ふじもと的10曲ツイート「3.11」
共にこのnoteマガジン「オトガタリスト」を運営しているYuppieさんが定期的にツイートしてらっしゃる「10曲ツイート」。
独自のテーマやバンドをフューチャーしたこの企画、以前から僕も乗っからせて頂きたいなと思っていまして。でもなかなかテーマも思い浮かばなかったのでやってこなかったんですけど。良い節目に良いテーマを思いついたので今回やってみました。
テーマは「3.11」。
では、1曲ずつどうぞ。
①「明日へのマーチ」桑田佳祐
やっぱり当時リアルタイムで聞いてたのもあって思い入れ深い。「頑張れ」でも「明けない夜はない」でもなく「フレーフレー」だったこの曲の在り方はスゴく素敵だって思う。今日の報道であった虹もこの曲とリンクしてグッと来た。
②「桜流し」宇多田ヒカル
お母様の逝去を書いた曲って言われがちなこの曲だし、それもあるんだろうけど、この曲は震災も意識して書かれたんだろうなというのが伝わってくる。「桜」という花の季節感も含めて、僕はこの曲と震災を完全に断ち切れない。
③「雨は止む」aiko
aikoにしてはダウナーな歌声と、軽快なのにどこか憂いのあるピアノの音色、そして「雨は止む」「擦りむいた膝も力を貸してくれるよ」という歌詞は、リリースタイミングも踏まえれば震災が楽曲に影響を与えたんだろうなと思う。
④「ray」BUMP OF CHICKEN
BUMPにしてはあまりにも軽快なビートと音色だけど、そのサウンドとは裏腹に歌詞は別れを経て、寂しさを超えて、誤魔化しながらも消えない痛みを抱えてて、それでも最後には生きることを肯定する詞。震災を経たBUMPが満を持して放った大名曲。
⑤「ワンモアタイム」ポルノグラフィティ
震災から半年後、ポルノがリリースしたデジタルロック。もう一度未来へ駆け抜けよう力強く誓おうとする歌詞は震災を踏まえなければ有り得なかったし、昭仁のボーカルも力強い。
⑥「くだらないの中に」星野源
日常のありがたみ、愛する人が隣にいる喜び、「くだらない日々」が如何に僕らにとって大切なのかを説く詞。震災後に作られた曲、ということを踏まえて聞けば、聞こえ方も変わる。
⑦「years」サカナクション
自らを「薄い布」この世界を離れてしまった者たちを「影」とし、布に影は染まらず、悲しみも乾いてしまうと嘆き、そんな中にも変わらないものがあると山口が歌ったのは、きっと震災を踏まえてのことなのだろう。
⑧「深朝」Base Ball Bear
夜明けに街を行く1人の青年の心の中を写し出しながら、変わらないものと変わってしまうもの、そして変りゆくものを描く。この曲が収録されたアルバムのキャッチコピーは「すべての、2011年に。」
⑨「ラストバージン」RADWIMPS
「当たり前の日々」を忌み嫌う僕と「あなたの当たり前」になりたい君。「誰かの当たり前」でいれるのはは平穏な日々があってこそで、簡単なようで難しいそんな日々に思いを馳せてしまう。
⑩「夜を越えて」ASIAN KUNG-FU GENERATION
ゴッチって多分ミュージシャンの中でも最も震災に影響喰らってた人の1人だと思うんだけど、この曲は1番それが色濃く出てると思う。「ジ・エンド」じゃなくて「スタート」だと歌う勇気に心を掴まれる。
まとめとして
という訳で10曲。テーマは「3.11」としたけど、もっと突っ込んで書けば「3.11を経たミュージシャンが何を思い、考え、制作していたのか」。それが如実に現れてる曲を選んだ。だから基本的に各ミュージシャンの震災後初めてのアルバムからすべてチョイスしてる(はず)。そしてそれらは多分、昨今のウイルスによる社会の閉塞的なムードとも繋がってくると思ったし、だからこそこういうテーマで10曲選んでみた。日常の大切さや新たなスタート、そして別れをなんの淀みもなく言葉に出来るのは、音楽だからこそ。タダの言葉よりも音に乗ったこういう言葉に僕はずっと救われる。そしてそれは、今だからこそ尚更。
現在の社会を取り巻くムードが収束した時、音楽家たちはどんな音を鳴らすのだろう。その日を楽しみにしながら、今はただ、9年前と同じように、目の前にある自分たちが越えなければならない壁を越えていく。