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マエソン、ゾンビ化する(「2121 ~100年後の未来~」 第29話)

マエソンこと前田損得は、学校の給食のおじさんをやっていました。


ところが、ある日、ゾンビウイルスに感染してしまいます。

「今どき、ゾンビウイルス!?」と、みんなから驚かれましたが、仕方がありません。

実は、マエソンの母親はワクチン反対派であり、ゾンビウイルスに対する予防接種も受けていなかったのです。


幸い、マエソン自身は症状が軽かったこともあり助かりましたが、同時に感染した母親の方は症状が非常に重く、完全にゾンビ化したあとでした。隣近所の人たちを喰らおうとしたため、射殺されてしまいます。

元々、父親のいない家庭に育ったマエソンは、これにより両親ともに失ってしまいました。


そんなこともあり、ヤケになって給食のおじさんはやめてしまいました。

そうして、近所のハンバーガー屋で文句を垂れる日々が続きます。

「なんじゃ、この味は!わしゃ、自然の味が食いたいんじゃ~い!ナチュラルな素材を出せ!ナチュラルな!」

亡くなったマエソンの母親は極端な自然主義者であり、心の底から自然の食材を愛していたのです。

マエソンの母親「損得や。お前にはなるべく新鮮な野菜を食べさせて生きてきた。けど、うちも貧しい家庭。毎日食べさせてやりたいが、ままならない。だから、大きくなったら好きな時に自然の野菜を食べられるような世界にしておくれ」

それがマエソンの母親の願いでした。


毎日、近所のハンバーガー屋で毒づいていると、ある日、隣に座った女に激怒されてしまいます。

「あんたね!そんなに言うなら、自分で畑を耕してナチュラルなベジタブルを作りなさいよ!ナチュラルなベジタブルをッ!!」

ビエ~ン!と泣きながら逃げ出したマエソン。そのまま、有名な自然農家のおうちに弟子入りします。


数年ののち

懸命に働き続けたマエソンは、ついに自らの力で理想の野菜を生み出すことに成功したのでした。


マエソン「どうだ!やったったで~!見とるか、天国の母ちゃん!わしゃ、ついに夢の野菜を生み出したんじゃ~!」

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。