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今後の法人保険の動向と募集人の方がとるべき戦略について


私がこの仕事をしている理由


弊社では保険募集人の方向けに、法人保険研修を専門に行っています。私自身は新卒で金融機関に就職。法人融資分野を専門として、約5年半勤務。その後コンサルタントの会社に転職し、経営コンサルタントとして約8年間の経験を致しました。そして現在は独立して、経営コンサルタント・法人保険募集人の方向けの研修・コンテンツ提供の事業を行っております。なぜ法人保険募集人の方向けの研修・コンテンツ提供を事業として行っているのか?という事については、金融機関時代まで遡ります。当時、担当していた中小企業の経営者が突然亡くなられたという経験をしました。幸いにも後継者がいらっしゃったので、後継者が会社を引き継ぎ、新たなスタートを切る事ができました。しかし、先代経営者のようにうまくいかず、会社はみるみる業績悪化。事業承継してから数年度、ついに会社は倒産してしまいました。先代の経営者と後継者に能力の差があったことは否めません。これも倒産した理由の1つでした。そしてもう1つが先代の経営者が生命保険に入っていなかったことが、倒産したもう一つの理由でした。経営者の方が亡くなることで、少なからず会社に影響は出ます。その影響を最小限に抑えるためにも、法人のリスクマネジメントは必須だと強く感じた瞬間でした。そして法人のリスクマネジメントの必要性を出来るだけ多くの中小企業経営者に知ってもらうため、リスクマネジメントを仕事にされている保険募集人の方をサポートすることを自分の仕事にすると決断しました。さて前置きが長くなりましたが、本日のテーマは「今後の法人保険の動向と募集人の方がとるべき戦略について」です。
 

法人保険の市場規模と動向


法人保険の販売チャネルは、直販・保険代理店・税理士・金融機関などがメインとなっています。法人保険は事業保障対策・退職金準備・相続・事業承継対策などの経営課題を解決する手段ですが、現場では、黒字企業の損金ニーズに応える手段として使われてきた背景があります。しかしながら皆様ご存じの通り、「バレンタインショック」の影響で法人保険の市場規模は縮小しました。ただ今後の市場動向については、今までの損金ニーズに代わり、保障性ニーズが起業・事業承継等により発生することが考えられるため、活発になっていくと予想されます。
 

保険募集人の動向


弊社で法人保険研修を受講される方は増加傾向にあります。保険会社・保険代理店により差はありますが、法人保険に力を入れる会社は増えてきたように思います。その背景として、個人保険マーケットはレッドオーシャンである事や、人口減少により個人保険の市場規模縮小が予想されていること、また募集人の方のキャリアとして法人保険にチャレンジしたい方が増えてきていること等が挙げられます。
 

法人保険を取り組むにあたって、募集人に求められる4つの能力


では法人保険提案の質を高めていくためにはどのような能力が求められるのでしょうか。大きくは4つの能力に分類されます。

1つ目は【保険の価値を伝える力】です。保険の本質は「保障」です。資産形成や相続対策なども保険の価値ですが、あくまで「保障」が基本的価値です。今まで節税対策として保険提案をされていた募集人の方が途端に法人保険提案が出来なくなるのは、本来の保険の価値である「保障」の必要性を伝えていなかったからです。今後の法人保険提案のポイントは【保障】ですので、この必要性を言語化する必要性があります。

2つ目は【根拠がある提案力】です。保険募集人の方の仕事は【リスクマネジメント】です。生命保険によるリスクマネジメントとは、経営者もしくはキーマンの方に万一の事があった時に残された方を守ることですが、その為にはどんなリスクかを具体化する必要があります。当たり前の話かと思いますが、どんなリスクがあるかが分からない状態では、マネジメントする事は不可能です。企業の財務諸表やヒアリングから、リスクを言語化・数値化し、法人保険を提案する事が必要です。

3つ目は【経営者の方にイメージしてもらう力】です。保険という商品は極めて重要な商品ですが、どうしても経営者の方にとって緊急性が低くなってしまいます。だからこそいかに保障の必要性を「イメージ」してもらうかが大切です。経営者に万一の事があった時に事業を継続するのか?それとも清算するのか?事業を継続するのであれば、自社株式はどうするのか?借入金は清算するのか?など必要な資金を明確にすることで、“保障の必要性”をイメージしてもらいましょう。

最後の4つ目は【法人へのコンサルティング力】です。どうしても保険募集人の方は“保険商品の話”にフォーカスしてしまいがちですが、その前に法人の実態把握や財務的にどの程度の保険料を支払いできるのかなどを見極める必要があります。保険商品の話ばかりしていては、法人経営者の心を掴むことはできません。

保険募集人の皆様は上記の4点が身に付いているかを確認しておきましょう。