ふるだぶりねっとコレクション2023
「ねずみん先輩、ふるだぶ2023の指揮振っていただけませんか?」
忘れもしない2022年の11月末、こんな連絡が送られてきた。
フルート、ダブルリード、クラリネット、コントラバス、パーカッションだけの演奏会、通称「ふるだぶりねっとコレクション」。
これは、2年連続でふるだぶりねっとコレクションの指揮をすることになった深川ねずみによる、ふるだぶ2023の振り返りNoteである。
なお、演奏会の正式名称は「ふるだぶりねっとコレクション」だが、長いので文中では省略して「ふるだぶ」と呼びます。
決してクラリネット奏者さんへの冒涜ではないのでご了承を…。
1.ふるだぶロスな2022年11月~運営へ
僕の同期が立ち上げた「ふるだぶりねっとコレクション2022」は2022年11月6日、大盛況のうちに幕を閉じた。
この本番では指揮者としてお呼びいただいて、木管楽器には決して明るくなかったものの、合奏しながら彼らの楽器の特性や魅力を掴んでいき、やがては彼らの音色の虜になっていた。
ありがたいことにこの演奏会を1回限りにすることなく常設団体にしていこうということで、現3-4回生の後輩たちがふるだぶ2023を継承しようとしてくれていた。
しかし当方本職はチューバ吹きであり、もう指揮者で呼ばれない限り一生ふるだぶに参加できないんだァァァと重度のふるだぶロスに陥っていた。
さて、当のふるだぶ2023は、近年の演奏会乱立ラッシュ(人のこと言えませんね)により指揮者だけが足りていなかったようだ。
あと指揮者さえいれば選曲ができるという段階にいた11月下旬のある日、こんな連絡が来た。
「ねずみん先輩、ふるだぶ2023の指揮振っていただけませんか?」
正直、こんなに嬉しい話はない。
重度のふるだぶロスの僕はその連絡を見るや否や「やります!」と返事を…
したいところだったが、この演奏会を存続させるためには後継者となる指揮者が必要不可欠、ここで僕が継続メンバーで出るのは違うのではないか?
そんな葛藤もあったが、やりたいという気持ちも強かったため、
「もしほかに誰もいなかったら喜んで引き受けます!」
と返信したところすぐさま運営LINEに招待されて指揮者パートとしての参加が決まった。うれしすぎましたね。
これが昨年の11月末の話。
2.学部生に混じるおっさん運営の立ち回り
重度のふるだぶロスから一転、2年連続指揮ができるという喜びを手にしたおじさんだが、一つだけ大きな問題があった。
僕以外、全員学部生である、ということだ。
2023の運営は団長が4回生、副団長が3回生であり、それ以外の運営メンバーも3-4回生中心だった。
逆の立場だったらどう思います?
なんでM2のおっさんおんねん、引っ込んでやがれ!ってなるでしょうよ。
そんなこんなで最初は「自分が運営LINEででしゃばること=老害」と捉えて出方を伺っていた。
しかし、僕以外の運営は全員2023からの新規メンバー。
中には演奏会運営自体が初めての子もいたし、まだ知見も少ないこの演奏会を運営するのはかなり難儀であった。
僕に求められている立ち位置は、
ただ運営LINEに出てくる検討事項を傍観しているだけでなく、
継続メンバーとして意見を発するべきポイントで積極的に発言することなのではないか?
