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Fiori di ciliegio Wind Orchestra 後日談①


2024年3月9日、学生最後の演奏会、Fiori di ciliegio Wind Orchestra(通称:ねず吹)が無事開催された。

正直、この演奏会が終わった後は心にぽっかり穴が開いて耐えられないんじゃないかと思っていましたが、案外そんな喪失感はなく、今はやりきった楽しかったと、本番の録音や写真を見てはニマニマする日々です。

83人の奏者の皆さま、ご来場いただいたお客さま、念を飛ばしてくださった皆さま、本当にありがとうございました。

さて、時間が経って言語化できるような気がしてきたので、いつもの如くnoteにねず吹に関することをまとめていきます。

かなり長くなってしまうので、いくつかに分けて投稿します。ただの自己満です。

後日談①では、立ち上げから選曲までの経緯たるものをつらつら述べていきます。

なお、後日談②では、ねず吹全体の感想を書き記しています↓

①-1.演奏会立ち上げまでの経緯

B3:大学の引退定演の中止

ねず吹のきっかけの一つには、大学の引退定演の中止がある。

コロナが大流行した2020年、僕は3回生だった。

我々が所属している界隈、通称六大は、3回生が幹部回生で、2020年の春はまさに自分たちの集大成となる引退定演に向けて動き出そうとしていた時期であった。

そんな矢先、Unknown Virusにより緊急事態宣言が発令され、課外活動はおろか、大学に行くことすらも、人と会うことすらも許されない状況になってしまった。

僕はかなりの楽観的(というか物事の見通しが甘いが故)なので、緊急事態宣言が出た最初の頃は、地元を散歩しながらコロナが落ち着いたらどう新歓をしようか、どんな引退定演にしようか、妄想演奏会を開く日々だった。

しかし、状況は全く好転するどころか日々悪化するばかり。

感染経路も、三密空間でのエアロゾル感染と言われており、そんな状況で、大人数が集まって楽器を吹くなんてできるはずがなかった

結局、8月末の時点で引退定演の中止が決まった。

大学の学生指揮者の醍醐味は、引退定演で大曲を振ることだと思っていた自分は、それを経験しないまま引退することになった。

もっと色々な曲を振って見たかった…
引退定演という景色を見てみたかった…
もっとみんなと一緒に音楽がしたかった…

悔しさ、やるせなさ、もどかしさ、コンプレックス、、、様々な感情を抱え、ついには吹奏楽のことを考えることも、曲を聴くことすらも嫌になって、界隈の人たちともシャットアウトしてしまった(それでもTwitterはしてたけどな)。

B4:メモコン2022での指揮者復帰

そんな中、3回生の春休みにメモコン2022の指揮者募集があった。

距離を置いていた吹奏楽、しかも指揮を振れるチャンスが目の前に来た。

大学2回ではまともにシンフォニックを振った経験がなかったが、それでもやってみたいという思いはあり、その葛藤する気持ちも吐露しながら第三者投票でありがたくも指揮者に任命され、指揮を振れるチャンスをいただいた。

メモコン2022は、これを学生最後の指揮本番にしよう(フラグ)と思い挑んだが、最後まで自分がやってよかったのか葛藤したし、本番が近づくにつれコロナが再流行して、本番をやるべきかどうかについても葛藤があった(そのせいでめっちゃほかの運営困らせました、ごめんなさい)。

当時の運営、奏者の皆さまの熱量に支えられて振り切った。

ほぼ人生初のシンフォニック、2年ぶりの指揮、2年ぶりの本番、2年ぶりの吹奏楽、、、

これで終わるつもりで挑んだメモコン2022は、吹奏楽愛を再燃させることになり、ここから怒涛の(?)吹奏楽Yearが始まることになった。

M1:演奏会立ち上げ欲のBIG BANG

M1になってからは、緊急事態宣言やまんぼうも解除され、大学でも対面授業が戻ってきた(おかげで研究室に篭もる生活が解禁される)。

吹奏楽も、春の時点ですでに2本運営が決まっていたし(!?)、練習・本番も滞りなく行えるようになった。

この頃からぼんやりと2024年の春に演奏会というキーワードがちらつくようになってきた。

M1前期の頃は授業に研究に就活にバイトに、あまりの忙しさに妄想の域に留めていたが、夏休みに入ってふるだぶ2022の練習に入って、知り合いと再会したときに思いはBIG BANGした。

