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私は不満でいっぱいなのだ

言葉を学ぶと得られる視点と失われる視点がある。

高校生の頃、英語の授業の中でIt is originated from Germanyと言うフレーズの音読を任された男の子がいた。急に当てられた彼は、Germanyがどこかの地名と言うことがわかったのだが、どこだかわからずこう答えた

Ge.... Ja.... Jamaica?

私は今、Germanyと言うアルファベットを逐一追わなくても、その枠を見ただけでGermanyと答えられる。それは、たとえ正しかったとしてもGermanyを他の読み方・解釈をして何か別のものに出会う可能性を消してしまっている。

先日、英語の記事を読んでいた。その中でhuman beingsという言葉が連呼されていた。シェリーを飲みすぎて酔っていたせいもあり、私の書き言葉を追随する能力は中学生以下に衰えていた。

Human...フマン...不満?

普段であればhuman beings = 人間と結びつけられる線がぷっつりと途切れて、私の思考はローマ字読みにまっしぐらになった。

ああ、そうか。我々を人間足らしめるのは不満なのかもしれない。なぜなら不満ビーイングなのだから。満面の心で満ち足りてしまったら、我々は人間出なくなってしまうのかもしれない。あれが欲しい、これが足りない、もっと欲しいと言う不満は我々を人間足らしめてくれるものなのかもしれない、グラスを傾けながらこんなとりとめのない思考に漂っていた。


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