アトツギラボ【vol.2】
vol.2では、最近話題の町寺「佛現寺(ぶつげんじ)」を会場にお借りし、副住職の油小路さんをゲストに対話を重ねました。佛現寺には初めて訪れる参加者が多かったですが、お寺の持つ安心感やどこか懐かしさを感じる雰囲気が心地良い空間になっていました。今回は現役大学生が3名参加、そして、京都の名物雑誌による取材もあり、盛り上がったアトツギラボ。そのアツいラボの様子をお届けします!
話題の町寺
佛現寺は、14代続く浄土真宗西本願寺派の歴史あるお寺です。1600年頃に十条油小路で開基され、1868年の「鳥羽伏見の戦い」の戦禍に巻き込まれ、六角油小路に移り再建されたと言われています(諸説あり)。周りは民家やマンションに囲まれ、通りを歩いているとお寺の門がふっと現れる。街中にある、いかにもまちと調和したお寺です。
そんな佛現寺の副住職である油小路和貴さん。実はアトツギオタクとは中高大の同級生。とはいえ、学生時代は同じクラスになったことがなく、部活も違ったので、ほとんど会話する機会はありませんでした。それから社会人になり、ひょんな出来事から連絡を取り合うようになり、ご縁が続いて今回の開催に至ります。
お寺のアトツギとして、お寺とどう向き合ってきたのか、自分とどう向き合ってきたのか、そのヒントは自分のルーツである「仏教」にあったと話してくれました。ちょうど同じ週に、TBWA\HAKUHODO主催の「Disruption® Lounge」~終わりのはじめかた~というイベントが佛現寺で開催されていたこともあり、今回のラボでは「終わりと始まり」をテーマに掲げました。油小路さんの現在の活動の始まりは何だったのか、何が熱源になっているのか等をラボタイムで紐解きながら、参加者の皆さんと考えていきました。
アトツギのきっかけ(始まり)
中・高・大学とキリスト教の学校に通い、大学卒業後は地元の銀行へ就職。当時は後を継ぐ気は全くなく、仏教に関しては「宗教=気持ち悪い」という印象を持っていたと話す油小路さん。そんな状況からアトツギになるきっかけとなったのは、お婆さんの死だったそうで、「人は死ぬという当たり前のことが起きて、死が身近なものに感じられ、怖くなった。」と話されました。また、YouTubeでサッカーの動画を見ていたら、たまたま仏教の動画が流れてきて、それをクリックしたら、「あれ、宗教って面白いかも」って思った記憶がある。それまでは宗教って気持ち悪いって思っていたのに、ふとしたきっかけで宗教が面白く感じるようになった。
そこから、仏教とは日常そのもの、仏道とはライフ・スタイルであると考え、これまでの自分の人生選択を振り返った時に、自分で自分の選択をしていないことに気付くことができた。「周りががしているからなんとなく就活した。なんとなく稼げると思って金融機関に就職した。」仏教が自分を見つめ直すヒントになったと話されました。
そこから仏教にハマっていった油小路さん。「仏教ってまだまだ捨てたもんじゃない」と思う人を増やしたいと思うようになるも、なかなか次の一歩が踏み出せなかったそうです。そんな時に出会ったのが小学校の同級生であり、IT起業家の渡邊さん。続きは、株式会社Gnsのnote(以下)で詳しく紹介されていますので、こちらをご一読ください。
みんなで対話〜その1
「アトツギになるきっかけは?」という問いで、いつものように対話を開始。
アトツギオタクとしても、どういう要素があれば、アトツギを決意するのか?深掘りしたい問いです。そもそも後を継ぐ気があったのか、なかったのか。継ぐ気がなかったのに、なぜ継ぐ気になったのか?その背景に何があったのか?十人十色。アトツギの数だけ答えがあると思いますが、何か共通項はないのか。参加者のきっかけを少しご紹介します。
アトツギとしての問題意識・危機感(終わり)
お寺のアトツギとして感じていたのは、「仏教業界、本当に大丈夫か?」という危機感。コロナ禍でそれが如実に現れることになります。お布施に頼っているビジネスモデルのため、コロナを理由に葬儀や法要が行われなくなると、お寺を経営するという意味では厳しい状況になります。また、仏教や宗教という言葉に対する世間一般のイメージがネガティブになってしまっているのをなんとかしたいという思いがありました。そこで、お寺の在り方を再定義するために様々な挑戦をし、佛現寺が多くの人の人生のとまり木のような存在になることを目的として「とまり木プロジェクト」を開始。ここから、日本酒好き×お寺「てらのみ」をはじめ、多様な場づくりが生まれました。
「自由とは、“自らに由る”と書く。つまり、“己を見つめろ”ということであり、“自分にベクトルを向けろ“という仏教の教えでもある。自分はどうしたいのか?を問い続けることが大切で、そこから出てきたその人のやりたいことを応援したい。」と熱く語られました。
みんなで対話〜その2
「アトツギとして感じている問題意識・危機感は?」という問いで再度対話。
アトツギの皆さんからは、「新しい事に対して消極的、思考のマンネリ化と保守的な考え、変わることを諦めてる大人、業界の高齢化」などの話が出ていて、従来の慣習やマインドが新たな価値を生むための障害になっていることがよく分かります。それをアトツギとしてどう乗り越えていくのか?乗り越えようとしているのか?皆さんの挑戦が楽しみです。
京都の名物雑誌による取材
今回は、union.aの代表で、本物を知る「京都人」のためのフリーマガジン「ハンケイ500m」編集長の円城新子さんとご縁があって、このアトツギラボに興味を持っていただき、なんと取材をしていただくことになりました(拍手)
「ハンケイ500m(7月号)」に掲載予定ですので、お楽しみに!
さらに、後日、別途ご連絡いただき、サウンド版ハンケイ500m(KBS京都ラジオ)での収録にもお声掛けいただきました(拍手)パーソナリティは、円城さんとサウンドロゴ・クリエーターの原田さん(実は高校の先生)というキャラの濃いお2人。アトツギに特化したコミュニティの面白さやアトツギラボの可能性についてお話させていただきました!アトツギの面白さに注目してもらえるのは非常にありがたいことです。こちらは2024年6月8日オンエアです!
学生から見たアトツギラボ
最後に、起業家を目指す現役大学生が嬉しいレポートを書いてくれましたので、紹介させていただきます。(やや文章は長いですが、感じてくれたことをそのまま掲載します。)「アトツギ」の面白さや可能性が伝わったみたいで、引き続き、学生にもアプローチしていきたいと思います。
アトツギラボ vol.2 開催概要
【日 時】2024年5月23日(木)18:30〜
【場 所】佛現寺
【ゲスト】佛現寺副住職 油小路和貴 氏
【撮 影】村山俊輔
アトツギの未来は地域の未来。
人生にアトツギという選択肢を。
to be continued…