今まで出会ったメンバーと一緒に演奏会がしたい、そしてあわよくば自分が果たせなかった引退定演の代わりに大曲を振って…

まずはこの思いを誰かに相談して(あわよくば)2人目の運営になってもらおうと思って、ある人に声をかけた。

この夏はホルオケに乗っていて、その時の指揮者がねず吹もう1人の指揮者の影ちゃん先輩だった。

彼は大学の時の1個上の指揮者の先輩で、指揮合奏も非常にスマート、そしてお酒を飲むとユーモラスでチャーミングな先輩だ。

誰と指揮をするか、影ちゃん先輩以外考えられなかった。

ふるだぶと練習がどん被りして全然練習にいけなかったが、たまたま杉本練の日があって、たまたまその日が参加できる日だったから、練習終わりに彼を飲みに誘い相談(もとい勧誘)することに決めた。

今しかない、今言わなかったら一生地縛霊のように界隈に漂うことになる、周りの大人に頼るんだぁ…!

そんな思いでお互い3-4杯くらい酒を飲んだ段階で(それより前にかなりディープな話があったが)「2024年3月に演奏会を一緒にやってくれませんか?」と聞いてみると、快く快諾してくれた。

(※ お互い酒を入れないと本音トークができない性格です)

これにて、ねず吹が演奏会として動き出せることになった。

①-2.自己満演奏会にならないために


2人目の運営、しかも指揮者を(結構強引に)囲い込むことに成功し、演奏会としての記念すべき第一歩を踏み出したねず吹だか、大きな問題があった。

そもそもお互い酒が入っていたのもあるし、何より「これってただの僕の自己満演奏会なんじゃね?自分が引退定演できなかったコンプを解消したいだけやん?」と自分の行いに待ったを入れる自分もいた。

これまでもいくつか運営をしてきたので、演奏会一つやることに多大な労力がかかることはわかっていた。

なぜ運営はこの演奏会に協力してくれるのか?
なぜ奏者はこの演奏会に乗ってくれるのか?
なぜこの演奏会を開くべきなのか?

この辺りを約1日考え込んでたどり着いたのが、
Fiori di ciliegio Wind Orchestraであった。

Fiori di ciliegioは、イタリア語で

桜って、毎年見たくなるし写真撮りたくなりませんか?

