【まとめ】リル・ナズ・Xって何者? | クリエイターズファイルvol.1
このnote”クリエイターズファイル"では、ラッパーであるリル・ナズ・Xの生い立ち・バズったきっかけ・経歴・魅力など細かくまとめています。
※2022年9月28日時点の情報です
■ クリエイターズファイル
TO NINEがお届けするクリエイターエコノミーに関するPodcast「Creator Chips」でご紹介したクリエイターたちをまとめています。
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(目次)
▼ リル・ナズ・Xの基本情報
名前:LIL NAS X(読み方:リルナズエックス)
「ナズ」は、もともと10代の頃から使用していたハンドルネーム。そこに、「最近の若手ラッパーは『リル』と頭についている人が多いから」という理由でなんとなく「リル」とつけ、最後になんとなく「X(エックス)」を後づけしたという。
本名はモンテロ・ラマー・ヒル。三菱自動車のSUV、モンテロ(日本のパジェロ)にちなんだミドルネーム。生年月日:1999年4月9日
出身:アメリカ 合衆国 ジョージア州 アトランタ
身長 / 体重:186cm / 78kg
学歴:リチア・スプリング高校
ウェスト・ジョージア大学(中退)SNSアカウント
▼ リル・ナズ・X”Buzz”のきっかけ
「Old Town Road」までの生い立ちは?
① 幼少期 - アイデンティティの形成
6歳で両親が離婚
1999年、アトランタ郊外の労働者階級に生まれる。両親は6歳の頃に離婚し、5人の兄弟と共に母親と曽祖母に育てられる。ゴスペル歌手の父親が彼らの親権を得る
9歳の頃母親がドラッグ中毒になり、 父親に引き取られる。より裕福な街リチア・スプリングスに移り住むが、彼はなかなか土地に馴染むことができなかった。教会にインスピレーションを受ける
父親によって頻繁に教会に連れて行かれ、教会音楽や聖書が持つバロック的な魅力を発見する。後にそれらが、彼の作品に影響を与えることになる。自分がゲイであることに気づく
同じ頃、彼は自信が同性愛者であることに気が付く。しかし、彼はマイノリティであることに羞恥と苦痛を覚えていた。後に、自分のセクシュアリティを受け入れる前、自殺を考えたこともあったと告白している。ネットの世界に没頭
現実世界に生きづらさを感じていた彼は、画面の中の世界に夢中になった。SNSを使いこなし、13歳の頃にはツイートやミームを量産してバイラルを起こすテクニックを習得する。
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② 青年期 - 『Old Town Road』の誕生
大学を中退し音楽の道へ
ウェスト・ジョージア大学で情報科学を専攻するも、ニッキー・ミナージュのファンだった彼は音楽の道に進むことを決意する。2018年の夏、音楽キャリアを本格的に始動するために大学を中退し、姉の家に住みながらSoundCloud上に自身の楽曲をアップし始める。『Old Town Road』の大ヒット。30ドルからグラミー賞へ
2018年10月、YouTube上で彼の運命を変えるビートに出会う。オランダのプロデューサー・YoungKioのTypeBeatだ。30ドルで購入したこのビートを使用したリル・ナズ・Xの楽曲『Old Town Road』は、2018年12月にリリースされるやいなや、TikTok上で瞬く間に拡散。
カントリーラップと評されたこのヒットシングルは、ビルボード・ホット100チャートで1位に上り詰め、グラミー賞6部門にノミネートされる。”カントリーか、ヒップホップか”ジャンル論争
2019年3月、ビルボードが『Old Town Road』はカントリーの要件を満たしていないとして、ランキングから除外した。これに対し彼のファンは人種差別的だと非難の声を上げたが、アメリカのカントリーのスターであるビリー・レイ・サイラスが参加したリミックスによって、聴衆はさらに広がり、ドレイクが保持していた全米史上最もストリーミングされた曲の記録を更新した。さまざまな功績をあげる
- 『Old Town Road』が全米シングルチャート19週連続1位の新記録を樹立し、ギネス記録に
- 『Old Town Road』が14回目のプラチナ認定を受け、アメリカレコード協会の歴史上「最も多くプラチナ認定を受けた曲」となる
- 「ネット上で最も影響力がある25人」選出
- 「Forbes 30 under 30 」選出
▼ リル・ナズ・Xの魅力
① ”Buzz”のテクニシャン
ジャンルレスな楽曲で魅了
トラップ・カントリー・R&B・ロックなど、様々な音楽ジャンルの要素を含むリル・ナズ・Xの楽曲は、様々なジャンルの音楽を幅広く聴く傾向にあるZ世代の若者のハートを射抜いている。TikTokを積極的に活用
多くのヒットソングがTikTokから生まれるこの時代、彼はTikTok上に積極的に自身の楽曲を使用した動画を投稿し、”Buzz”を生み出している。BPMの早いリズミカルな楽曲は、数多くのダンス動画のBGMとして利用され、世界中の人々の耳に届いている。
- 『HOLIDAY』『INDUSTRY BABY』は100万以上の投稿にて使用されている。
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② 禁忌を破るマーケティング
人間の血が入った”サタンシューズ”を販売
2021年3月26日、ある男性の欲望を歌う『モンテロ(コール・ミー・バイ・ユア・ネーム)』をリリース。MVではリル・ナズ・Xが地獄に下り、サタン自身に向かってラップダンスを踊った後、悪魔を殺し、その角を自分の頭に載せるという宗教的な演出が。
