なんでもいいよ!自分の意見を言える子に。
今回は、外国人とのコミュニケーションに関する話題の定番とも言える「日本人、意見言うの苦手問題」を取り上げたいと思います。
それは、私が子ども英語教師として、語学の習得と同じくらい、「自分の意見を人に伝えること」を重要だと思っていて、身につけるお手伝いをしたいなと思っているからです。
ポルトガル留学中の私は、弁舌なめらかな外国人学生を前に、自分の意見のなさを恥ずかしく思うことがたくさんありました。
社会人となり、外国人と会話する機会がそれなりにある今も「無邪気に難しい話題を振ってくるよね…」と思いながら口を開いています。
そんな私なりのこの問題への練習・対処法に加え、子ども英語教師として、この問題にどう向き合っていきたいかをお伝えしたいと思います。
外国人との「ややマジメな雑談」は結構発生する
私は、仕事で海外メディアの記者と対面で話す機会がちょくちょくあります。
フランス、ドイツなどのヨーロッパ、米国、中国、韓国、シンガポールなど世界各国の記者さんとやりとりしています。短期で来日している方もいれば、日本に長く駐在している方もいます。
記者さんとの雑談のなかで、話を振られる場面があります。
「〇〇という場面に遭遇したけど、日本人としてはどう思うの?」
「今度△△が開催されるよね。(私の意見を待つ間が設けられている)」
「××(日本っぽい何か)をやってみたいんだけど、あれってどういう意味なの?おすすめある?」
世間話から一歩踏み込んだような話題で、外国の人に急に意見を求められたら…みなさんならどう反応しますか?
学生・社会人問わず、海外で同様の場面に遭遇した方から、「その場にいた自分以外の外国人同士でどんどん話が進んでしまい、自分はただただ聞くばかりで情けない想いをした」といったような体験談はよく聞くと思います。
語学力の差の影響は、もちろんあると思います。
しかしそれ以上に、「何を言っていいかわからない」と感じる人も多いはず。残念ながら、日本人はこういった、外国語での会話中に発生する少し込み入った話題に関する自由回答型の質問への対応が苦手な人が多いのかもしれません。
なぜ、日本人は自分の意見を発信するのが苦手なのか?
この問いへの私の考えを以下にまとめてみました。語学力に関しては、それ言っちゃおしまい、にもなるのであえて触れないでおきます。
意見をサッと発することができない要因
正解を言わねばと無意識のうちに囚われていて、発言内容を考えすぎているから。
思いついたアイディアがあったとしてもそれを反射的かつ気軽に述べられないから。述べる練習をしていないから。
物事に対する自分の意見をまとめる練習を普段からしていないから。
「わからない」との回答や黙ることでその場をやり過ごすのを良しとしてしまっているから(本心はそうじゃない場合もある)。
ちょっと厳しい意見でしょうか?(笑)
雑談に正解は必要か?会話のメンバーに選ばれていることを忘れずにいたい。
日本人はマジメと言われていますし、「間違うこと=恥」という精神性も根強いですよね。こんなこと言ったらどう思われるか?と考えすぎてしまう場合もあるかもしれません。
でも、グループでも1対1の会話ででも、冒頭のような雑談をしている場面では、何か思いつくことがあれば言葉にして、会話を転がす一員になった方が相手も嬉しいと思うんです。
口頭試験や面談ではないのだから、別に間違ったことを言ってもいい。間違ったことさえも、相手は話の種にして会話を続けてくれるかもしれません。
ただの一つもアイディアが浮かばなかったとしても、「それについては意見が思いつかないんだけど、似たところでこれについてはこう思うよ」と話の流れを変えてしまってもいいと思うんです。
では、どうすれば?(子ども英語教師の視点から)
マジメな性質や間違うことを避ける文化を否定したいのではありません。
外国人相手であれば、自分を「外国人との会話仕様の自分」にチューニングした方が相手も自分も会話を楽しめる可能性がグンと上がるのでは?と考えています。
この「自分チューニング」を含む「日本人、意見言うの苦手問題」の解決策について、上記1.-4.への対応を練習したり、場数を踏んだりすることが有効かなあと、自分の経験から考えました。
対大人の場合については、この記事の最下部にまとめたので、ご興味があればぜひご覧ください。
対子どもの場合ですが、この問題に対する子ども英語教師としての自分の姿勢、自分に何ができるか、について、現状は次のように考えています。
自分の意見を言える子になるために、子ども英語教師である私ができること
子どもの発言は、例え的外れに思える内容だったとしても、会話の種として拾ったり活かそうとしたりする。
どう思う?などと聞く、話を振って考える機会を作る。
思いついたことを発言していいのだと伝える。
国内外での練習法についての勉強を重ねて、子どもに合わせて実践する。
ともだちは別として、文化的な背景が違う人との会話では、相手にとって自分は「謎の人物」なんだと思います。「この人は何を考えているんだろう?」「どんな考えを持っているんだろう?」肩書きや出身地のようなラベルのような情報だけでは、相手と安心して会話ができにくい。そこで、相手と自分を繋ぐのがお互いの気持ちや考えがのった発言なんだと思います。
自分の意見を言えるようになった子に、これからたくさん出会いたいなと思っています。
※ご参考「日本人、意見言うの苦手問題」大人の場合の対処・練習法
上記1. と2.について:
・まず「外国人と会話するモード」に自分を意識的にチューニングする。気持ちをおおらかに、ちょっと間違ったことを言っても、ゴメンって言えばいいや!くらいの意識で。
・そして、会話をつなぐことに重きを置く。
上記3. について:
・時事問題に対して考える癖をつける。
・日常生活の中で、自分だったら?自分の意見は?と意識的に問う
上記4. について:
・話の腰を折らずに会話の流れを切り替える方法を身につける(質問で返す、話の流れを変える文句を使う、いい雰囲気を崩さずに相手と違う意見を言う、単純な繰り返しにならないような同調の仕方をする…など)
・日本に関する基本的なデータなどは頭にいれておく(面積、人口、失業率、平均寿命、GDP、主な信仰とその割合、政治(与野党の構造、国会議員の選出方法)、学校教育の仕組みなどなど、他国との比較の際にカナリ使えるので、頭に入れておいて損はなし。
ご参考にしていただけたら、嬉しいです。