リーズナブルな完成度

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この部屋から東京タワーは身を乗り出さないと見えない

「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」という本を読んだ。自分の二十数年間を固有名詞化してしまえば、この本の一章にも満たない文量に集約できると思って、拙い文章を書いてみた。 僕は東京の郊外で、高卒の両親のもと、お金に困ってはないけど裕福でもない、現状維持が優先される普通の家庭で生まれ育った。 幼少期はよくいるサッカー少年だった気がする。地域ではそこそこの成績を残していたが、周りがやっているからという醒めたスタンスでボールを蹴っていた。罰走、連帯責任、ボトムアップの醸成。

    • そうだ、北鎌尾根に行こう

      2023年8月下旬、僕は一週間の有給休暇を取得した。予定はまだない。 現代社会において、数日で気軽に行ける冒険ってあるのだろうか。その答えの1つを僕は持っている。 そう、北鎌尾根の散歩である。 北鎌尾根とは、北アルプスのシンボル、槍ヶ岳から北にザクザクと延びている稜線だ。加藤文太郎、松濤明が壮絶な死を遂げたルートでもよく知られている。 登山は実に数年ぶり。慌てて石井スポーツ新宿店に駆け込み、必要な道具を揃えることにした。 久しぶりの登山用品店は面白い。良い機能、良いデ

      • 現代建築録

        小学生の時に現代建築にハマった。中央図書館でエルデコを何冊も借りてきてそこに載っている写真を穴が開くほど見つめていた。 大学生になると海外でバックパッカーみたいなことをする機会が増え、スター建築家のプロジェクトを見ることが一番の楽しみになった。テレビで憧れていた芸能人が目の前にいるようなものだ。 だけど、最近は仕事ばかりですっかり現代建築をディグる機会が減ってしまった。現代建築にハマっていた過去を消さないためにこの週末を使って過去に建築巡りした思い出を書き記しておく。

        • 彼女と別れた話

          先月、幼馴染と別れた。 忘れてしまうのは勿体無いのでださいポエムを書くことにした。 2007.春 初めて喋ったのは小学三年生。彼女と同じクラスになった。この学年だと男女分け隔てなく接する時期であり、彼女とも何かきっかけがあったわけではなく自然と仲良くなった。そのため小学校時代に彼女との特別な思い出はほとんどない。 プール授業後、髪が乾ききっていないポニーテール姿が可愛かったこと、修学旅行の移動中にポッキーを分けてくれたことを覚えている。 中学にあがると彼女はバスケ部に入