自由に生きていける権利(「2121 ~100年後の未来~」 第7話)
レポーター「現場からは以上です!」
カエデとヤマンバがテレビを見ています。
ちなみに、これが未来のテレビ。下の機械があれば、上に立体映像が映し出されるのです。
カエデ「確かに100年前より貧富の差は広がったけれど、貧しいなら貧しいなりに幸せに生きている人もいるのよね」
ヤマンバ「そうじゃのう。贅沢したければ懸命に働けばよいし、時間にゆとりが欲しければ、無理して働くこともない。どちらの生き方を選ぶかの差に過ぎないのじゃ」
カエデ「そういう意味では、この国の人たちは100年前より幸せになれたのかも。少なくとも、持っているお金の量に関係なく『自由に生きていける権利』は手に入れたわね」
ヤマンバ「遠い昔にこのような制度があれば、わしも人を喰らわずに生きていけたかもしれんのう…」
そう!
これこそが、この時代の生き方!
政府が最低限の生活が送れるように物資で援助することにより、人々は「自分に合った生き方」を自由に選べるようになったのです。
おかげで、全く働かない人というのも出てきました。
日本全体の1割は「全然仕事をしていないし、今後もする気はない人たち」です。
全体の2~3割は、現在の貨幣価値で「年収100万円以下」
4~5割は「年収250万円以下」
逆に「年間に億単位のお金を稼ぎ出す人」というのも数%います。
数字だけ見ると「日本は100年前よりも貧しくなった」と判断する学者もいるでしょう。
けれども、幸せの尺度は持っているお金や収入で計れはしません。
年に何億も稼いでいる人が、ヤジさんほどの笑顔を振りまきながら生きていけているでしょうか?
もちろん、これが最高に理想的な政策とは限りませんし、日本以外の国々は相変わらず前時代的なやり方に固執している国も多くあります。
それでも、この時代のこの国は、1つの到達点に達していたのでした。