見出し画像

碧梧桐俳句ポストカードvol.2 完成しました!

(記:いけだ)
こちらのポストカードを購入できる通販ページは2月26日公開予定です。
発送は3月以降です。


ある出会い

2024年秋、文学フリマ東京に出店した碧梧桐探訪舎。そこに、ある1人の方が立ち寄り、話しかけてくださいました。
その方は、なんとイラストレーターさん!以前短歌俳句にまつわる本のイラストを手掛けられたということで、碧梧桐の単語を見て思わず立ち止まってしまったようです。
名刺をいただき拝見したところ、かわいい絵が!シンプルであたたかみのあるイラストです。この方のイラストと碧梧桐の俳句、合うかもしれない!
依頼するかもしれない、お願いしてもよいかと聞いたところ、お気軽にご連絡くださいとのお返事。ヤッター!社交辞令とかよくわからないので、本当に連絡します。

依頼

その方は、くりたゆきさん。やさしくて不思議なイラスト。女の子がとってもかわいい!

この方のイラストの雰囲気と合うかもしれないと思ったのは、碧梧桐の俳句の中でもやわらかくて明るい作品。
碧梧桐の俳句は、彼が見た景色やそこから感じ取ったことをその気持ちのまま写実的に詠むことが多いように思っており、そのため基本的に泥臭い内容で、日々の生活の中のちょっとした出来事または旅先の出来事を取り上げることが多いと思うのですが、
その中でも景色が綺麗だったり身近な出来事だけれども微笑ましい光景だったり、前向きな気持ちになれそう!と思える俳句を季節ごとに3〜4句選び、くりた様にはそこから1句ずつ選び、くりたさまの解釈でその句のイラストを描いてほしいと依頼しました。

少し経ち、デザイン案が上がってきました!かわいい〜!!ラフのざかざかした感じもかわいい!!
私が、碧梧桐の俳句の色んな方による解釈を見たいとお願いしているので、NOをいうはずがなく、本番をお願いしました。

それからまた少し経ち、完成版が!
かわいい〜!碧梧桐の句と、くりたさまのほんわかな雰囲気の女の子のイラスト、やはりよいマッチングです。

今回のポストカードのデザインを手がけていただいたくりたさまに、その俳句についてどのようにイメージして描いていただいたか、コメントをいただいたので、イラストとともにご紹介します。

ポストカードのデザインとイラストレーター様のコメント紹介

※ポストカードの画像には、sampleの表示を入れています

以下、くりたさまからいただいたコメントです。


今回の企画のおおまかな流れは、
まず、いけださまから各季節三、四句づつ碧梧桐の俳句を教えていただき、
そのなかから、これならイラストにできるかな?
と思える句をピックアップして、イラストにしてゆく、という工程でした。

いずれの句も魅力的で、あらためて碧梧桐という俳人の偉大さに魅せられました。
もちろん、自分のように俳句の教養のない人間が碧梧桐の句をイラストにして大丈夫?…というおそれおおさもありますが、
自分なりに誤読をたのしみながら自由に描いたら、きっと碧梧桐も苦笑して許してくれるはず…と信じて描きました。
なので、句の解釈はあくまでくりたの責任となります。ご了承ください。

春の俳句

ぶらんこに遠く寄る波の砂に坐つた

ぶらんこと波というちょっと意外な組み合わせが魅力的な句でした。
でも、どちらもゆったりとしたリズムを刻むところは共通していて、そこからさらに飛躍して、期待や不安を刻む、鼓動のようなイメージとして描いています。


夏の俳句

船出する彼方の空や雲の峰

船出、岸辺を離れる時、というイメージには、
旅立ちと、(誰か、あるいは過去の自分との)別れ、というニュアンスが含まれているような気がします。
彼方の水平線の向こうに力強い雲の峰が広がっている様子には、
どうなるかわからない、それそのものの清々しさもあるようにも思えました。


秋の俳句

隣の柚子が黄ばんだ雨上りの日でした

イラストにするにあたって、この句がもっとも率直で恬淡として、瑞々しく思えました。
なので、なるべく素直に描こうと心がけています。


冬の俳句

雪晴に海見ゆる我が行く先に

海と雪というと、鈍色の空のイメージもありますが、
句からは、空気が澄み渡って真っ白な雪原が輝いているような、凛とした様子を思い浮かべました。
春から夏、秋、冬にかけて、少しづつ主体が遠くへ、遠くへと進み、
足取りも軽く、まるで祝福されているかのようなラストシーンとして描いています。

あらためまして、この度は貴重な機会をいただきありがとうございました。


こちらこそありがとうございます!!
以下は私の感想です。

海の色の表現が、ああ確かにこの季節の海はこの色だと感じられるもので、まず目を惹かれました。
春の俳句、これは始め私はなんとなく捉え難く、ただぶらんこと海の取り合わせや「波の砂に坐る」という表現、不思議な感じのある作品だなと思っていたのがそのままイラストとなってあらわれました……
夏の俳句、これは旅人碧梧桐がこれから違う地へ旅立とうとする光景と捉えていていました。目の前の空に広がる入道雲は進む方向への大きな期待なのか、はたまた大きな壁が立ちはだかっているのか……どちらとも取れるような、しかし今の気持ちは晴々としているという夏色のデザインに元気が出ます!
秋の句、かわいい!!奥に段ボールがあるので、女の子は引っ越してきたばかりでしょうか。お隣のおばあちゃんに柚子もらったのかな、とストーリーが浮かんできます。
冬の句、冬の海のイメージはもっと暗くよどんで……と思っていましたが、確かにこの句は明るい。夏の句よりも素直に明るく前向きです。冬が好きになれそうなイラストです。


私自身が碧梧桐という人間や俳句という芸術を分かりきっていないために、色んな人を巻き込んで皆で知ってみようと色々画策しており、碧梧桐さんも苦笑いかもしれません……。
しかしこれらによって様々な方が碧梧桐さんを知るきっかけになれば!となんやかんややっていたところに素敵な出会いがあり、素敵な碧梧桐グッズが誕生しました。
碧梧桐の俳句が彩られた、更に俳句と親しめるかもしれないポストカードです。
是非、お手元に碧梧桐の俳句を!

通販では4枚セットを販売いたします。
(イベントなどで対面で販売する場合は、1枚ずつ購入できます)

vol1はこちら。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集