そこで思いついたおじさんの立ち回りは、
① リマインダーおじさんになること
② 則レスおじさんになること
だった。
① リマインダーおじさん
2023の子たちは非常に優秀で、予め引継ぎ資料を読み込んで自発的に仕事をこなせていたので発動機会はそんなになかった。
引き継ぎ資料にも書かれないようなこまごまとしたこととか、忘れていることとか、期限近いものとか、話が流れてしまいそうなときに発動した。
② 則レスおじさん
これは普通に「○○どうですか?」に対して返信しないと不安でしゃあないので、主に指揮者が関係してそうなこととか急を要するようなこととかに対して発動した。
これが運営の子たちにとって良い立ち回りだったのか、それともウザいおっさんだと思われたのか、それは神のみぞ知ることだ。
3.練習よりも名演だった本番
ここからは本番トークを。
練習でできないことは本番でもできない
これは高校時代から言い伝えられてきた決まり文句のようなものである。
まぁ何も否定できない言葉だが、ふるだぶ2023の本番では断言できることがある。
間違いなく、本番が一番良かった
もちろん細かいミスをあげたらたくさん出てくるし、振りながら内心焦ったところもあったし、録音聴いたらもっとここはこうできたのにな…などと反省点を挙げだすとキリがないのだが、リハの時点で集中力がハンパなかったし、今まで合奏でやってきたことは概ねこなせていたし、それ以上のこともできていた。
正直、1週間前の集中練が終わった段階で、本番を迎えることが不安で仕方がなかったのだが(おかげでその1週間は研究何も進まなかった)(え?それ怠惰なだけやんって?そやで♡)、その不安はリハですべて吹っ飛んだし、本番は全力で楽しめた。
大事なことなのでもう一回。
間違いなく、本番の演奏が一番良かったし、大好きだった
さて、当方本番キモチェすぎて想定外のタメが何箇所もあったようだ。
それにすぐ対応できたのは、奏者の皆さまが集中していてかつ棒を見ながら演奏していた証拠だ。
ふるだぶ2023、Forever…
4.ふるだぶ三大懺悔
さて、良いことばっかり挙げていれば論文がacceptされないのと同じなので、個人的にふるだぶ2023でやらかした三大懺悔をここに挙げておこう。
① 「曲これでいけるやろ」発言
今更ながら2023の曲目を↓
まぁなんか、字面だけ見たらそんなに…?という感じではあるが、この界隈のフェスで6曲編成のところはPops曲を入れて難易度調整をしているので、正直かなり難易度の高い曲目だったと思う。
選曲会議では、指揮者で思い思いに作ってきたプログラムを発表しあって、組み合わせながら作ったのだが、最初このプログラムから「私のお気に入り」を抜いた5曲で作ったもので話が落ち着いた。
「どう?これ。なんか物足りないよね。私のお気に入り入れてみる?」
と組み込んだところ、「いやぁこれはいい!これしかない!曲これでいけるやろ!」と自画自賛に近い絶賛をし、運営LINEに流したところ全会一致で可決。
奏者の皆さん、すみません、かなりしんどかったと思います。
たくさん練習してくれてありがとうございました。
②「練習回数減らそうぜ!」発言
練習回数を増やすと分散して参加率が減ってしまう
昔、全土日を練習日に設定したとあるフェスの運営をしたときに、練習に4人しか来なかった日があった。
練習回数を増やすと、練習日のダブルブッキングが発生してはしごするか、片方休んで片方参加するといったことが起こってしまう。
そこで、「練習8回+集中練2日でどう?これだけ少なかったらふるだぶ練来てくれるやろ!」と提案してみた。
この作戦は失敗で、大して参加率は上がらなかったどころか、たまたまその練習日にほかの予定で来れなくて次の合奏まで1ヵ月も時間が空いてしまうという結果を招いてしまった。
週1練習、合計15回、これくらいは練習したかったよな。
完全に失策です。
皆さん、たくさん練習してくれてありがとうございました(2回目)。
③「打楽器は4回+集中練2日でいこう」発言
例年、フェス系では大学の練習場を借りて打楽器あり練習をしていたのだが、コロナ禍で大学の練習場を使えなくなってからは基本的に外部施設で練習するようになった。
しかし打楽器ありの外部施設はすこぶるお高い(いや、妥当ではあるが)。
毎回の練習を打楽器ありにしてしまうと即予算overになってしまうので、打楽器なし練習を入れつつ練習回数を確保するのが定石になりつつある。
「打楽器は4回+集中練2日でいこう」
これも完全に失策。
その4回の練習日に打楽器奏者さんが確実に来れるとも限らない。
4回確実に打楽器ありの外部施設を借りれるとも限らない。
そして集中練も2日打楽器を借りれるとも限らない。
そんな酷な状況を強いてしまったのですが、打楽器奏者さんは毎回の合奏で完璧に演奏してくれていた。
ふるだぶ2023の影のMVPは間違いなく打楽器奏者さんたちだ。
たくさん練習してくれてありがとうございました(3回目)。
たくさん負担をかけてしまってごめんなさい。
もうフェス運営をすることはないだろうけど、もし今後運営するときは打楽器なし練習日は考えない前提でやっていきたい。なお予算。
5.おわりに:今年も漏れなくふるだぶロス
さて、これで総括。
長くはなったが、今年も漏れなくふるだぶロスに陥っている。
この文章を書いているのは終演から4日後。
それでもなおあの日の本番のことを思い出しては浄化されるような満足感ともう二度とあのメンバーと演奏会をできないという哀傷感が同時にやってくる。季節が秋なだけになおさら。
でも、全てひっくるめたら、
ふるだぶ2023、最高
皆さまと出会えて、素敵な演奏会をつくり上げることができて、僕は本当に幸せでした。
4か月間、ありがとうございました。
2023年10月18日(水)
ふるだぶりねっとコレクション2023
指揮者 深川ねずみ
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