意識を取り戻した母
2021年6月27日に脳出血で母が入院して
もうすぐ2ヶ月が経とうとしていた。
急性期の病院には、
入院できる期間が国で決められていたため、
8月末には退院し別の病院へと
移動しなければならなかった。
自立呼吸が回復し、一般病棟に移ったものの、
2ヶ月意識は戻らなかった。
母は意識が戻っても
後遺症が残り歩けないかもしれない。
これまでと同じように
生活することもできないかもしれない。
それでも意識が戻った母に伝えたいことが
私たち家族にはたくさんあった。
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8月30日の退院予定日4日前、
担当の主治医の先生より電話があった。
「少しずつ意識が戻ってきて
声かけに対して目を開けたり
手を握り返そうとする様子が見られています」
その報告を聞いた家族はみんなで喜んだ。
「ままも頑張ってるからみんなで頑張ろうね」と
父や弟や妹とも励まし合っていた。
その日の夜、私はふと不安にかられた。
意識が戻った母は、いまどう思うだろう?と。
私たちからすれば、母の意識が戻ることは
2ヶ月待ち侘びてやっと訪れた日だった。
ただ、母にとっては
6/27に急な頭痛と吐き気に襲われて、
救急搬送されてから、目が覚めた時には
2ヶ月後に病院のベットにいる自分だ。
言葉も話せず、身体も動かず、
どんな思いでいるのだろうかと不安になった。
コロナで家族にも会えぬまま、
1日をずっとベッドの上で過ごしている。
変わり果てた自分の姿に母はどう思うのだろう。
そんなことばかりを考えていた。
母が頑張ってなんとか繋いだ命を
母は喜んでくれるのだろうか。
こんなことなら死にたかった。
生きることを望んでなかった
と思っていないだろうか。
母も私たちと一緒に生きていられることを
喜んでほしいし
生きていたことを後悔して欲しくない。
そして、後悔させたくない。
そんなことを思いながら眠りについた。