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ついに日本でもアシッドアタック発生。今後増える予想とその対策について

ついに起きてしまったアシッドアタック犯罪

昨日寝しなに見たのだが、包帯ぐるぐる巻きで搬送される20代男性が不憫だった。「目が開けられない」と訴えていることから失明してしまったかもしれず大変心配している。

いつか来るとは思っていたが、ついに日本でもアシッドアタックが行われてしまった。今後は気軽な模倣犯が増えることが予想される。


東京・白金高輪駅で硫酸かけて逃走中の男を公開手配


このニュースを受けて、Twitterではコロンビアの事例が紹介されている。ここに紹介されるナタリア・ポンセはアシッドアタック被害の当事者であり、同時に支援者でもある。厳罰化を訴え法律を改正させ、被害者の支援を行う団体を作った方だ。是非お読みいただきたい。→こちら

なおご当地に在住していたというこの方は他にもアシッドアタック被害者のことをツイートしてくださっているのでご参考にされたし。やはり多くの場合は顔が狙われており、また被害者も女性が多いようだ。個人的には恨みを抱く特定の相手をターゲットにする場合には攻撃対象が女性とは限らないと考えるが、しかしリベンジポルノ的復讐の対象になりがちなのは確かに女性なのだろうとも考える。

いずれアシッドアタックが日常的に横行すれば厳罰化議論も起きてくると想定されるが、ナタリア・ポンセの取り組みや他の情報にも注目しつつ、まずは現時点ですぐに変えられることを早急に変えるべきだ。


あまりにも入手が簡単すぎる問題

ワタシは硫酸を買ったことはないが、手作り石鹸を作る目的で苛性ソーダを買い求めたことがある。その際、あまりの入手の容易さに驚いた。

薬局で所定の用紙もしくはただのメモ用紙に、住所・氏名・そして用途を書く。それだけ。印鑑は必要だが、購入する品目によっては身分証なしで買えてしまう現実がある。

毒性の強いものを毒物と呼び、それよりもやや弱いものを劇物と呼んでおり、毒物及び劇物取締法(毒劇法)では「硫酸濃度が10%を超えるものを」劇物と定義している。

今回は少量なので仮に濃硫酸だったとしても薬局で買えそうだ。そして希硫酸でも60%以下のものは消防法の規制を受けない。消防法では「60%以下を除き、200kg以上を超えるものに対して」のみ、その適用となるという事情があるためだ。

たとえ苛性ソーダであっても皮膚にそのまま付着すればじきにピリピリとした刺激に苛まれることになる。

「実際こんなもの何に使うんだ?」
「販売禁止にすればいいじゃないか」

と言いたくなる人もいるだろう。

だが、これはこれで重要な用途がある。たとえば苛性ソーダはラーメン屋や揚げ物屋のような油を多く使う飲食店ではその油汚れを落とすのに使われる。また今回問題になっている硫酸は、事件に使用された硫酸の濃度は不明だが、希硫酸であれば車のバッテリー補充液として使われているので販売窓口は広く存在する。ネットでも購入は可能だ。

やり方次第ではニセの個人情報の提供で簡単に購入することもできてしまう。

今まで犯罪に使うという発想の人間が日本では出てこなかったためにとりわけ広く問題視されてこなかったが、今後は非常に気軽に「こんな方法もあるんだ」と真似をする人が出てくる可能性は高まってしまった。

案外こんな大したことない理由で模倣するやつはいる。まして絶対に自分にはかけないのでその危険性をやる側が身をもって理解することもない。

入手ルートを厳密に管理することは今の段階でもすぐにできることだろう。労働安全衛生法では当該の毒物・劇物を扱う機械の種類に応じた所定の書類や図面などを所轄労働基準監督署に提出することが義務付けられている。

消防法や毒物及び劇物取締法もそれに準じるよう、仮に個人への販売であっても顔写真付き身分証の提示を必須化し、届け出を義務化することは可能であろう。

とはいえ、実はこの硫酸、麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)の規制を受ける。麻薬向精神薬原料20物質の一つだ(10%を超えるもの)。輸出入に関わるのでなければ基本的には無縁の話だが、こちらの厳罰化には積極的になれない方もいらっしゃるかもしれない。

