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安倍万兵衛、覚醒す(「2121 ~100年後の未来~」 第31話)

「阿倍製菓」の社長のひとり息子である安倍万兵衛あべのまんべえは、お菓子会社だけでは飽き足らず、他の業種へも手を伸ばしていきます。

新会社を設立し、食料品・衣料品・おもちゃ・電化製品・家具などなど、あらゆる流通を支配するようになっていきます。


ここまでしても、万兵衛は不満だらけでした。

「もっと!もっとだ!私の力ならば、もっとスケールの大きなコトができるはず!」

地獄に住む餓鬼がきのごとく、どこまで手に入れても満足するということを知りません。飽くなき欲望が、ひたすらに万兵衛を駆り立てるのです。

もちろん、それはよいコトでもありました。欲望とは、言い換えれば「夢」であり「願い」でもあるのです。人類は無限の夢を見続けることで、ここまでの進化を果たしてきたのですから。


ここに来て万兵衛は方向転換をはかります。

「もしかしたら、私のやり方が間違っていたのかも知れない。どんなに商売を拡大しても心は満たされることはない。ならば、いっそのこと…」

そう考えた万兵衛は、実家の蔵から先祖の書き残した巻物を発掘してきます。江戸時代の陰陽師おんみょうじ安倍千兵衛あべのせんべえの遺産を。

そうして、部屋に閉じこもり、巻物の解読と陰陽師の修行に没頭します。

安倍万兵衛「力を!もっと力を!人知を超えた神のごとき力を!」

こうして、万兵衛は陰陽師として覚醒してゆくのでした…

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ヘイヨー
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