安達太良山の美しい稜線とこの世の終わりのような景色
ほんとの空の上には惑星のような景色が広がっていた。
安達太良山頂を後にし、今日目指すもう一つピーク「鉄山」へ。
後編
ここは稜線が美しい。
この痩せた稜線は牛の背と呼ばれ、何度も後ろを振り返りたくなる。
遮るものはなく一層風が強く吹き、帽子のベルトをきつく締め直す。
少し歩くと思わず言葉を失う絶景が広がった。
登らなければ見えない絶景
硫黄の匂いが一層強くなる。眼下に真っ白な爆裂火口が見えた。
1900年(明治30年)蒸気爆発でできた爆裂火口。
巨大クレーターのような景色が広がり、気を抜いたらここに呑まれるのではないかと感じる。
火山ガスが強く火口付近は立ち入り禁止である。
なるほど安達太良山頂で感じた硫黄の匂いはここからきているのだとわかった。
山に登らないと観ることができない景色。何度も写真を撮る。動画に収める。
例えて言えばが思いつかないのだが、ある人はここを月面に例えている。確かに惑星感はあるかもしれない。
こんな非現実的な様は登山をしないと出会えなかったと思わせるような。
そんなこの世の終わりのような景色だった。
10時30分 鉄山登頂
沼の平火口を左手に鉄山へ。
稜線はさらに痩せ細り、滑り落ちないように気を引き締める。
風はさらに強くなり、飛ばされなよう脚に力を入れる。
山頂の手前まで来た。鉄山は崖状の形をしていて素直には登れない。回り込むようにピークへ向かう。
標高は1,709m 安達太良山よりわずかに高い。
安達太良山ほど自己主張をしない看板が立てられていて登山者に山頂であることを伝える。
今回の目的である鉄山まで到達できた。
ここでは少し休憩し、山下りへ。
山下り
帰りはくろがね小屋経由で奥岳登山口へ。
くろがね小屋に寄りたかったが、老朽化による建替え工事のため営業休止している。
ここは年中無休の源泉かけ流し温泉がある山小屋として、多くの登山者に親しまれてる。
また機会があったらリニューアルしたくろがね小屋にお世話になろう。
1時間半ほど歩くと朝見た風景が目に入り今回も無事に下山できたのだと安堵する。
靴洗い場で汚れた靴を洗う。
若干足元がぬかるんでいた箇所もあり入念に汚れを落とす。
時刻は12時半を回って初夏を通り越した真夏の日差しが肌を焼く。しかし暑い。
登山口には温泉がある。
あだたら山奥岳の湯。汗を流し帰路についた。
今年初登山。日本百名山はこれで9/100。
次はどこに行こうか。考える前に今日は休もう。
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