ねこは陽キャ
毎年、冬季休暇中になぜだか島へ出かけたくなる。
島は島でも、ドカーンと大きな島ではなく、こぢんまりと島。
言うなれば、瀬戸内海に浮かぶ島ぐらいの大きさがちょうどいい。
島へ行く目的はとくになし。
島へ行って、ぶらぶら散歩をして、
ときどき休憩がてらに、砂浜や堤防に腰を下ろして海を眺めて、
時間になったら船に乗って帰る。ただ、それだけ。
今年は香川県にある「佐柳島(さなぎじま)」へ行ってきた。
多度津港
佐柳島へ行く交通手段は、多度津港から出る船に乗らなければならない。
車で多度津港へ行き、湾岸壁無料駐車場に車を駐車した。
今回、多度津港と佐柳島(本浦)の往路を利用した。
佐柳島には、本浦(ほんうら)と長崎の二箇所に港がある。
💀.失敗談
多度津港近辺にいくつかのうどん屋がある。
過去に香川県へ数えきれないほど訪問をしているが、
香川県のうどん屋は、開店時間が早いことを知らなかった。
そのため、多度津港へ早く行き、うどん屋へ腹ごしらえをしてから、
船に乗り込めばよかったと後悔をしている。
ちなみに、開店時間が早い分、閉店時間も早い。
佐柳島
佐柳島と言えば、ねこがジャンプをしている写真が有名であろう。
(分からない人は、Google先生にお問い合わせをしてみてください🐈🐈⬛)
佐柳島は人間の人口よりもねこの数の方が圧倒的に多い。
おそらく、島へ行く観光客はねこ目当てが大半だと思われる。
この日は、船には両手で数えるぐらいの観光客が乗船していたが、
どの観光客も、キャットフードやねこのおもちゃを準備していた。
ちなみに、私はねこ関係のグッズは何も持たずに島へ行った。
船が本浦港に着岸をし、船から降りて島に上陸をした瞬間、
数匹のねこたちがお出迎えをしてくれた。
このねこたちは、船からご飯が運ばれてくることが分かっている。
もちろん、船から降りた乗客はねこの歓迎を受けるものだから、
ねこグッズを準備していた観光客はさっそくねこたちに足止めをされていた。
先ほどにも書いたが、私はねこグッズを準備していなかったため、
ねこの歓迎を横目に、そのまま散歩を開始した。
散歩
本当は、島全体を歩いて一周したかった。
しかしながら、島は半分までしか歩けない。
なぜならば、潮位が関係しており、
過去に満潮になって戻れなくなった人がいるとかなんとかで、
島を一周できないようになっている。これは致し方ない。
気を取り直して、本浦港から長崎港まで歩くことにした。
海がキレイであったこと、さざなみのリズムが心地よかったため、
砂浜を歩けるところまで歩いた。
砂浜には小さな足跡がポツリポツリと跡をつけていた。
島ねこも砂浜を歩いていることが伺えた。
砂浜から路上へ移動したときに、
どこからともなく「にゃ〜ん」と鳴き声が聞こえてきた。
振り向いて見ると、ねこがいた。
ねこは私の顔を見るや否や、歩いてやってきた。
私の顔を見て「にゃ〜ん」と鳴き続けるねこ。
ねこの頭をよしよししてやると、グルグルと喉を鳴らしてくれた。
続けざまに、ほかのねこたちもやってきた。
どのねこも警戒心が全くなく、フレンドリーに接してくれた。
ねこと戯れ合いながら、散歩を続けた。
ときどき高台へ続く通路があったので、
高台へ登って、島や瀬戸内海を一望した。
瀬戸大橋が見えた。岡山県が見えた。
多度津港の方角には、おそらく石鎚山を思われる大きな山も見えた。
(YAMAPを開いてみたけど、石鎚山の確証はなかった。)
写真を撮ったりしながら歩いていたら、長崎港にたどり着いた。
本浦港から歩いてどれぐらいの時間を要したのかはよく分からない。
感覚的には、2時間はかかっていないような。
この日の長崎港には、ねこではなく太公望がいた。
まだまだ道が続いていたので、行けるところまで歩くことにした。
長崎港周辺に、一匹の三毛猫がいた。
先ほど出会ったねこと同様に「にゃ〜ん」と鳴いて近付いてきた。
こちらの三毛猫は初対面にも関わらず、
勢いよくアスファルトに転がり、お腹を見せてくれた。
お腹を見せたまま、右へ左へと左右交互にコロコロ転がっていた。
さらに進んだところに、堤防があった。
時間がお昼どきだったので、少し休憩をしようかと思い、
堤防に腰を下ろした。
すると、どこからともなく、わらわらとねこだちがやってきた。
見渡せば、あたり一面にねこ。
「へっ?」となにが起きているのか頭の中の整理の時間を
ねこたちは与えてくれず、たくさんたかってきた。
我が人生で、たくさんのねこに囲まれることは今まであっただろうか。
そう、人生で一番のモテ期(対象:ねこ)が到来したのだ。
ふと気が付けば、二匹の猫が私の膝の上に座っていた。
三匹目のねこが私の膝の上に座ろうとしたところ、
すでに座っていたねことの喧嘩が始まってしまった。
「喧嘩、せんの(しないで)」と、ねこの頭を軽くポンポンしても、
「にゃー!(ねこパンチ)」と喧嘩が終わらず。
ねこパンチを受けたねこは私の膝を諦めて、
