「僕の改革 世界の改革」 第1夜(第1幕 プロローグ ~ 1)
~第1幕~
ープロローグー
僕には、何もなかった。
飛び抜けた才能も、人並はずれた能力も、それを手に入れるための根性も何も…なんにも。
あたりまえのやり方で、あたりまえの程度の努力をする。そして、それなりの結果を出す。決して飛び抜けた結果ではない。でも、確実にある一定ラインを保つことができる。そういう生き方だ。
世界には様々な人間が存在する。 それでいいと思う。
でも、大多数は僕のように平凡で何の取り柄もなく、その代わりに確実に結果を出せる人間であるべきだと思う。
それはこの国だけではなく、世界中のありとあらゆる国が、現在のこの国と同じかそれ以上にずっと平和で理想的なシステムを手に入れたとして、やはり変わらぬ真実であると思う。
ー1ー
僕がただ1つだけ、他の人たちと違うと言えるものを持っていたとして、それはやはり「彼女」以外の何ものでもなかった。
彼女は、とても普通の人だった。僕に2つも3つも輪をかけて普通の人だった。少なくとも、僕はそう思っていた。でも、本当はそれが一番特別なコトだったのかも知れない。それに気づくコトができたのは、それからずっとずっと後になってからなのだけど…
ある日、突然、彼女は変わってしまった。
あ…いや、それはきっと突然ではなかったのだろう。 いつまでも僕が同じ位置に立っていたので、気づかない内に彼女はずっとずっと遠くに行ってしまっていたのだ。
きっと、それはとてもあたりまえのコトだったのだと思う。世間から見てみれば、むしろその方があたりまえのコトだったのだと。
僕らにとっての…あるいは過去の時代にとっての「あたりまえ」は、この現代ではあたりまえでなくなっていた。哀しいかな、それが現実であったのかも。
でも…それでも、彼女には変わって欲しくなかったのに。
いずれにしても、彼女は僕の前から姿を消した。
そして、僕は途方に暮れた。 たった一人残されてどうするべきかわからなかった。何日も何日も、ずっと、ずっと悩み、考えた。
そして、1つの結論を出した。 それは、こうだ。
「たとえ、全てを失っても構わない。だから、彼女を探そう!」
そして、僕は旅に出た。
※推奨曲(この曲をバックに流しながら執筆したので、読む際にもBGMにすると良いと思います)
エアーポケット (中谷美紀)
noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。