リリースの数日後、彼はアメリカのアーティスト集団MSCHF(ミスチーフ) とコラボし、一足1,018*ユーロ(約14万円)で、ナイキのバスケットシューズをカスタマイズしたエクスクルーシブ・コレクションを666*足限定で販売し、1分足らずで完売。エアユニットが60ccの赤い液体で満たされており、この液体にMSCHFメンバーの血が1滴だけ混入しているという、まさに“血の契約”が結ばれたモデルである。
┗*「1018」は聖書のルカによる福音書10章18節「わたしはサタンが電光のように天から落ちるのを見た」という箇所にちなんでいる。
┗*「666」は悪魔の数字といわれている。
ナイキが商標権侵害などで提訴、世間からも怒りの声が
サタンシューズはNikeAir Max97sを改造したものだが、ナイキに無許可で販売。SNS上で賛否両論を巻き起こし、無関係のナイキに批判のコメントが寄せられた。
ナイキは「リル・ナズ ・XおよびMSCHFとは無関係だ。ナイキがこのスニーカーをデザインおよび販売した事実はなく、このスニーカーを支持していない」とコメント。サタン シューズの発売の翌日には商標権侵害や虚偽の原産地表示、不正競争防止法違反などで提訴した。
これを受けてMSCHFは「白壁のギャラリーに守られるのではなく、批判されるシステムの中で生きるアート作品を作っている」と声明を発表。「MSCHFは表現の自由を強く信じており、私たちや私たちのような他のアーティストが今後も活動を続けていくこと以上に重要なものはない」とコメント。現在は和解が成立している。
サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事が「『エクスクルーシブ』なものとは、子どもたちの神聖な魂」であり、「祖国の魂のために闘わなければ」ならないとツイッターで発言した際、リル・ナズ・Xは「あんたは知事だが、呪わしい靴についてツイートをしている。仕事しろ!」と反論。
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③ ジェンダーレスなファッション
ゲイであることをカミングアウト
2019年6月のプライド月間に、自信のセクシュアリティをカミングアウト。ヒップホップ界はLGBTQ+への風当たりが最も強く厳しい世界だと言われており、ブレイク直後に若くして堂々と同性愛をカミングアウト彼は異色の存在である。LGBTQ +コミュニティを代表し、世界に対し意思表示を行うリル・ナズ・Xの活動は、もはや音楽の域に留まらずファッションにも表れている。全身ピンクのカウボーイスーツや、紫色のドレスパンツ姿で魅了
こうしたリル・ナズ・Xのファッションは、「男らしさを黒人から奪っている」として批判されることもあるが、性別の壁を超えた自由なファッションとして、Z世代の新アイコンとして支持を集めている。エイサップロッキーとともに、リアーナのスキンケアブランドFenty Beautyのモデルを務めるなど、活動の幅を広げている。作品にもクィアとしての思いを込めている
特に『モンテロ(コール・ミー・バイ・ユア・ネーム)』には強いメッセージが込められている。「モンテロ」はリル・ナズ・Xの本名で、楽曲がリリースされた際に、14歳の自分に宛てた手紙を公開している。
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④ アトランタが10月20日を “リル・ナズ・Xの日” に制定
彼の出身地であり、アメリカで最もヒップホップが盛んな街の1つとして知られるジョージア州アトランタ市。同市が10月20日を”リル・ナズ・Xの日”に制定した。市議会は、彼の音楽業界に残した功績や、ゲイであることをカミングアウトしたことでLGBTQ+コミュニティーにポジティブな影響を与えたことを讃え、“リル・ナズ・Xの日”の制定を決めたという。
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⑤ 社会問題に対する活動
保釈金を払えない有色人種の人々を支援する非営利団体との提携
ラッパーのジャック・ハーロウとの楽曲『INDUSTRY BABY』は、有色人種の男性が投獄される率が異常に高いという社会問題に触れた作品。
この楽曲では、保釈金を払えない有色人種の人々を支援する非営利団体との連携を図った。
MVでは刑務所に収監されたリル・ナズ・Xが全裸に見える男性ダンサーを引き連れ自らも裸で踊った。後に無修正版をリリースし話題を振りまき続けた。
ショーにHIVに関するメッセージを盛り込む
MTVビデオ・ミュージック・アワード2021にて、リル・ナズ・Xと共に「Southern AIDS Coalition(南部エイズ連盟)」のマルドレクス・ハリスがステージに立った。彼のTシャツに書かれていた「433,816」という文字は、2015年時点でのアメリカ南部でHIVとともに生きる人々の数を示したもの。HIV感染が拡大し続けているということにスポットライトを当ててほしいというメッセージが込められていた。
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★ 日本のカルチャーからの影響も?
きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲『チェリーボンボン』にハマっていた。
『Old Town Road』のリミックスバージョンのMVに俳優のキアヌ・リーヴスが「NARUTO-ナルト」でおなじみの「ナルト走り」をするアニメーションを取り入れる。
2020年のヒット曲「Panini」のMVに近未来の東京を彷彿とさせるシーンを盛り込む。
まとめ
音楽業界にとどまらず存在感を放ち、多様性の時代のアイコンとして注目を浴びているリル・ナズ・X。
ネットを巧みに活用している点も彼の強みと言えるでしょう。
社会問題と真摯に向き合う中でも、ユーモアを交え、時には挑発しながら”Buzz"を量産していく彼から今後も目が離せません。
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