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マッチングサービス(特に人材紹介事業)で発生している「不正申告」被害と違約金請求

マッチングサービス全般に共通して言えることですが、成功報酬型のサービスにおいて注意しなければならないのは、「成功報酬を免れるために行われる不正申告」です。

「不正申告」のやり方は、実にさまざまです。関係者に口止めをして堂々と隠蔽するケースもあれば、表向きは不成立に見せかけておいて、後からひっそりと候補者に直接連絡を取り、報酬を回避しようとするケースもあります。驚くべきことですが、このような「不正申告」はあらゆるマッチングサービスの場で発生し続けています。

私の法律事務所では、もう10年近くにわたり、こうした「不正申告」への対応に取り組んできました(「交渉代理」というサービス名で実施してきました。)。マッチング事業は広く、多様な形がありますが、中でも特に大きな問題が発生するのは、「人材紹介事業における不正申告」です。この業界では、報酬支払いを避けるために様々な工夫がなされることが多いのです。

このような「不正申告」を防ぐためには、まず、すでに行われた不正に対して毅然と対応することが必要です。「これは許されない」というメッセージをはっきりと伝えること。そしてもう一つ大事なのは、「もし不正を行った場合、どんな不利益を被るか」を事前にしっかりと周知しておくことです。両方が揃って初めて、問題が抑えられるわけです。

最近の厚労省が示した厚労省指針の改正方針のうち、違約金の正確・明瞭な提示義務を含んだ部分は、この問題意識を共有したものだと理解しています(他方で、「不正申告」を予防・発見することに寄与している「お祝い金」への規制強化については議論のあるところです。)。

個人的にも、「交換」のクオリティを高めることを目指した健全なマッチング事業は、社会において極めて重要な役割を果たしていると考えています。だからこそ、少しでもこうした不正の被害が減少するように、私たちの事務所からも積極的に情報を発信していきたいと思っています。

ありがとうございます。


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