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母がいない誕生日

2021年8月7日は私の20代最後の誕生日だった。
母が脳出血で入院し1ヶ月と少し経った頃、
私は必死に願っていた。

「どうか母の意識が戻るように」と。

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私たち家族は仲が良く、小さな頃から誕生日には
大きな丸いケーキを囲んでお祝いしてくれた。

甘いものが大好きな私には、
夏にぴったりなアイスケーキを
いつも買ってくれた。

家族がいること
みんなで一緒に食事ができること
そんな当たり前の毎日が
本当に幸せなことだったんだなと
今になって気付かされた。

大人になっても誕生日には、
家族みんなで集まり食事をしていた。
「来年もまたアイスケーキにしよう」と
去年の今頃話していたなと思い返す。

今年もこれまでと同じように
家族や彼も実家に集まり、
みんなで手巻き寿司をつくって
ケーキを食べたりお酒を飲んでお祝いした。

母がいなくても寂しくないように、
みんなでお祝いしてくれた。
今一緒にいる人を大切にし、
今あるひとときをいっぱい楽しもうと
改めて思えた素敵な日だった。

私はどんなプレゼントよりも
母の意識が戻ることを願っていた。
でもそれは叶わなかった。

私は今年29歳になった。
これから結婚もするし、
子どもも生まれるかもしれない。

結婚式での晴れ姿を母に見てほしかったし、
子どもができたら母に1番に伝えたいし、
孫を母の手で抱いてほしい

人生に迷った時、困ったときは
母にそばにいてほしいし、
母に支えていてほしい。

これまで友人たちが当たり前のようにしてきていたことが、わたしには叶わないのかもしれない、これからどうしたらいいんだろうと考えてしまった。

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