アシッドアタックを受けたらどうすべきか

2020年4月に書かれたこのブログは海外のアシッドアタックの対処方法を日本語訳してくれている。どうぞ目を通していただきたい。

アシッドアタックの予防方法と対処法

お読みいただければわかると思うが、周りの手助けが必要なものや救急車が到着しなければできないこともある。なかなかガーゼなんぞ出先で大量に持っている人も買える場所も限られるので、ひとまず、すぐにできる対策を列挙したい。

1.メガネをしよう。伊達メガネOK。
目がやられるのが一番大変だ。失明する可能性あるし皮膚移植の形で多少なり形成することも難しい。花粉症対策にはなる。最近言われている新型コロナの飛沫を避けるという意味でも効果的かもしれない。

2.水を持ち歩こう。
中性の水がこういうとき役に立つ。得体のしれない液体をかけられたら、まず顔、特に目を洗う。お茶とかじゃなく水がいい。なるべく持って歩いて。重いけど。

余談だが、最近やたらに大阪市内でよくわからない白い液体をぶっかけられる被害が続出している。最初は声掛け事案だったのが、徐々に痴漢に、露出に、そして謎の液体ぶっかけ事件にエスカレートしている。頼むで大阪府警。期待しとるで。

3.できるだけ1人で歩かない。
できる限り人目のある道を歩く。できる限り夜道を歩かない。これは難しいね。でもできるだけ注意してみて。

起きてしまったら、まずは大声で助けを求めよう。

自分はよく路上で人間を拾うので(倒れているとか自殺しようとしてるとか今朝クビになったばかりとか)経験的によく知っていることなのだが、人間は非日常の出来事を脳ですぐに処理できないらしい。

そのために、突然目の前で人が倒れていても認識できておらず、そのまま通り過ぎてしまうことがある。また何か助けが必要だとわかっても、どうすることもできずに右往左往する人もいる。

だから具体的にお願いする必要がある。
「救急車を呼んでください!」

この一言がとっさに出るようシミュレーションしておこう。

これはアシッドアタックに限らない。目の前で誰かが倒れたときでも有効だ。駅やその周辺、コンビニなどの近くなら、何かしらの清潔な布、タオルや少量でもガーゼなどが手に入る場合もある。

何人か道行く人が関心を寄せてくれたら、次に「水が欲しいです。誰か水をください」とか「清潔なタオルやハンカチ、ガーゼを持っている人がいたらください」とか、具体的に言う。

「誰か助けて」では、何をどうしていいのか瞬時にわからない人は混乱して動けなくなってしまうのだ。しかし、こうした場面では、どうにかしてそうした人たちにも動いてもらう必要がある。だって気づいてくれているのだから。なので日頃から具体的に短く何をお願いしたいのか考えながら通勤通学の道を歩くのも大切な予防法だと思う。

正直言ってワタシは被害者の保護、可能な限りの損失を低減することが最も重要だと考えているので、犯人が近くにいる場合はまずはご自身の身の保護を。捕まえるなど後回しでいい。

ただ、もしもそうした人影が見えず自身の身が安全な状況だと判断できたらどうか被害者を助けてほしい。アシッドアタックはともかく早急な処置、大量の水で洗い流すことが重要になる。しかも多くの場合は顔を狙われるので目が開けられず逃げることもままならないだろうから。

そしてこれを読んでくれた人たちが被害に遭わないようにと、また被害に遭った方々の身体と心の回復を切に祈っている。

※あとがき
記事に入手方法を書くことが悪意を持つ人に利用されないか考えたが「欲しい劇薬 入手方法」と検索すれば誰でもわかってしまう。また犯罪を企図する者であれば「ニセ情報を使って手に入れるにはどうしたらいいか」を考えることは必然的な流れであり、いずれこのやり方はバレてしまうものと推察する。そのためこれを懸念して語らないことではなく、その問題点と対策、また有益な参考サイト等情報を紹介することに注力することにした。もちろん今後増える予想についても確実視されているわけでもないのだが、先行する世界のアシッドアタックは瞬く間に広がり今も被害者が増え続けていることから、予防的な警告をしておくことを優先したものである。

※更新履歴

2021/08/25 12:00 軽微な誤字脱字の修正と追記を行う。

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