なぜそうなるか、
それは桜が年に1回、数日しか咲かない希少価値が高いものだからだと思う。

桜の花の写真は撮るが、葉桜になった桜の木の写真は撮らない。

写真フォルダを見返しても、そこにあるのは春になって咲いた満開の桜だけ…。

演奏会も、1回の本番のために何十時間も練習するが、実際の本番は1時間半程度で終わってしまい、その後は解散を迎えてしまう。

桜の花と演奏会って似ているなと思ったから(非常に読みにくい名前でしたが)この名前を授けました。

そして、また1年後に花を咲かす桜と同じように、奏者のつながりが桜の幹のようにずっと続き、1年後(例えそれ以上の低頻度でも)みんなで集まって吹奏楽をしたい

そんな思いから、この楽団名にした。

コンセプトは「出会い」「再会

吹奏楽をしていれば、疎遠になってしまっていたかつての仲間とも会える、新しい出会いもできる。

ねず吹を通じて、コロナ禍で一時期は切れかけていた繋がりを取り戻せる。

ねず吹を通じて、人と人とを結びつける…。

ありきたりかもしれないが、コロナを直に経験した世代だからこそできるのではないかと考え、演奏会を主催することにした。

自分は本当に恵まれもので、すぐに運営メンバーも集まり、9月には演奏会として本格的に動きますことになった。

①-3.メイン曲:宇宙の音楽という選曲

指揮者をやっている人ならわかっていただけると思うが、選曲フェーズは演奏会企画段階で最も楽しい瞬間である(諸説あり)。

大好きな曲、振ってみたかった曲、思い出の曲…

Google Formにあげられた曲たちは、自分が指揮を振れる可能性のある曲か、自分が楽器を吹ける曲だ。こんなに萌えることはない

さて、僕にはずっとやりたかった曲がある。

それは、宇宙の音楽/P. Sparkeである。

この曲との出会いは12年前に遡る…↓

宇宙の音楽との出会い

宇宙の音楽との出会いは、僕が吹奏楽を始めた中1の頃である。

どこでどのように聴いたか忘れてしまったが、
精華女子高校の宇宙の音楽(コンクールカット)を聴いた。

当時チューバを始めたてで、コンクールにも出られなかった僕にとって、この宇宙の音楽は衝撃そのものだった。

僕もいつかはこんな演奏をしてみたい、幼心にそんなことを思った。

(その後、高1の冬にモンタニャールと出逢ってから好きな曲が変わってしまったが、根底にはずっと「いつか宇宙の音楽やりたい」は持ち続けていた)

学生指揮者としての最終目標

指揮を始めてからも、いつかは宇宙の音楽やりたいと思い続けてきた。

一つの目安として3回生の引退定演を目論んでいたが、所属していたサークルは小編成すぎたのとマーチングをやっていたので厳しそうだった(そもそも中止になったが)。

なので、2回生の頃はいつかは宇宙の音楽を振りたいと思いながら、まずは指揮者としての技量向上を目指していた。

(なおこの間自分のやりたい音楽と指揮の技術・合奏技術にギャップがありすぎて悩みまくっていた。影ちゃん先輩とさらに1個上のO先輩には本当にお世話になりました)

選曲で落とされがちな宇宙の音楽

それからメモコン2022じゃ吹で宇宙の音楽を出したが、当然落とされてしまった。

ただ落とされる理由として、単純に難易度が高すぎるからというのもあるが、ウィンドマシーンを使うから、であった。

ウィンドマシーンが調達できないから落とされる?調達したら良くね?
難易度が高いから落とされる?練習すればなんとかなるくね?

何か言われたら僕が責任持って調達します‼️って言おう、そんな気持ちで選曲に出すことにした。

(本当にどうしようと思ってたら瀬楽がウィンドマシーン作ってくれたのでことなきを得ました)

指揮者統括権限マシマシのメイン曲投票

そうして、メイン曲投票を行った。

ここは統括権限で「メインに相応しそうな曲をピックアップしました。とりあえず、特殊楽器のことは考えずに、主観的にやりたいかやりたくないかで投票してちょ」と運営にやりたい度合いの点数化をお願いした。

ドキドキの選曲投票の結果は、宇宙の音楽が1位の14点、次点がオペラ座の怪人が11点だった。

そして「やりたくない」の-1点をつけた人もいなかった。

これはもうやるしかないでしょう!

ずっと憧れていた宇宙の音楽を演奏(しかも指揮)できるチャンスが目の前にきた。

先述の通り「ウィンドマシーンはなんとかします‼️メイン宇宙の音楽にしましょう‼️」と指揮者統括権限マシマシの選曲になった。

念願の宇宙の音楽ができる、これほど嬉しい瞬間はなかった。

(その後、某ついはいな楽団さんが宇宙の音楽を含むプログラムで演奏会を開いてくださったので、1年のうちにチューバも吹けて指揮も振ることができた。幸せ。まじ幸せ。)

①-4.プログラム確定〜奏者募集へ

ちなみに今回のプログラムは、僕が考えたのではなく影ちゃん先輩が考えたものである。

第一部
春の猟犬/A. Reed
優しい花たちへ/高昌帥
桜華幻想/福島弘和

第二部
組曲「惑星」より木星/G. Holst
宇宙の音楽/P. Sparke

1部は「春」、2部は「宇宙」、非常にまとまりのあるプログラムでもある。

こうして奏者募集に踏み切ることになった。

最初こそは苦戦したが、最終的には幅広い年代、幅広い所属の83名の奏者の皆さまに囲まれて、念願とも言える自分主催の演奏会開催に向けてさらにもう一歩、歩み出すことができた。

また後でも述べますが、「出会い」「再会」というある意味ありきたりなコンセプトを謳った演奏会にこんなに多くの皆さまにご参加いただけたのは、奇跡に近い恵まれたことだと思います。

皆さま、本当にありがとうございました。

つづく。


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