トランプ・トリックス・ゲーム! vs タントニー

■序

No.28 トランプ・トリックス・ゲーム! / Auf der Pirsc

http://kazuma.yaekumo.com/0028_aufderpirsch.html​

こちらのレビューを読みました。個人の感想で面白い/面白くないは当然でてくるものですし、NotForMeはボードゲーマーの権利です。

しかし下記の記述はちょっと見過ごせないくらいブルクハルトと数寄ゲームズに失礼だと感じます。失敗してないから私のように面白いと思うプレイヤーがいますし、面白いと感じたから日本語版を作ったのです。

借用したシステムを使いこなせず失敗した
パーレットと比較するために作ったのか、単純に資料的価値のためか

そこでトランプ・トリックス・ゲーム!(長いので以下TTG)がタントニーよりも好きで日本語版出てくれてありがとうと思ってる私が2つのゲームを比較して元記事に反駁したいと思います。※タントニーも好きです

前提となる両ゲームのルールなど色々すっとばして書いてますので、まずはkazumaさんの元記事をご参照ください。

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■タントニー→トランプ・トリックス・ゲーム!の改善点

※あえて改善と書いてますが、当然わたし個人の感想です

(1)ペア戦から個人戦になった

非公開情報を含むトリテにおいてペアでゲームをすることで生まれる面白さの肝は「パートナーと息が合った」という所に集約されると思います。裏を返せばペア戦は「息が合わないと面白くない」のです。

個人戦になったことで自分のプレイの善し悪しと運だけでゲームがコントロールできるようになり、パートナーが下手をうったというストレスも自分がミスしたからチームが負けたという罪悪感もなくなります。

このペア→個人の変更だけでも十分にTTGが作られた意味があります。

(2)勝ってしまう状況が生まれた

タントニーではトリックに勝つことはほぼ常に良いことです。もしも全てのトリックに勝てるなら勝つべきですし、それによって相手の得点も次のラウンドの動きもコントロールすることが出来ます。

対してTTGでは勝ったトリックを渡せるというルールがないことから、勝ちたくないのに勝ってしまうという事がよく起こります。これによって貴重な次のラウンドの手札が4枚も弱カードに確定してしまい涙を飲むこともあるでしょう。 

でもトリテの面白さってそういうところにあると思うんですよ。手札の理不尽に対応するためベターな選択肢を積み重ねて相手に微差でリードを付けていくぜ!っていう。

手札差の理不尽はゲームルールで制御可能な部分でタントニーは自分が弱くてもパートナーが強ければOKという面でTTGより理不尽度は下がります。しかしタントニーでも最初に弱い手札配られた側のペアは好きにトリック取らされて理不尽に陥りませんか?というのもあります。タントニーは強い手札持った人は次も強いですからね。

(3)得点配分とカードの強さに傾斜がついた

TTGでは1−3ラウンドと最終ラウンドで得点方法が変わります。1−3ラウンド目で取れる最高点は 112点(28 * 動物4種)ですが、現実的には50点程(17*3)でも相当に高得点でラウンドの点数一桁ということもよく起こります。

また1−3ラウンドで得点を多く取ることは、「色の偏りがないうえに中ランク多めで構成された勝ち負けをコントロールしにくい手札」で次ラウンドを迎えることを意味していて、結果的には得点差が付きにくいです。

対して最終ラウンドは3トリックまでという制限がなくなり最高点は120点になるのに加えて、3ラウンド目で最終ラウンドに切り札になるスートのカードを集めるという戦略を取ることで理論値に近い得点を狙うこともできます。トリックを取るだけ他プレイヤーの点数が下がるので得点差も出ます。

つまりゲームデザインとして1-3ラウンドの比重を軽く、最終ラウンドの比重を重くすることで「最終ラウンドに向けて手札を作っていくゲーム」ですよ。ということを意図しています。(ただし初回にルールを聞いた時点ではその意図に気づくのは難しいとも感じます。

TTGに切り札があり、各ラウンドで切り札スートが変わりかつ先のラウンドの切り札スートが見えているのも、この最終ラウンドに向けての手札作りというコンセプトを強化しています。

■TTGのゲームデザイン

次ラウンドの手札を現ラウンドのトリックで構成するというアイディアに集中してゲームを作ったら出来ました!というのがTTGのゲームデザインだと思っていて、そこに集中するためにはトリックを渡す(渡されてしまう)という要素はノイズです。

なので基本ルールからはトリックを渡すルールは削ぎ落としてコンセプトを存分に味わう形で提供されているものと思います。

ルールからゲームデザインの意図を瞬時に感じ取るのは難しいゲームだし、伝え方が足りないかもしれませんがタントニー亜流の失敗作と言われるような作品でないことは強く断言しておきます!!!

皆様ぜひ遊び比べて感想を教えて下さい。

#ボードゲーム #トリックテイキング

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