中原一也『俺が好きなら咬んでみろ』(読書感想文)
中原一也/小野浜こわし『俺が好きなら咬んでみろ』(キャラ文庫)
うむ。
話開始から、凄くイイ殺人シーンがババーン。
はてさて、このヒーロー。
どんな巨悪を追ってて殺されちゃったのかと思いきや――
菊地ぃぃ、貴方! 刑事として、それはどうかと思うよ。うん。公私混同ってか。
「永遠のブロマンス」
その良さはガチ。
わたくし、「「ヤッたら」終わりよ、「ヤラない」からこそ花なのよ教」を信仰してます。が。
この話に関しては拗らせを解消する展開が良い、潔い。そこがいい。
(ってか、もうこれは解消せざるを得ないでしょ)
雄の魅力爆発のエチシーン。
「エロい」ってのもあるが、なんかこう、カッコイイおっさんがメッチャ筋トレやってるのを見てる感じでもある、肉体描写が良すぎて。
小野浜こわし先生の絵も、激カッコいい。カッコいい(二回言っておく)。
ストーリーも、安易にシリアス闇落ちなんかせず、明るくてセンスのいい大人の笑いに溢れてて安心して読めました(でも常に、明るさの裏にある哀しい結末は予想されるわけで。そこもまたいいのだが)。
そして――ラスト。
なんて大人な解決! (って、穴?! とは思った)
自分がお話を考えるときにアタマに思い描くストーリーが、いつもいかに自己中なモノなのを思い知りました。
中原先生は実は初読み。
商業のしがらみのない「本気―マジ―」のお作とかもあるのかな……拝読したい。きっと「こんなモンじゃない」気がする(勝手に)。
そして「あとがき」に書かれておられた。
「ヴァンパイア物は「売れない」」という編集サイドのコメント。
そうなんだ、韓流ドラマとかでもよく見るけどなあ。
なんだろう?
別にこの作品って、「ヴァンパイア」そのものに、そこまで固執してるとか、御耽美とかそういうのではないと感じます。
いい歳して延々、友情拗らせた雄二人が求めあうのにぴったりの「事件」なんですよね。ヴァンパイアが。
もちろん「中年の血のまずさ」とかは、メチャメチャ萌えポイントではあるワケですが。
なんていうか……うまく言えない。わたしは吸血鬼に萌える人間ではないのですが、これは菊地と沖野の関係として悶えました。
Kindle unlimitedで読まさせていただいたのが、恐縮するくらい楽しかったです!
バーとカクテルの描写も秀逸でした。
追伸:そうは言いながらも、死んだように生きる加藤(吸血鬼パイセン)の話も読みたい……。