織機を採用し、低コスト小ロットでの製造が可能。
◆ もともとシルクが必要な西陣織で、ポリエステルの生地を製造することで、水にも摩擦にも強く、現代で使いやすい薄い生地を提供。
◆ 生地メーカーでありながら、アイテムへの縫製加工して、お客様に納品することが可能。 仕様を決め、オリジナルのアイテムも。
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なぜ今まで家業が残ることができたのか?「既存事業での低コスト生産があったからこそ新規事業に繋がった。その低コスト低単価を維持するための技術や素材の活用が今の新規事業に活かされていて、その新規事業ができることこそが強みだ。」と話されました。会社として残ることができた要因を辿れば自社の強みが見えてきます。
では、この作業、いわゆる家業の棚卸しができたのはなぜか?それは数々のピッチの経験だそうです。サカイさんは、大学時代は毎週プレゼンの授業で、家業に入る前は多数のピッチイベントに出場されています。
2017年第11回京都文化ベンチャーコンペティション「京都府知事賞最優秀賞・近畿経済産業局長賞」W受賞。2018年アトツギピッチ京都信用金庫賞。2019年スタアトピッチ・ビジコンOSAKA・ICC KYOTO2022ファイナリスト。
「人前で話そうと思うと、 整理できてないと話せない。 あとは相手の話を聞いて 「自分たちはどうだろう?」と問うてみる。」まさに挑戦者の努力が垣間見えたお話でした。
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ラボタイム②
「家業の棚卸しできてますか?なぜ、今まで残ってきたと思いますか?」という問いで再び対話。
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アトツギの皆さんの問いに対する答えをいくつかご紹介します。
(アトツギオタクとしては、実に興味深い!)
・ 細く長くするということ。スケール思考にならないこと
・ スケールしないこと
・ 事業よりも会社を残すことに重きをおいたこと
・ 信頼、対応力
・ 今まで蓄積されたデータ、社員の仲の良さ
「サカイさんは何故いつもそんなにシュッとしているのか?」という参加者からの質問に対して、「シュッとしている=センスがあると意味するならば、良い物(おしゃれな物)をとにかくたくさん見て、なぜ良いと思うのか?思わない場合はなぜか?を考えているから。そうすることで、自分の中に芯(判断基準)ができてきて、自分の色が出た洗練されたものを表すことができるようになる。これはブランディングにも繋がると思う。」と答えられたのに痺れました。伝統と格式があっても、そこに胡座をかかずに泥臭く試行錯誤する。かっこいいです。
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サカイさんが立ち上げられた「伝統を日常に溶かす」ライフスタイルブランド k-cs(ケイクス)はこちら!
宴
ラボタイム終了後、同じ会場で交流会ができるようにしていますが、今回は心温まる料理が振る舞われました。まさに憩いの場。ご馳走様でした。
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またこの会場でアトツギラボをしたいなと思える時間でした。関係者の皆様には心から感謝。アトツギラボvol.4まで終えて、参加者は約50名。対話と言語化にこだわった会を重ね、熱量あるコミュニティに育ってきました。これからも走り続けます。
アトツギラボ vol.4 開催概要
【日 時】2024年7月26日(金)18:30〜
【場 所】喫茶ことぶき
【ゲスト】西陣織リニスタグループ2代目 サカイタカヒロ 氏
【協 力】ことぶき 女将 岡田亜理寿 氏
【撮 影】村山俊輔
アトツギの未来は地域の未来。
人生にアトツギという選択肢を。
to be continued…