「女3人、かしましい熱海温泉の旅」
熱海温泉に行って来た〜!
温泉旅行なんて何年ぶりだろう。
コロナで規制生活を3年送り、いよいよ活動開始と思ったところに乳がんになり。
去年、友人達に会いに広島を訪れたけど、今回のような『THE 旅行』は本当に久しぶりだ。
乳がん治療の目処がたったころ、広島の元上司Kさんと、先輩のYさんが、「治療が終わったら温泉に行こう!」と誘ってくれた。
「えぇ〜両胸ないのに温泉なんか行けませんよ...」と躊躇していると、「何言ってるの!部屋に温泉がついてるところに行けばいいのよ。それぐらい出してあげるから、がんばったご褒美に行こうよ!」と、夢のようなありがたいお誘いがあって、初めて熱海に行って来た。
一泊二日、五月晴れで天候にも恵まれ、体調も良く、本当に久しぶりに、何も考えず純粋に楽しい時間を送ることができた。
二日間、3人でしゃべりっぱなし。
誰も人の話しを聞かない、注文は3人バラバラ。
みんなせっかち、質問は3人いっぺんにする。
はちゃめちゃな3人だけど、本当に楽しい。
2日間笑いっぱなしだった。
さて、いよいよ露天風呂で医療従事者以外に初めて無くなった両胸を見せる時がきた。
私は別にどってことないけど、たとえ元看護師でも両方胸がない姿なんてショックを受けないだろうか・・・
「本当に大丈夫ですか?割とエグいですよ。」
と前置きしたが、心配は安堵、いや喜びに変わった。
二人が口々に、「きれいよ!きれい!最近の傷ってきれいだね〜!」と言ってくれた。
放射線をあてた左胸は多少引きつりがあって、いまだに少し色素沈着がある。
きっちりここに放射線を照射しましたよっていう範囲がわかるくらいだ。
それでも、きれいだきれいだと言われると嬉しくなる。
今まで生きてきて、こんなにきれいだと言われたこともないから。
顔がこれくらいきれいだったらよかったのにと思う。
私も今まで何人か、乳がん手術あとの患者さんをみてきたことがある。
みんな高齢だから、昔の何でもかんでもリンパ節をとっていた時代にOPした方達だ。
傷はガタガタで、脇もごっそりえぐれて、胸から脇までがいびつな感じになっている。
しかも、胸を取った方の腕はぞうの足のように浮腫んでいる。
今は、術式も技術も進化しているし、リンパ浮腫の発見が早いし予防対策やケアが従実しているから、あそこまでなる人はいないのではないかと思う。
でも、私はそういう時代の乳がん患者さんを知っているから、なおさら治療が怖かったし、受けたくなかったのもある。
宿に着いて暑くてつい、ウィッグを外してしまった。
でも二人は、発毛途中の私の頭を見て「かわいい!かわいいよ!!」と言ってくれた。
Kさんは円形性脱毛症の経験があり、Yさんは数年前に過労とストレスで髪がごっそり抜けてしまった経験があるから、私たちはKさん曰く「ハゲの悲しみを知る3人」だそうだ
私の時は、あーだったこーだったとハゲの話でまた大笑い。
そして最後は「大丈夫よ、私も今これだけ生えてきたから。」とハゲまされる。
3人ともそれぞれ持病があり、それでも一人が気楽だから未婚で、自由だけど一人で背負うものも重く、ハゲた経験もある。
それでもこうやって女3人かしましく、しゃべって笑って食べて呑んで見て買って。
時には助け合って。
いつまでも、おばあさんになって足がおぼつかなくても、こうやって1年に一回は旅行に行ければ最高だなと思う。
本当に女友達って素晴らしい!