創作の女神とダンスする権利(「ヘイヨーさんの人生」 ~絵本制作編~)
ひさしぶりに「ヘイヨーさんの人生」の続きを語っていくことにいたしましょう。
この時、「創作の神」に挑んだヘイヨーさんは、神を殺すコトに興味を失い、代わりに「創作の女神とダンスする権利」を手に入れました。
新能力「創作の女神と踊る(ダンス・ウィズ・ミューズ)」
これは、言うなれば「真剣に創作に向かい没頭する」だけではなく「どこか冗談めかして、遊びながら創作する」という能力。
かつて、江戸時代に存在した画家である葛飾北斎は、超絶技巧を極めただけでなく、「北斎漫画」のようなユーモラスな絵もたくさん残しました。
子供の頃より抱き続けてきた「究極の作家」という目標は、どこか漠然としたフワフワとしたもので、具体的にどういうものであるのかは、いまだにわかっていません。
最初、それは「世界に存在するありとあらゆるモノを切り裂く刀」のようなモノだと考えていました。けれども、それでは読んでくれる読者の心もズタズタに切り裂いてしまいます。
「それ自体は、きっと正しい。だけど、それだけでは足りない。相反する力のようなモノも必要だ」と、ヘイヨーさんは考えます。
それが「遊び心」
「真剣さ」と「ゆとり」と両方を持っていれば、作家として非常に有利だと思ったのです。
もう1つ。
前回、「ヘイヨーさんの人生」という小説を最後まで書き上げた時、「これで限界だ!」という気持ちが湧き上がってきました。
これまでの執筆システムを利用すれば、確かに「似たような物語」は量産できるでしょう。けれども、それは限界を超えられないコトも意味します。
「自らの心」という名の世界の果てにある壁を破壊するためには、もっと決定的な力が必要でした。これまでにない「新しい能力」が!
そこで、ヘイヨーさんは考えます。
「文字の世界は、もう限界だ。詩や小説やエッセイでやりたいコトはやり尽くした。これからは、文字の世界を飛び出そう!」と。
なので、次の企画は必然的に「絵」となりました。
「毎回、新規のイラストを入れながら、ストーリーは『これまで持っていた能力』を使い、適度に作っていく。上手くすれば、イラストと文章が混然一体となって、他の人にはできない独自の雰囲気を出せるだろう」と考えたのです。