10.9 Base Ball Bear 「LIVE IN LIVE IN YOUR НOМЕ, ТАКE С3」1,000字レポート
Base Ball Bear2度目の配信ライブとなった「LIVE IN LIVE IN YOUR НOМЕ, ТАКE С3」。
今回のライブは1月にリリースされたアルバム「C3」を完全再現。
アルバムの曲順をそのままセットリストとして披露するライブとなった。「C3」のリリースツアーは中止になったので、実質的に初披露となる曲も多い。ライブで披露して曲を成長させる彼らのスタンスを今この状況に当てはめれば「C3」はなお、出来たてのままだ。
そんな未だ出来たてホヤホヤ「ぷりっぷり」な「C3」の名盤っぷりがいかんなく溢れた今回のライブ。ビートが滾る「試される」や「Grape Juice」も、メロウな「Summer Melt」や「セプテンバー・ステップス」も、切なく響く「今は僕の目を見て」や「Cross Words」も、Base Ball Bear節でありながらも新鮮さに満ちていた。
近年の彼らのライブはフォーピースからスリーピースの変化故に、パート毎の音圧が一層求められていた。小出祐介の近年のメインギターが「ステレキャスター」であったことがその良い例だろう。各人の機材や音の変化は、スリーピースバンド・Base Ball Bearとして演奏を研ぎ澄ますための必然だった。しかし今年は例年のように観客の前に立つライブを重ねることが叶わなくなり、配信ライブやリモートセッションを重ね続けてきた。フォーピースでのライブとスリーピースでのライブが異なるように、通常のライブと配信ライブの見せ方は全く異なる。前回のFC限定配信ライブではその違いに苦戦を強いられていたようだが、今回は配信ライブならではの見せ方が身体に馴染んできたのだろう。配信ライブだからこそ映える、演奏や歌唱がこれまで以上に繊細になり、原曲には無い展開も数多く組み込まれていたのが印象深い。ひとつひとつの音を確実に鳴らす、オンラインライブならではの演奏だろう。
ラストに演奏した「風来」には否応なくグッと来た。画面越しじゃなくて、生で、ライブで見て聞いたらきっと泣いてしまうことだろう。さらさらと秋風が薫るような利那さと、旅立ちの日に未来を想うようなトキメキに満ちた演奏。人生という旅はこれからも続く。その日々に想いを馳せつつも、その旅の道中でまた、Base Ball Bearのライブが見れるように願いを託して。