富士山は9割登ったところで半分だと思え!
さて、様々なイラスト作成技術を身につけて、快調に絵本制作を進めるヘイヨーさんでしたが…
さすがに連載が長期に渡ってくると、最初の頃の勢いはなくなってきます。
序盤で課した制約…
これらが思っていた以上にツラいというコトもわかってきました。その上、回によってはアニメまで作っているのです。
特に厳しかったのは「ワクチンを打ちに行った翌日」でした。
この時期ちょうど、世界中で凶悪なウイルスが暴れ回っており、「早くワクチン打ちに行かないとな~」と思っていたところ、ちょうど予約に空きが出て順番が回ってきました。
で、ワクチン打った当日は「な~んだ。たいしたコトないじゃん!」と余裕しゃくしゃくでいたのですが…
翌日になって、副反応に苦しみます。
でも、そんな姿を表に出しても何も解決しないので、平気なフリをして絵本の制作を続けました。
*
「富士山は9割登ったところで半分だと思え!」という格言もあります。それくらい最後の1割を完成させるのは大変なのです。
この言葉を胸に刻み、当初は「全108話の内、98話まで到達したところで半分のエネルギーを残しておこう」と思っていました。
ところが、毎日あまりにもハードなスケジュールで進み続けた為、40話時点ですでにヘトヘトです。
仕方がないので、「全108話の内、54話目を山の頂上」に設定し直しました。これならば、どうにかがんばれそうでした。それに「家に帰りつくまでが冒険」という言葉もあります。半分の地点を目的地に設定すれば、あとは復路だけなので慣性に従って進むだけでも家まで帰りつけるでしょう。
資質としては「短期決戦型」のヘイヨーさんでしたが、特殊能力「シルクロードの行商人」を身につけたおかげで、ある程度ならば長期間に渡って戦い続けることもできるようになっていました。
元々「シルクロードの行商人」は、行って帰る能力でもあります。ただ単に目的を達成するだけでなく、自分の身を守り、最初の地点に戻ってくる必要がある。つまり「余力を残しながら戦う能力」なのです。
毎日120%のエネルギーを出して戦い続ければ、確かに作品はよいモノになるでしょう。けれども、そのやり方はあまりにもリスクが大きい!大抵は、途中でエネルギーが尽きてしまいます。そうでなくとも、身体や精神に異常をきたしてリタイアしかねません。
天性の資質が短距離走者であるにもかかわらず、長期間に渡って戦えるようになった秘訣が、これでした。
「常に120%の力で戦うのではなく、平均80%。日によっては、60%とか30%に出力を抑えて戦う。その代わり、イザという時には100%でも120%でも出して戦う!」
そういうやり方です。
たとえば、今回の絵本制作であれば「いくつもアニメを作る必要がある回」というのが生じてきます。この時のように。
こういった時に、本来持っている以上の力を発揮し、他の回で力をセーブして回復をはかるのです。
おかげで最後まで到達し、無事に帰ってくることができました。