私、魔法使いなんです。

これまで一度も男性と付き合ったことがない、
と言うと仰天される。

30歳にして、彼氏いない歴=年齢 の私。

自分のことを人間とは思えなかったけど、
ついに魔法使いになった!(笑)

・・というギャグでさえ、
周りの人たちには寒いらしい。

それほど、30歳にして男性経験がないことは
マズイことのようだ。

人と集まると、たいてい恋愛話になる。

そこで素直に彼氏がいたことがないと言うと、
目をまん丸にして「ウソでしょッ!?」と驚かれ、
光の速さで「何でッ!?!?」と問い詰められる。

何で、と言われても…

私にとってそれは、
例えば海外に行ったことがないとか、
熊の肉を食べたことがないとか、
そういう他愛ないことと何ら変わらないことだから、
「まだ経験がない」というだけのことで、
なぜそこまで驚かれるのかが分からない。

むしろ、生涯恋愛未経験のままでも
大した問題ではないとすら思っている。

だって別に死ぬわけではないし、
周りの人に迷惑を掛けるわけではない。
「単なる経験の有無」だ。

驚くだけならまだしも、
「それ人としてどうかしている」とまで言われ、
私が "人として" どれだけ間違っているかを
説教されることもしばしばある。

まぁ人間ではないのは確かかもしれないけど、
こう毎度毎度だとさすがに辟易する。

そうすると、次第に自分と同じように「恋愛未経験」の人とか、
「恋愛の優先順位低め(むしろランク外)」の人とかと
過ごすようになっていく。
その方が気が楽だから。

20代前半の頃は「彼氏いたことないんです」でも
「そのうち出来るよ~!大丈夫!」と暖かく歓迎されたけど、
30歳の「彼氏いたことない」発言は禁句というか、
相手が爆撃でも食らったかのような顔になってしまうので、
なるべく言いたくない。

恥ずかしいこととは思っていないけど、
相手の反応のひとつひとつが面倒くさいのだ。

「信じられない」と思う気持ちは分かる。
私も人に対して「マジかよ」と思うことはあるから。

だけど、相手の生き方が自分にとって「違う」と思うのならば、
自分はそういう道を辿らなければ良いだけでは?

とことん「あなたは間違っている!!」と主張する意味が
私には分からない。

私はそんなことにエネルギーを費やしたくない。
相手がどうだろうが、相手の人生なので。
好きに生きてください、私とは違うけど。と心の中で静かに思うだけ。


「今は、個性が尊重される時代」という言葉を良く耳にする。

私は、周りの人の自分に対する扱いや反応を見るたびに
「そうか..?」と疑問に思う。

みんな当たり前のように
「人の生き方や価値観はそれぞれだよね!」
「自分らしく生きていこう!」と言うものの、
いざ自分とは明らかに物の見方が異なる相手が現れた途端、
「お前おかしい!」と爪弾きにするのだ。

私は、そういう人たちをたくさん見てきた。

“年頃なんだから恋人がいて当たり前”
“その年齢でそれはおかしい”

「~だから~していて当たり前」
という “当たり前論” に自分を当てはめたとき、
私って本当に人間か?と疑いたくなるくらい、
ほとんどの人が当たり前と考えていることからズレている。

だけど、私はそういうことを理由に卑屈にはなりたくない。

時には「どうして私ってこんななの…」としゅんとすることもあるし、
周囲の反応を流しきれずに嫌気がさすこともあるのだけど、
こういう生き方しかできない自分が、
これからいったいどんな人生を築いていくのか興味がある。

人生の最期のほうで、自分の築き上げたものを満足げに眺めたいから、
外部の雑音に足元をすくわれないように、
自分の心が導くまま、いちばんベストと思う道を進み続けたい。

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