私の真横にちょこんと香箱座りをした。
おそらく、ねこたちはご飯目当てで私にたかっているのだろうが、
私はなに一つねこ用品の準備をせずに、島に上陸をしてしまった。
ねこのことは好きだが、このとき人生で初めてねこに困ってしまった。
ここはすぐに立ち上がってその場を去ろうとしたが、
すでに私の膝の上にはねこが二匹居座っている。
それに、右にも左にも前にも後ろにもねこが群がっている。
無下にねこを退かすわけにもいかず、
10分少々、ねこを無心で撫でたり、瀬戸内海を行き来する漁船を眺めていた。
天気が曇りで髪の毛がボサボサになるぐらいの風があったため、
体感気温は実際の気温よりも非常に低かった。
そのため、自分がじわりじわりと凍りついていく感覚があったため、
10分少々が限界だった。もちろん、本当はもうちょっと長居をしたかった。
ねこたちに何回も「ごめん」と謝りながらも、恐る恐る立ち上がった。
そして、まだまだ進めそうだったので散歩を再開した。
このまま一人で歩くのであろうかと思いふと後ろを振り向くと、
先ほどのねこたちが尻尾をピンと垂直に立てて、みんな私の後へとついてきた。
私は、上陸して早々にこの島の(ねこの)ドンになったような気分になった。
ねこたちは私の歩幅に合わせて歩いていた。
試しに、私が小走りをするとねこたちも小走りをした。
ねこはこんなに従順な生き物なのだろうかと、疑問が生じてしまった。
当方、生まれたときからねこがいる環境で育った。
今は、実家を離れてペット禁止の賃貸に住んでいるため、
ねことは無縁の生活になっているが、
人生において、ねこにこのようなことをされたことはなかった。
(ちなみに、実家には二匹のねこが暮らしている。)
進めるところまで歩いてみると、行き止まりになってしまった。
おそらく、行けるところまで来てしまったようだ。
これ以上進むと、自己責任になること、
見知らぬ人に迷惑をかけてしまうことになってしまうので、
Uターンをすることにした。
すると、先ほどのねこたちは私に相手をしてもらえないと分かったのか、
もう私にはついてくることはなかった。
(もしくは、ねこのテリトリーが関係するのかもしれない。)
ねこたちに別れを告げて、本浦港へ戻ることにした。
本浦港に戻る道中に、イノシシ二頭(親子)に遭遇。
遭遇と思いきや、イノシシは必死にご飯を探している様子だった。
イノシシは私をチラ見したが、無視をして、ひたすら鼻を土に突っ込んでいた。
相手は野生なため、警戒をしないといけないが、
なんとなく襲われないことが分かったため、少々安堵した。
本浦港にたどり着き、またもや堤防に腰を下ろした。
すると、100mぐらいの距離だろうか、
それぐらいの距離に離れたところにいたねこと目が合った。
私は、なんとなく「おーい!」とそのねこに向かって手を振った。
すると、ねこは身軽にひょこっと堤防に登り、
全速力で「にゃ〜ん」と鳴きながら、私の方へやってきた。
お互い、今日が初対面なはずなのに、ずっと前から知っている、
長年会っていない友達にあったような気分を思わせてくれた。
私のもとへたどりついたねこは「よっ!久しぶり!」と言わんばかりに、
「にゃ〜ん」と鳴きながらも、頭をひょっこりを出してきた。
ねこの頭をよしよしと撫でてやると、グルグルと喉を鳴らしてくれた。
ねこだからこそ、このようなことができるわけで、
これが人間だったら、と勝手に人間に置き換えて考えてゾッとしてしまった。
人間でもこのような性格の持ち主はいるのかもしれないが、
陰キャの私からしたら、非常にハードルが高い行為である。
そのあとも、船が来るまでの時間つぶしに、
散歩をしたり、ねこと戯れていり、そうやって私の島の滞在時間は流れていった。
街中にいるねこは、どちらかと言えば警戒心が非常に強い。
その特性があるのだろうと思いながら、上陸した佐柳島の島ねこたちは
初対面にもかかわらず、非常にフレンドリーであった。
これぞ、陽キャの鏡ではないのかとねこを通して学んだ一日であった。
おまけ
たくさんのねこと触れた一日。
幸せたくさんのように見えるけれども、
この旅のオチとして、2回マーキングをされた。
普通に用を足すではなく、ピュッとマーキングをされた。
上着とリュックサックにマーキンg(三回目だから言わない。)
一回目は、長崎港から歩いたところにある堤防に座ってねこにたかられたとき。
二回目は、船が来る直前に本浦港の堤防に座っているとき。
マーキングをされたからと言って、怒るわけではない。
自然現象(?)だし、
野生のねこと接することだからこれは致し方ないことである。
過去に、ねこ島で有名である男木島や女木島に行ったことがあるが、
そのときはマーキングをされなかったため、やや驚いた。
しかたがないとは言うものの、やっぱり匂いは強烈だった。
最初は鼻の奥にツンと来て、そのあと刺激臭が押し寄せてくる匂い。
もちろん帰宅後は、すぐに洗濯をした。