「宿屋の少女の物語」の続き
14歳(中学2年生)の時に頭の中に浮かんできた物語。
「宿屋の少女の物語」には続きがありました。
※この回に登場する物語
草原の真ん中に建つ宿屋に住んでいた少女は「リル」という名前でした(リルは「小さな川の流れ」の意味。日本語にするなら「小川」「せせらぎ」といったところ。名前として使うなら「せせらぎちゃん」)
リルは旅の途中で、子供を産みます。女の子でした。
ところが、リルは自分の夫を殺した者に復讐するため、娘を置き去りにして再び旅に出てしまいます。
結局、復讐は果たせず、返り討ちに遭い、娘はみなしごとなってしまいます。
時は巡り、残された女の子は成長します。
少女は「マリーナ」と名づけられていました(マリーナは、海に関する名前。ヨットやボートが停泊する場所としても使われる。日本語の名前として使うなら「海ちゃん」といったところ)
マリーナも母親の資質を継いで魔法が使えました。母親のリルは修行が足りなかったこともあり、「ライチョウを使役すること」と「雷の魔法」しか使えませんでした。
対して、マリーナは自然界に存在する様々な精霊の力を借りることができました。いわば「シャーマン」のようなもの。
マリーナも子供を産み、両親を殺した者へ復讐に向かいます。
けれども、母親と同じように返り討ちに遭い、この世を去ります。
生まれていたのは、やっぱり女の子でした。
その子は川上から流れて来た果物の実から「アプリコット」という名前をつけられます(アプリコットの日本語名は「杏子(あんず)」よって日本語の名前は「杏子ちゃん」)
アプリコットもやはり魔法使いとしての資質を受け継いでいました。しかも、親子3代の中で最も強力な魔力を持ち合わせています。
旅の果て、アプリコットは天空にたどり着き、リルとマリーナの魂をみつけます。3つの魂は1つとなり、3人の能力全てを使えるようになります。
ところが、その記憶は3人の誰のものでもありませんでした。全く別の魔女のものだったのです。かつて「世界の果ての壺の中」に封じられた「伝説の魔女」のものだったのです!
「伝説の魔女」は、その力を思う存分振るい、リルとマリーナとアプリコットの復讐相手を打ち倒します。いわば、形の上では復讐は果たされたのです。
かつて「伝説の魔女」のかたわらには常に「伝説の悪魔」の存在がありました。
そして、今、世界の果てから「伝説の悪魔」が戻ってきて、再び世界を震撼させるのでした…
物語は、ここで終わりです。
「なんだ、これ?」
少年は首をかしげました。自分で考えておいてなんですが、意味がわかりません。「考えた」というよりも「降ってきた」と表現した方がより正確でしょうか?この物語は、どこかから降ってきたのです。
草原の宿屋の少女から始まった物語は、最後に全然関係のないキャラクターが登場して幕を閉じてしまいました。
これではお話になりません。きっと、どこの文学賞に応募しても落選してしまうことでしょう。
少年は、ほんとうに意味がわからなかったのです。「その時」には!
まさか、後にこの物語が少年の人生を大きく左右させてしまうとは。それどころか、彼の人生そのものになってしまうとは。誰が予想できたことでしょうか?
「それ」が誕生のはいつだったのでしょう?
少年に記憶にはありません。いつの間にか生まれていたのです。最初は、別の物語の最後に出てきただけでした。それも、姿は現しません。単なる設定、単なるうわさ話に過ぎませんでした。
でも、いつしか「それ」は物語の中の世界で実体化することになります。
心臓を鼓動させ、肉体を胎動させ、呼吸を開始した「それ」は、いつしかハッキリとした姿を獲得していたのです。
この物語にもようやく登場します。
「真の主人公」とでも言うべき存在が!
noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。